2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

未来の街づくりのためにチーム九州で学びの場設立へ

一般社団法人 福岡県建設専門工事業団体連合会
建設産業専門団体九州地区連合会 会長 杉山 秀彦 氏

 九州の専門工事業者団体、11団体からなる建設産業専門団体九州地区連合会(以下九州建専連)。国土交通省、九州地方整備局等との意見交換会を通じて、建設業界の経営力・施工力の改善、技術・技能者の育成および労働条件の改善に尽力している。とくに九州建専連では長期的視野に立った『現場思考』の「ひとづくり」・「ものづくり」事業推進を行っている。その詳しい内容を、九州建専連会長、杉山秀彦氏にうかがった。

 現在、専門工事業で働く人が持っている技能・技術の次世代への継承は、建設業界が解決せねばならない緊急の課題の1つだ。この課題の解決には、現役職人の給与、社会保障といった待遇面の改善もそうだが、建設業界の「将来の担い手」となる若者たちが持つ、現場に対するイメージの改善も同時進行で実施していく必要がある。自身とび職人としてのキャリアを持つ杉山秀彦氏は、この問題解決に必要なのは「金、保険、休日」であるとズバリ答えてくれた。

杉山 秀彦 氏 「かつては元請けさんも、自分たちで下請けを育てていこうという意識が強かったと思います。現場で働く職人たちのために、寮や社宅の整備をしようとすれば援助を申し出てくれていました。だからこそ下請けも、職人さんに対して十分な労務単価を提示することができていた。職人の方が高給取りなんて時代もあって、仕事終わりに現場監督の方を誘って食事に行くなんて光景もあったんですよ。ところがバブル崩壊後、元請けさんも自分が生き残ることに精一杯で、下請けに対してだんだんと余裕がなくなっていきました。そうなると当然、職人さんたちに対しても満足いく雇用条件を提示できなくなっていきます。こういった流れがあるなかで、現場だけは昔と変わらず稼働し続けるわけですから、保険の加入率も、休みの取得率も、悪化していくわけです」(杉山会長)。

 バブル以前・以後の元請けと下請けの関係性の変化が、そのまま労働環境の変化にも繋がり、結果として若い人材を業界から遠ざける原因の1つとなっている。業界のイメージを端的に表したものとしてよく使われる「3K(=きつい・汚い・危険)」という言葉の存在も、その流れに拍車をかけている。九州建専連ではこの3Kという言葉の持つイメージを払拭しようと、「感動・感謝・貢献」の新たな3Kを推進している。
 「九州建専連としても、国土交通省九州地方整備局との意見交換会に際して、職種ごとにグループ分けを行い、時間も2時間なら2時間と区切ることで会の効率化を図り、双方にとって実のある議論が行えるようにしていますが、やはり直接現場に働きかけるのが一番だと思います」(杉山会長)。
 そう語る通り、杉山会長は未来の職人となる若者たちに専門工事業のことをもっとよく知ってもらうため、自ら工業高校をはじめとする学び舎に足を運び、進路指導の教員に業界の魅力を伝えている。

 「そういった活動を続けるなかで、長崎にある県立鹿町工業高校との出会いは鮮烈でした。学校でバックホーを保有していて、実際に生徒たちが乗り込んで動かすといった実践的な授業をされていたんです。ちゃんとバックホーには『県立鹿町工業高校』と名前も入っていて、その光景には本当に感動しました。そこで私も何か協力できないかと思い、九州建専連に加盟している1,200を超える企業さまにご協力を願い、現役の職人を講師として学校に派遣させてもらうようにしたんです。この『出前講座』は生徒の皆さんはもちろん、『生徒に教える立場の自分が何も知らんのはいかん!』と奮起された学校教員の皆さんにも好評です。さらにこの活動は、東京に本社を置かれている向井建設㈱さんと共々に共感していただき、同校への足場材寄附にも繋がりました」(杉山会長)。
 若き職人候補者たちにも九州建専連の支援は感謝され、学生のなかには「将来とび職人になる」と手を挙げる者も出たとのこと。しかもその学生が職人への想いを綴った作文は、平成26年度「建設業の未来を担う」高校生の君たちへ・作文コンクールにおいて、見事「国土交通省大臣賞」を受賞した。「これほど嬉しいことはありません」と杉山会長。
 この経験は、杉山会長がかねてより構想として抱いていた職人を育成する「訓練センター」の実現に対する気持ちをより強いものとした。

 「現在でも訓練所は静岡の富士教育訓練センター、広島建設アカデミーなどが存在していますが、九州から研修者を送り出したい企業からすれば、交通費をはじめとする諸経費や、研修状況を逐次確認したくともできないといった点がネックになってきます。そこで福岡県団連(福岡県建設専門工事業団体連合会)、県や市とも一丸となって、建設業界における新規雇用者を対象に、福岡における研修の実施を考えています。来年度から、まずは躯体コース、そして仕上げコース、設備コースと研修内容も充実させていき、将来的には九州建専連でも拠点を確保し、九州全域における専門工事業の若きプロフェッショナルを輩出していきたいと考えております」(杉山会長)。
 「将来の担い手」不足が深刻さを増していくなかで、九州建専連のこの「人材を自分たちの手で育てあげていくのだ」という力強い意思と取り組みは、必ず九州建設業界の未来を明るいものへと変えてくれるだろう。

【代 源太朗】

INFORMATION
建設産業専門団体九州地区連合会
会 長 杉山 秀彦
所在地 福岡市東区多の津4丁目5-13 スギヤマビル6F
T E L  092-624-7599

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