1月1日付けで新社長に就任 市民クラブとして地域に元気・喜びを与えたい(前)
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(株)ギラヴァンツ北九州
代表取締役社長 石田 真一 氏ギラヴァンツ北九州の2022シーズンはJ3・13位。23シーズンの監督には、元日本代表で、大分トリニータや清水エスパルスの監督などを歴任した田坂和昭氏が就任し、反転攻勢でJ2への復帰が期待されるシーズンとなる。1月1日付で新社長に就任した石田真一氏に今後の抱負などを聞いた(インタビューは2022年12月22日)。
クラブのフィロソフィーは不変
──2023年1月1日付でギラヴァンツ北九州の社長に就任されます。今後の抱負をお聞かせください。
石田真一氏(以下、石田) 大役に身が引き締まる思いでいっぱいです。ギラヴァンツ北九州は市民クラブであり、北九州市のシンボルでもあります。より一層、市民の皆さまに愛されるクラブにしていけるよう努力していく所存です。
──22シーズンの観客動員はJ2だった21シーズンより増加しています。これまでの取り組みが功を奏したのではないですか。
石田 21シーズンは平均来場者数が3,000人を下回っていましたが、22シーズンは目標に掲げた3,500人を上回る3,600人の動員に成功しました。観客の減少傾向に歯止めをかけることができたのでは、と感じています。コロナ禍でスタジアムから足が遠のいてしまったお客さまは少なからずいらっしゃいます。そうした方々が再びスタジアムに戻ってきていただいたような印象を受けています。
──23シーズンは新監督に田坂和昭氏が就任。攻撃的サッカーを掲げ、J2昇格を目指すとしています。
石田 クラブのフィロソフィーにおける目指すべきサッカースタイルは「最後まであきらめず、勇猛果敢に戦い、攻撃の手を緩めない」です。攻撃的なサッカーを貫いたうえで、所属するカテゴリーを1つ上げて、これまで所属していたJ2に復帰するのは、大変重要な目標です。もちろんカテゴリーを上げることだけがクラブとしての目標ではありませんが、カテゴリーが上がることで、来場者数や世間の注目の度合いにプラスの影響が出ることは間違いありません。目の前の目標としてまずはJ2昇格、そしてJ2に定着できるようなクラブにしていかなければなりません。玉井行人前社長から私に社長のバトンが渡ったわけですが、クラブの目指す目標、フィロソフィーといったものは何ら変わりありません。一貫性のあるクラブ運営は、我々が大事にしている点の1つです。
安定した経営の継続が使命
──22年1月期は3期連続黒字、経営面においてもこれまでの運営方針を踏襲されていくと考えてよろしいのでしょうか。
石田 クラブの財務基盤が揺らぐと経営に大きな影響を与えてしまいます。もちろんコロナ禍もあって、興行面においては非常に厳しい状況に陥りました。入場者数が減ると、入場料収入やグッズの売上にも影響が出ます。またカテゴリーが下がってしまうと、「認知度が低下するから」といった理由で協賛の継続を打ち切る企業さまもいらっしゃいます。そうした苦しい状況下にあっても、地元企業さまに支えていただき、ファンの皆さまもスタジアムに足を運んでくれたおかげで、何とかクラブ運営の基盤が構築できるだけの収入を上げることができました。これからも安定した経営を継続させていくことが私に課せられた使命の1つだと考えています。
──良い成績を収めるには選手を補強しなければなりませんが、そうすると人件費がかさんでしまいます。プロスポーツクラブの運営においては、その辺りのバランスを取るのが難しいですよね。
石田 上のカテゴリーになればなるほど、チームの人件費と成績は比例します。クラブとして、さらに上を目指すためには、チーム人件費を確保しなければなりません。そのためには収入を上げなければいけない。その辺りの重要性については重々認識しています。しかし、一方でお金をかけたからといって、すぐに結果が出るとは限りません。また、スポーツですので、試合に必ず勝てるという保証はどこにもありません。不確実性というものを踏まえたうえで経営を行わないと、クラブ自体が傾いてしまいかねませんので、バランスの取れた経営を心がけていかなければなりません。
──収入増のために23シーズンから新たに取り組まれることはありますか。
石田 プロサッカークラブの収入源は大きく分けて「入場料」「グッズ収入」「スポンサー収入」「放映権収入」となります。最後の放映権収入に関しましては、Jリーグが管轄して各クラブに分配するかたちとなりますので、クラブ単体でコントロールできる領域ではありません。そうなると必然的に収入を増やすには「入場料・グッズ収入」「スポンサー収入」を上げるしかありません。先ほど申し上げましたように22シーズンは観客動員で1試合平均3,500人の目標に対し、3,600人と目標を達成できました。23シーズンはさらなる上積みを目指さなければなりません。スポンサー収入に関しましては、簡単に上げられるような状況ではないと思いますが、1社1社、愚直にスポンサー企業さまおよび新規スポンサー候補企業を訪問して、少しずつでも上積みさせていかなければなりません。
──新たなファンを取り込むために力を入れていることはありますか。
石田 リーグ戦のホームゲーム数は17試合。24シーズンからはクラブ数が20になるので19試合に増えますが、いずれにしても1年のうち、試合のない約340日は、なかなかファンとの接点がありません。試合がある日以外にもファンの方々といかにコミュニケーションを図っていくかが重要だと考えていまして、そのツールの1つとしてSNSの活用に力を入れています。以前からInstagramとTwitterのアカウントはありましたが、それらに加え、22シーズンからはTikTokのアカウントも立ち上げました。試合の告知などにはLINEが有効だと思いますのでLINEも再開しました。
また、もっと若い人にギラヴァンツ北九州に興味をもってもらうべく、インフルエンサーも起用しています。こうした施策を通じて、よりギラヴァンツ北九州を身近に感じていただき、1人でも多くの方がスタジアムに足を運んでくれることを願っています。
(つづく)
【新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:石田 真一
所在地:北九州市小倉北区浅野3-1-26
設 立:2008年10月
資本金:3,070万円
売上高:(22/1)10億9,400万円
URL:https://www.giravanz.jp/
<プロフィール>
石田 真一(いしだ・しんいち)
1969年8月生まれ。92年に一橋大学商学部を卒業後、三菱商事(株)に入社。ドイツ三菱商事(株)(駐在:マネージャー)、三菱商事戦略企画室事業戦略統括などを経て、2021年2月に(株)ギラヴァンツ北九州入社。23年1月ギラヴァンツ北九州代表取締役社長に就任。法人名
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