2024年04月19日( 金 )

中小企業の課題・問題解決で成長 IT化支援で顧客サポート力を強化

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(株)ソリューション

6000社の顧客をサポート

 ビジネスにおける企業の成長は、多くの顧客を獲得し、その顧客からいかに長く支持され続けられるかにあるといえる。その根源となる力の1つが、顧客の抱える課題や問題を解決する力であろう。どれだけ顧客に喜んでもらえるか、役に立てるかをあらゆる角度から追求することで、結果的に顧客に選ばれ続ける企業として発展することができるのである。

 さまざまな分野で事業を手がける企業、国内はもとより海外でも事業を展開する企業も、創業当初は1つの事業から始めたところが大半である。そのなかで、自社の商品や事業とは関係ない相談を受け、その解決策を模索するなかで、新しい事業の芽があることに気づくものもあるだろう。信用され、信頼されるようになると、さまざまな相談事を投げかけられるようになるものだ。

 (株)ソリューションは2000年に創業、昨年20周年を迎えた。創業時は通信機器の施工・販売などを手がけた。福岡で始めた事業は、順調に顧客を開拓しながら拡大を続け、需要の拡大に対応するため神奈川県横浜市に東日本本社を置き、福岡の西日本本社との2本社体制で九州から東日本エリアまでをカバーする体制を敷いた。今では、6000社の顧客をサポートしている。

顧客の課題、問題解決が成長の原動力

 同社が成長してきた要因は、中核事業として手がけてきたビジネスフォンや複合機、電話回線などオフィスの通信関係の販売・工事、ウェブ制作などで業績を上げてきたことによるが、社名が表すように顧客の問題解決に注力し続けてきたことが大きいともいえる。もちろん、すべての案件に対して解決策が見出せるわけではない。それでも、顧客の問題を何とか解決したいという思いと行動は伝わるものだ。そうやって、顧客に寄り添い続ける企業風土が、同社の力強い発展を後押ししてきた。

 顧客の相談などから派生した事業は、居抜き物件を扱う不動産事業、LEDの販売、ウェブ企画・製作、テレマーケティング、外国人雇用支援サービスなど多岐にわたっている。自社の社内改革によって生まれたものを顧客の業務支援のために提供する事業もある。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入や運用支援サービスはその1つだ。RPAは、AI(人工知能)や定型化されたデスクワークなどをロボットが行うことで、経理分野など業務の効率化とコスト削減を図ることができるものとして、同社でも導入し、その有効性を検証している。自社内で積み上げたノウハウは、顧客へのサポートの一環として業務コンサルにも生かされることになる。

 中小企業におけるRPAの導入は始まったばかりだが、今後は広く普及していくだろう。需要拡大に対応するために、外部の会計事務所など専門家とも連携しながら、中小企業のIT化をサポートする体制を整えている。同社ではこうした先端のシステムや技術を顧客に提供できるようにマッチングするわけだが、代表の吉浦裕二氏は、「社員が家族と過ごす時間や自己投資のための時間をもてるよう、週休3日制を実現したい」と社員の働く環境の向上にも配慮している。

中小企業のIT導入補助金活用を支援

 RPA導入以外でも、顧客のIT化を後押しするための取り組みを行っている。「IT導入補助金」の活用支援だ。

 新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、人が集まる都市部の大企業を中心にリモートワークやオンライン会議が広まっている。そのため通信インフラに関わる事業者には、企業から多くの相談が寄せられた。国や地方自治体も、リモートワークを普及させるため、IT化を進める中小企業を支援する従来の「IT導入補助金」にコロナ対策費として特別枠「C類型」を設け、中小企業がIT導入補助金を活用するための支援企業「IT導入支援事業者」を認定している。

 同社もIT導入支援事業者に登録し、企業がITツールを活用する提案から各種申請手続き、導入までをトータルでサポートしている。今回の補助金は、補助率が4分の3ということも話題になったが、パソコンやモバイル機器、ソフトなどが補助対象となったことで、中小企業の関心が一気に高まった。

矢川 智 氏
矢川 智 氏

 コロナ感染問題だけでなく、中小企業が抱える大きな問題に情報格差による機会損失や高コスト化がある。大手企業はIT化は生き残りのために必須であり、早く取り組むことのメリットも理解している。一方、中小企業においては、激変する時代の流れの先を読み取る力が足りずにIT化が遅れ、大企業との競争力の差はますます開く傾向にある。同社の経営戦略事業部長・矢川智氏も「IT導入を検討してはいても、何からIT化すればいいのかが明確になっていないケースも多いですね」と、中小企業の現状を分析する。

 そのような企業に対して、「現状を理解したうえで、お客さまが自社の将来像を描けるようにお手伝いし、その実現のためのシステムや技術を提案するために寄り添うことを大事にしています。IT化によって業務効率化や売上、利益率が上がったという事例が増えていますので、IT導入補助金をIT化へのきっかけにしていただきたいですね」と熱を込める。

 リモートワークを実現するための通信インフラの整備やモバイル端末の購入など以外にも、動画を使った広報や人材育成のためのマニュアルづくりなどさまざまな活用ができるよう、企業経営者に寄り添いながら導入をサポートしている。

新しい強みができた

 矢川氏は、IT導入支援事業者としてサポートする重要なポイントは、「要望された通りの製品やシステムを提供するだけではなく、支援事業者としてテレワークや非対面事業などを実現するために、IT化することでその企業の弱いところをプラスに変える企画、提案ができるか」だという。その実現のために同社では、自社内だけでなく社外のIT企業をはじめ、さまざまな業界の専門家とネットワークを築いてきた。そうした企業努力の結果、同社がこれまで相談を受けた企業はすべて補助対象に認められている。

 今後については、「お客さまのIT推進担当のような立ち位置で、寄り添いながら、ITによる営業力や組織力強化をサポートできる支援事業者を目指していきたい」と抱負を語る。

 今回のIT導入支援事業者として補助金申請のサポートに関わったことは、同社にとっても新しい可能性を示した。社内には顧客や企業に商品やサービスを提案している部署がいくつもある。補助金申請のサポートができるノウハウやネットワークをつくり上げたことで、IT導入以外の補助金でも顧客をサポートできる可能性がみえてきたのだ。そうなれば、これまで以上に顧客への貢献度を高めることができる。顧客の課題、問題を解決し続けてきた同社に、新たな強みができたといえる。同社を頼りにする企業はこれからもますます増えそうだ。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉浦 裕二
所在地:福岡市中央区天神5-7-3福岡天神北ビル6F
設 立:2000年2月
資本金:9,750万円(グループ連結)
TEL:092-711-1170
URL:https://www.solution-gr.co.jp


<プロフィール>
矢川 智
(やがわ とも)
1974年11月、福岡県生まれ。福岡工業大学電気工学科卒。趣味は山登り。2001年入社、現在は経営戦略事業部部長を務める。さまざまなジャンルからプロを探せる九州朝日放送が企画・運営する「マイベストプロ福岡」にも登録。

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