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2021年09月11日 06:00

格闘技界は「Z世代」が盛り上げる キックボクシング界の超新星が見据える未来(中)

石井 一成

 福岡に、格闘技界注目の超新星(スーパーノヴァ)がいる。2013年8月4日のプロデビュー後はタイを主戦場とし、わずか数年で高校生ながらにムエタイの2大殿堂の1つであるルンピニースタジアムの上位ランカーから王座を獲得。少年期より強さとルックスの両輪を備え、そのスター性から“ポスト魔裟斗(まさと)”の異名をとる、22歳の若武者だ。日本を飛び出し、世界に挑戦する「Z世代」のまなざしの先にある未来を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

ムエタイとの出会い~日本との違いを実感(つづき)

石井 一成 氏 ――試合前はどのようにしてモチベーションを保っているのですか。

 石井 試合が決まると記者会見がありますが、そのときにスイッチが入り、そこから少しずつ生活を変えていきます。だいたい1カ月前になると、食生活から睡眠まで一定のリズムを保っていますね。ずっと気を張っているのは大変ですが、試合に勝つという1つの目標が明確に設定されているので、それを達成するために自分の生活も自ずと変わっていきます。試合が終われば、1週間ほどは自分へのご褒美の時間で、旅行に行ったりおいしいものも食べたり、不規則な生活もします。この時間があるからこそ、試合前の大変な時期も乗り越えられています。また、試合後「おめでとう、応援してよかったよ」などと声をかけていただけるのもモチベーションにつながっています。

 ――対戦相手の研究は。

 石井 これは選手それぞれですが、私はあまりほかの選手の研究はしていません。幼いころからずっと格闘技をやっているので、その場に応じて臨機応変に動けるという強みがあるからです。だから相手がどう動くかというより、自分がどう攻撃を組み立てるかということを大事にしています。研究しすぎて先入観にとらわれ、本来の力を出せなくなってしまっては元も子もないので、まずは自分のもっている能力を最大限に引き出すことに注力して練習を行っています。

石井 一成 氏

コンテンツとしての格闘技の可能性

石井 一成 氏 ――格闘家は勝ち続けていくことが宿命です。負ける怖さはありますか。

 石井 怖さというより、1度でも負けてしまったら終わりだという気持ちで戦っています。トーナメントで負けてしまえばただの敗者で、またゼロからのスタートです。しかし勝つことで、ずっと高みを目指し続けることができます。負けることに怖さは感じませんが、プレッシャーではありますね。

 ――同世代に対してギャップを感じることはありますか。

 石井 私は、就職していればちょうど新卒の年齢に当たるのですが、周りの友人が仕事の話をするたびにギャップを感じています。私自身も大学に通っている時期がありましたが、自分が一般企業に就職している未来は想像できません。練習はたしかに大変ですが、好きなことを仕事にでき、なおかつそれで収入を得ることができるということは、とても幸せです。今まで格闘技を続けてこられて本当に良かったと実感しています。

 ――エクササイズとしてのキックボクシングも人気です。

石井 一成 氏 石井 簡単に始めやすいというのが魅力の1つだと思います。キックボクシングはキックやパンチといった運動が基本ですが、有酸素運動と無酸素運動を同時に行える全身運動なので、体が引き締まりやすくダイエットに有効です。基礎代謝が上がりやすいという特徴もあります。また、日常ではなかなかできない、物を打つ・蹴る動きによってストレス解消効果も期待できます。最近は女性でキックボクシングを始める方も多いですね。

 新型コロナウイルスが感染拡大したことで話は立ち消えになってしまいましたが、企業の方からプロの選手に教えてほしいという依頼がきたこともありました。最近は健康志向なので、生活のなかに積極的に運動を取り入れようという動きもあるようです。日本では仕事の中心がデスクワークという方も多いため、運動不足の方も多いと思います。運動には脳をすっきりさせて、思考をポジティブにする作用があります。少しずつでも日常に運動を取り入れることができたら、より豊かな生活を送れるのではないでしょうか。

 ――格闘技のオンライン視聴の可能性についてどう思いますか。

 石井 コロナ禍というなかではとくにそうだと思いますが、期待している部分はあります。最近はテレビで大会の放送があるほか、ネット番組の「ABEMA」でも生放送されています。格闘技がブームになりつつあると思っているので、皆さんが気軽に格闘技を観戦できる機会が増えることはいいことだと思っています。

 コンテンツにお金を払って視聴する「ペイパービュー」という仕組みがあって、アメリカではこの仕組みが浸透しています。日本は昔から格闘技を好む国民性があると思うので、日本でも根付いてくれればキックボクシングの団体も今より財政面で余裕ができるようになるでしょう。現在、日本の格闘技は海外であまり有名ではありませんが、せっかくデジタルコンテンツとして配信しているので、全世界の人にも知ってもらいたいです。

(つづく)

【文・構成:立野 夏海】


<プロフィール>
石井 一成
(いしい・いっせい)
1998年9月15日生まれ、福岡市出身。ウォー・ワンチャイプロモーション所属。165cm、53kg級(2021年7月時点)。

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