防水工事会社からITのエキスパート誕生　新しい時代への懸け橋に（前）

一般

2021年11月15日 16:20

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（株）ねこ　代表取締役　原口　潤也　氏

　「あなたが見せたかったその世界を、想いを、私たちがカタチにする」―9月1日、そんな誓いの言葉とともに、バルコニーの防水工法や屋上緑化で知られる（株）栄住産業から1つの若株が萌え出た。母なる同社とは異なる専門分野で、だがその心は受け継ぎ、これから自分で大地に根を張り花を咲かせることになる「（株）ねこ」。39歳の若きリーダーが、事業継承のドラマと思いを熱く語る。

（聞き手：（株）データ・マックス　取締役　児玉　崇）

企業のDXをサポート

　社名を見て、多くの方がいったい何を手がける企業なのかとお思いでしょう。「ねこ」＝NECOは、New Era is Coming Over（新しい時代がやってくる）の頭文字を取ったもの。新たな時代の到来を前に、私どもの技術で企業のDXをお手伝いしましょう、それこそ「猫の手」にもなりましょう、という気持ちを表したものです。

　主力事業は今のところ、一番の得意分野であるCG制作を通じて、主に住宅建築業界の営業のお役に立つことです。建物の完成図だけではなく、建っていくその過程や周囲の景色を、時刻や季節、天気の移ろいも入れて表したPR映像の制作ですね。住宅の購入を検討されるお客さまに、そこでの日常を瞬時にかつリアルにイメージしていただけますし、近隣住民の方々への説明にも役立ちます。

　もともとは、私が前に勤めていた栄住産業さんが打ち出した顧客サービスの1つです。日本全国で主にバルコニーの防水工法や屋上緑化を手がける会社ですが、熟練職人たちの仕事に見合った価格でこれらの仕事をお任せいただけるよう、工務店さんの営業そのものをお手伝いしようということで始まったものです。

　中小の工務店は、職人たちのすばらしい仕事をアピールしようにも、高度な表現ツールを使いこなす専属のスタッフを抱える余裕はありません。そうした悩みを受け止めた創業者の宇都正行顧問の意向を受けて、当時企画部門にいた私どもがフィリピンの現地企業と力を合わせて取り組んできました。専門会社にも負けない高品質の映像を、破格の値段で提供するこのサービスは大変な反響を呼び、感謝のお言葉とともにたくさんのお取引をいただくようになりました。

　今年4月に栄住産業さんがM&Aとなったことを機に、この事業を独立させたのが「（株）ねこ」なのです。私を入れて3名の社員が、フィリピンの約100名のスタッフとともに、創業者の願いである「あなたが見せたかったその世界を、想いを、私たちがカタチにする」歩みを踏み出したところです。

（つづく）

【文・構成：黒川　晶】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：原口　潤也
所在地：福岡市博多区博多駅前2-12-12
設　立：2021年9月
資本金：1,000万円