コロナ禍でも過去最高業績を達成 「IP軸戦略は伊達じゃない！」（前）

（株）バンダイナムコホールディングス

実物大ガンダム福岡に立つ

    4月25日に開業を迎えた「ららぽーと福岡」。さまざまなコンテンツを擁する同施設だが、なかでもひときわ目を引くのが、通りに面した施設入口のフォレストパークに屹立する九州初の実物大ガンダム立像だ。約20mもの巨大な姿は見る者を圧倒し、老若男女問わずに足を止めさせるだけのインパクトをもった、ららぽーと福岡のシンボルとなっている。施設4階には、ガンダムを中心とした複合エンターテインメント施設「ガンダムパーク福岡」も入居しており、ガンダム立像と合わせて、ファン羨望の新たなガンダムの“聖地”としての存在感を放っている。

　一方で、複合商業施設「キャナルシティ博多」のサウスビル地下1階では、バンダイナムコグループ各社のオフィシャルショップが結集する体験型リテール施設「バンダイナムコ Cross Store 博多」が7月16日に開業を控えている。同施設は、バンダイナムコグループ各社が展開しているキャラクター、商品、イベント、飲食などを「観る」「触れる」「体験する」ことができるリアルタッチポイントとして、さまざまなコンテンツと新たなエンターテインメント体験を提供。キャナルシティ博多のサウスビル1階部分には、2019年11月にガンプラ総合施設「THE GUNDAM BASE FUKUOKA（ガンダムベース福岡）」も開業しており、ガンダムを含めたバンダイナムコグループの一大旗艦店が生まれることになる。

　このように、ここ福岡では最近急速にバンダイナムコの存在感が増している。

玩具とゲームの経営統合、きっかけもガンダム

　バンダイナムコグループの持株会社である（株）バンダイナムコホールディングス（HD）は、05年9月に（株）バンダイと（株）ナムコの経営統合により設立された。

　バンダイは1950年7月に（株）萬代屋として設立したのが始まりで、61年7月に（株）バンダイへと商号変更した。セルロイド製玩具などの販売から始まり、カプセルトイ「ガシャポン」や「ガンダムプラモデル（通称：ガンプラ）」のほか、「キン肉マン消しゴム（通称：キン消し）」、トレーディングカード「カードダス」、携帯型育成玩具「たまごっち」などの時代ごとのヒット作に恵まれ、国内大手玩具メーカーとしての地位を確立。86年1月に東証二部に上場し、88年8月には東証一部に指定替えとなった。

　一方のナムコは55年6月に（有）中村製作所として設立したのが始まりで、77年6月に（株）ナムコへと商号変更した。当初は百貨店屋上などにおける遊園施設を運営していたが、やがてビデオゲーム機事業に参入すると、「パックマン」「ギャラクシアン」「ゼビウス」「ファミスタ」「鉄拳」「太鼓の達人」などのアーケードゲームおよび家庭用ゲーム機用のソフトを次々と開発し、大手ゲームソフトメーカーの1社に数えられるようになる。88年1月に東証二部に上場し、91年9月には東証一部に指定替えとなった。

　玩具メーカーとゲームソフトメーカーという、近いながらも異なる領域の2社が経営統合に至ったきっかけの1つは、05年4月発売のPlayStation2用ゲームソフト「機動戦士ガンダム 一年戦争」だったとされている。同ゲームは、ガンダムシリーズの版権を保有するバンダイがナムコに開発を依頼したコラボレート企画。このときの共同作業がきっかけとなり、バンダイのキャラクター事業ノウハウとナムコの開発力を組み合わせることで、相乗効果を上げて既存事業の拡大と新規事業の創出を図れる可能性が提示された。さらに両社の事業分野の重複が少なく、全体的に補完性が高かったことなどを要因として経営統合を決断。こうして、互いの強みを生かし合うことのできる一大エンターテインメント企業の誕生に至った。

　なお、バンダイナムコHDの設立と同時に、バンダイとナムコ（現・（株）バンダイナムコエンターテインメント）の2社は上場を廃止、バンダイナムコHDの子会社となり、バンダイナムコHDが東証一部（22年4月から東証プライムに移行）に上場した。

（つづく）

【坂田　憲治】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：川口　勝
所在地：東京都港区芝5-37-8
設　立：2005年9月
資本金：100億円
売上高：（22/3連結）8,892億7,000万円