2024年04月29日( 月 )

【独自】「アサリの産地偽装、30年以上前から」元輸入業者語る

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熊本ブランドの危機

 農林水産省は1日、アサリの産地偽装問題に関する調査結果を発表した。それによると、熊本県産として販売されていたアサリの97%が「外国産アサリの可能性が高い」と判定されたという。なお、21年10月から12月末までの期間、農水省が全国の広域小売店1,005店舗でアサリの産地表示状況を調査したところ、原産地別の販売割合において79.2%(2,485t)が熊本県産のアサリで占められていたという。これは熊本県におけるアサリの年間漁獲量(20年は21t)を大きく上回っている。

 熊本県の蒲島知事は同日、臨時記者会見を開き、今回の問題はアサリだけではなく、「熊本ブランド」全体の信頼を揺るがす危機的状況だと語り、熊本県産アサリの出荷を今月8日から約2カ月停止すると発表した。

漁協、輸入業者、卸売業者の3者がグル

あさり イメージ    データ・マックスでは、中国のアサリとハマグリを熊本県内の業者に卸していた人物(A氏)に話を聞くことができた。A氏は、1989年から93年にかけて中国・丹東の鴨緑江下流からアサリとハマグリを船で熊本県まで運び、県内業者に販売していたという。

 「たとえば中国など海外で1年育ったアサリを、それよりも少し長い期間、日本で育てると“国産”と認められるので、当時からみんなやっていました。それがエスカレートして期間がだんだん短くなり、今回のような事態を招いてしまったのでしょう」(A氏)。

 「中国のアサリも北朝鮮のアサリも、韓国のアサリも、見た目は国産のものと変わらず、国産か否かを判定するにはDNA鑑定が必要です。国産アサリは高いため、当初は韓国産のアサリを国産として販売していました。それが次第に、価格の安い中国産のアサリにシフトしていったのです」(同)

 A氏は今回のアサリの産地偽装問題は「氷山の一角」だと強調する。「同様の偽装は全国各地で行われており、ある県の水産業者は中国のハマグリを干潟に撒くでもなく、自社の水槽タンクに一定期間入れた後で出荷していました」(A氏)。さらに、産地偽装問題について「漁協、輸入業者、卸売業者の3者がグルになっている」とも指摘する。

 大々的な産地偽装が発覚したなかで、今後のアサリ販売はどう変わるのか。A氏は、「偽装が大々的に取り上げられてしまった以上、今後は堂々と『中国産』と表記して販売するしかないでしょうね」と話している。

【データ・マックス編集部】

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