2024年04月20日( 土 )

【凡学一生の自戦体験記3】警察官の身分証明方法も問題

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偽警察手帳を使った犯罪

 南署の警察官が、「正式な手続きをして出直してくる」と捨て台詞を吐いて立ち去ってから1週間が経った。その間、凡学の携帯電話に非通知着信が2度届いた。非通知着信に応じることほど意味のないことはないから、そのまま放置した。おそらく、これが詐欺グループからの最後の接触であったのだろう。

 今となっては、南署の警察官と名乗り、警察手帳まで示した男は紛れもなく詐欺実行犯の1人と断言できる。犯罪者集団はとても用意周到である。凡学の携帯電話番号まで入手していると考えて間違いない。日本社会では、個人情報が犯罪者集団にほぼ筒抜けとなっていると理解すべきだ。最初に個人情報が集積されるのは公務所や公的機関であるから、そこから情報がダダ洩れ状態にあるのだろう。

 公務所や公的機関は正当な開示請求に対しては、個人情報保護法を盾に、市民が必要な情報をまったく開示しないか、黒塗りして「公表」する。その一方では、確実に大量の個人情報が犯罪者集団に漏洩している。

 警察に押収された巨額の大金が内部の犯行としか考えられない窃盗被害にあっても、それを解決しようとしない警察の実態は、国民がよく知るところ。国民の警察に対する不信感は強いが、それでも偽警察手帳をかざして警察官を名乗る犯罪は今後も続くだろう。

尋問は2人以上を原則に

 自称警察官が「正式な手続きをして出直してくる」と言ったことが、犯罪の証拠となることを説明して本連載を締めたい。

 逮捕状や捜索差押令状の発布を被疑者に対して事前に告知することなど、冷静に考えればあり得ないことである。逮捕状は警察が疎明資料を示して裁判所に請求する。令状担当の裁判官も犯罪成立の客観性がなければ逮捕状を発布しない。法律的要件は、犯人の逃亡と証拠隠滅の「恐れ」が基本。つまり、ひき逃げ事件であれば、最大の証拠はひき逃げ車両の特定、衝突痕の保全である。凡学の車両にはどこにも痕跡がない。

 つまり、ひき逃げ事件では最初に加害車両の特定と留置保全が必要となり、次に運転手の特定である。本件で自称警察官はこの手順をまったく無視していた。捜査員・警察官は密かに加害車両を発見したら、その時点で捜索差押令状を取得する。次に運転者の特定に取りかかる。

 そして運転者が特定され、被疑者が運転事実を否認した場合に、身柄拘束のための逮捕状の請求と執行に移る。

 高齢化社会では、高齢者が知能犯罪の被害者となる。とくに日本社会では、老後の蓄えとしての財産を根こそぎ詐取される犯罪が横行している。警察は基本的に被害が発生してからでないと出動しない。とくに特殊詐欺事件は、未遂の段階では「逃げ道」が多く、一方、既遂(犯罪の実行)になったら、逃げ足が速く、犯人検挙が困難となる。

 本件では犯罪の小道具として警察手帳が使われた。問題は、本物そっくりのものが簡単にインターネット上で入手できる点にある。精巧なものほど高額で、また犯罪に利用されることが容易に想像できる。しかも、一般市民の多くは警察手帳そのものを見たことがない。このため、偽警察手帳が犯罪の小道具となりやすい。

 警察官が身分を証明する場合に、単に警察手帳を示すという方法自体に問題があることは明らかだ。また、捜査対象が1人という点にも問題がある。警察の捜査では、被疑者が1人であっても、身内や信頼できる人物の立ち合いによる2人以上でなければならないという原則を確立すべきである。

 これは被疑者・被逮捕者の尋問で、弁護士の立ち合いを認める必要があることと本質は同じ。つまり、市民は捜査の段階でも、単独で対応するという不利益から保護される必要がある。警察は1人なら扱いやすいが、2人となれば扱いにくくなるため、反対するだろうが、そうした姿勢こそ、民主的な警察行政に反する「おいこら」警察そのものである。

 現時点では、警察の任意捜査であっても、念のため2人以上で尋問を受けるように心がける必要がある。2人以上で尋問を受けたいと申し立てることに何ら違法性はない。そのことを理由に不利益(犯罪の隠蔽・証拠隠滅を理由とする不利益処分)を被ることはあり得ない。ぜひ、この点を理解してほしいと思う。

(了)

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