2022年05月28日( 土 )
by データ・マックス

バラマキ財政とは何か

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。
 今回は1月16日付の記事を紹介する。

旅行大手HISの子会社である「ジャパンホリデートラベル」と「ミキ・ツーリスト」が宿泊実態のない架空の宿泊についてGoToトラベル給付金の申請を行った問題。

HISが設置した調査委員会は不正受給を認定。

返還すべき給付金の総額は最大6億8,300万円に上るとした。

HIS創業者の沢田秀雄会長兼社長は会見で、

「HIS本体は不正に一切関与していない」と強調したが、2社は上場企業であるHISの連結子会社。

関与していなくても企業グループとしての責任がある。

とりわけ、「ミキ・ツーリスト」はJHAT社と共謀して不正事案に深く関与した疑いがもたれている。

国交省は今後のGoto事業について子会社の関与を禁止する方針を示したがHIS本体に対しては除外しない方針を示している。

不正受給問題の中核と見られているのがホテル運営会社JHAT(ジェイハット)社。

JHAT社の社長を務める平林朗氏はHIS社長からJHAT社社長に転じた。

JHAT社とHISの本社は東京港区虎ノ門の同一ビル内に所在する。

GoToトラベル事業の不正受給事案は数多く報じられている。

不正受給は犯罪行為であり、刑事事件として処理されている。

ほかの刑事事件事案を比較してHIS子会社などによる今回事案は不正受給の金額が突出して大きい。

極めて重大な詐欺事件である。

ところが、この事件についてのメディアの追跡、捜査当局の動きが極めて鈍い。

刑事事件として捜査を行い、必要な証拠を保全しなければ、罪証隠滅が図られる。

森友事件でも捜査当局は必要な捜査を迅速に行わなかった。

罪証隠滅を奨励しているようにしか見えない。

GoToトラベル事業不正では、すでに多くの事案が摘発されている。

岡山県倉敷市にあるホテルセントイン倉敷を経営するNPO法人の代表の男性がホテルの宿泊者数を水増しして申請してGoToトラベル給付金をだまし取った疑いで昨年10月から12月にかけて3度逮捕された。

不正受給の総額は約1億3,500万円にのぼると見られている。

昨年4月には、広島市東区愛宕町で経営していた民泊施設に客が泊まったように装って国から給付金を詐取したとして、東京都品川区西大井在住の女性が詐欺の疑いで逮捕された。

逮捕容疑は、実際には宿泊していない客が2020年8月5日から31日までの間、トラベル事業を利用して泊まったように偽ってオンラインで給付金を申請し、2020年11月6日に計27万3,000円を自身が管理する口座に振り込ませ、だまし取った疑い。

昨年6月には、栃木県警が那須町で宿泊施設を経営する会社役員の男性ら5人を同様の疑いで逮捕している。

不正受給の金額は630万円。

大阪偕星学園高校の野球部の元監督山本セキ容疑者ら3人は、2020年、野球部の合宿で、1人1泊7,000円を2万円と偽って「GoToトラベル」の給付金を申請し、およそ80万円を騙し取った疑いで逮捕された。

事件が発覚したのは、同野球部のコーチだった水落雄基容疑者が14人の男子部員にわいせつな行為をしていたとして逮捕されたこと。

水落容疑者が逮捕された際に「監督に詐欺の片棒を担がされ、ストレスでやってしまった」と供述してGoTo不正が発覚した。

https://bit.ly/3FrSg1u

表面化していないGoTo不正が無数に存在する可能性が示唆されている。

ただ、この事件での不正受給の金額は約80万円。

HIS子会社等の6億8,300万円と大きな開きがある。

HIS子会社などによるGoTo不正受給事案がなぜ迅速に立件され、強制捜査が行われないのか。

極めて不自然だ。

メディアが詳細を追及する格好の素材のはずだ。

HISはワハハ本舗が主催するイベントのスポンサーを務めてきた。

政治的な背景があって問題が隠蔽されているとの見方も浮上している。

自公連立政権では公明党が国交大臣ポストを占有し続けている。

GoToトラブル事業も中心は国交省所管。

斉藤鉄夫国交相はGoToトラブル不正について陳謝したが、責任追及が極めて甘い。

HIS本体を今後のGoTo事業の対象から外さない方針も理解しがたいものだ。

メディアは徹底的な調査報道を展開すべきである。

コロナ対応の政策対応は個人をベースに置くものに統一すべきだ。

コロナで困窮しているのは旅行業者だけでない。

各種公演が激減し、公演関連ビジネスで生計を成り立たせている多数の国民が厳しい状況に追い込まれている。

飲食事業者の打撃も大きいが休業等にともなう「協力金」支給は、一部の事業者に対しては過大になっている面もある。

本来の売上を越える協力金を受領している事業者もいる。

他方で、大規模事業者にとっては協力金が「焼け石に水」にもならないケースも多い。

2020年度に補正予算で73兆円もの政府支出が追加された。

1年間の国による政策支出は社会保障支出を除くと約30兆円。

73兆円の追加は2年半分の政策支出規模に該当する。

巨大な財政支出が追加された。

※続きは1月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「バラマキ財政とは何か」で。


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