【北九州】映画『レッド・シューズ』が協賛応援団募集中

2022年7月6日 12:09

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修羅の国から「ロケの街」へ～北九州

　絵になる町、北九州。
　決して比喩的な表現ではなく、北九州の町並みの多様さや重厚な歴史を感じさせる風景が評価され、映画やテレビドラマ、CMなどに使われることが増えている。たとえば、2013年に公開された話題作『図書館戦争』や20年公開の映画『仮面病棟』などは北九州で大がかりなロケ撮影が行われた。スクリーンの中に登場する舞台として、それと意識しないままに北九州の風景を目にしていることが少なくない。

　こうした現象は、北九州市が中心となって2000年に設立した北九州フィルムコミッションが映画撮影（ロケ撮影）の誘致を積極的に行ったことが実を結んだもの。行政が主導したこともあって爆破シーンを含む大規模ロケなどが可能になり、製作側の要請に応えるバックアップ体制が整ったことも映画撮影の町として認知される大きな要因になった。

　もっとも、体制が整っていたとしても町の風景自体に魅力がなければここまで需要はなかったはず。北九州市内には、独特の雰囲気をもつ〈唯一無二〉ともいえる魅力的な場所が多いのだ。鉄の町を支えた工場群は手軽にサイバーパンク感を演出できるため、最近ではダイナミックで「映える」画像が撮影できることで人気だ。小倉城を中心とした城下町の町並みは歴史を感じさせ、JR小倉駅は頭上でモノレールが接続する未来的構造美が魅力。駅自体が観光資源となっているのは門司地区で、レトロを売りに町自体に映画村のような雰囲気が漂う。

　北九州は1960年代には公害の街と呼ばれ、90年代以降は暴力団による市民襲撃が相次いだために「修羅の国」と呼ばれて恐れられた。しかし、市民一丸となって公害を駆逐し、暴力団排除に取り組んだ町はいま、その負の部分も含めて、積み重ねた歴史が生み出す地層のような街並みそのものが評価され始めている。

戦う女性は美しい～シングルマザーがボクシングで頂点を

　せっかく北九州で映画を撮影してもそれは架空の街であり、あるいは別の都市という設定であることがほとんど。それならば、「北九州を舞台にした物語を、北九州で撮影したい」と動き出したのが、同市出身の映画監督・雑賀俊朗さん（63）だ。

　雑賀俊郎さんは、同市八幡西区の出身。県立東筑高校から早稲田大学を経てテレビ番組制作業界に入った。独立して以降は映画監督・プロデューサーとして実績を重ね、近年は映画『カノン』（2016年）が各国の映画祭にノミネートされるなど、その手腕が高く評価されてきた。

佐々木希さん。主人公の幼なじみで、彼女の娘の親権を守るために奔走する弁護士役を演じる — 佐々木希さん。主人公の幼なじみで、
彼女の娘の親権を守るために奔走する
弁護士役を演じる

雑賀監督の最新作『レッド・シューズ』は、シングルマザーがボクシングでチャンピオンを目指すという異色の人間ドラマ。撮影の舞台には、雑賀監督の出身地でもあり、シングルマザーを応援する数々の施策を打ち出してきた北九州市を選んだ。北九州を舞台とした映画を製作するのは、雑賀監督が高校時代に小倉の映画館で『ロッキー』を観て感動し、「製鉄所の町からボクサーが立ち上がる話、いつか北九州を舞台にそんな映画をつくりたい」と誓ってから約45年越しの夢の実現となる。

　映画『レッド・シューズ』は日本ボクシング・コミッションと北九州市、北九州商工会議所などが後援し、今秋に全国上映が予定されている。製作を手がけるサーフ・エンターテイメントは映画公開に先駆けて、個人協賛と企業協賛を募集する。

　協賛では、映画のエンドロールに社名が載るほか、ポスターや公式HPなどにも掲載され、映画のタイトル、ロゴ、ビジュアル、一部映像等の使用もできるなどの特典が付く。国内の映画ではおそらく初めての試みとなる「ライブコマース」では、雑賀監督や出演者によるライブ動画を配信するなかで、スポンサー企業の商品や映画のコラボグッズなどを紹介、販売するコーナーを設ける（23年3月まで）。