ネクスト-ライフ-デザインを子会社化、AVANTIAグループの九州戦略

（株）ネクスト-ライフ-デザイン
代表取締役　石川 秀一 氏

福岡で売上高100億円に

　──今回のM&Aの経緯をお聞かせください。

　石川　AVANTIAでは現在、中期経営計画2025を推進しており、そのなかでは「トップラインの拡大」のために地域戦略を重要な位置付けとしております。展開エリアの拡大と深耕によって、地盤である中部圏に次ぐ、第2・第3の柱の育成を目指しており、九州地域においては、2021年6月に福岡支店を開設していました。AVANTIAと当社は、累計1万6,000棟の供給実績をもつAVANTIAのノウハウと福岡エリアでの実績を持つ当社のノウハウという、双方の経営資源を最大限に活用できる環境を模索した結果、今回のM&A実現に至りました。

　AVANTIAの代表取締役である沢田康成氏は、まずは当社とAVANTIA福岡支店で合わせて売上高100億円の達成を目指したいと考えています。AVANTIA福岡支店の今期（23年8月期）の売上高は約30億円、当社の前期（23年3月期）売上高は約31億円でしたが、今回のM&Aにより、まずはこの目標を早期の段階で達成できるように進めてまいりたいと考えております。

　──貴社の特徴や強みは何でしょうか。

　石川　当社では、戸建住宅ブランド「ネクストの家」を展開しており、「経済的」「健康的」「エコ」「楽しむ＋デザイン」の4つの観点から、建売住宅を中心に、お客さま1人ひとりのニーズに合わせた、条件付きおよび注文住宅の建築も手がけています。

　商圏は、福岡市南区および城南区を中心に、福岡都市圏全域です。とくに本社のある城南区および隣接する南区は面積も広く、また人口も多いことから、これまで多くの住宅供給を行ってきました。

　当社の強みは用地仕入れにあります。供給エリアには高低差がある案件もあり、宅地化のハードルが高い土地も多くあります。当社ではこのような土地を造成し、商品化するノウハウを形成してきました。

　また、最近では建設資材の高騰が顕著になり、お客さまへの負担が大きくなっています。当社では、資材調達部門に新たに経験者を採用し、見直しを進めています。調達先も含め、条件や金額など、知識や経験を有する方ならではの視点で再検討を進めることで、販売価格を抑えることができるようになりました。

組織化で成長加速へ

　──AVANTIAとの競合はないのでしょうか。

　石川　AVANTIAは福岡市中心部で建売を、当社では福岡市内中心部を含む福岡県内の広い地域において、建売住宅だけでなく注文住宅を展開しております。また、それぞれがもつブランドである「AVANTIA01」および「ネクストの家」は商品性が異なることでお客さまの層も異なりますので、競合はありません。加えて、用地の選定や条件、販売価格など強みが違うため、それぞれに棲み分けが可能であり、共存共栄ができると確信しております。それぞれがもつブランドで商品展開をしながら、強みを伸ばし、弱みを補い合い、ともに成長できればと考えています。

　──今後期待していることは何でしょうか。

　石川　私が当社にきてまだ数カ月ですが、「個」の力が非常に強いという印象を受けています。現在、より高いレベルを目指して積極的にキャリア採用した人材が、多く在籍しています。多種多様な経験・知見をもった人材が集まり、力を結集することで、個人では難しい課題にも挑戦できるようになっていったのです。部門ごとに着実にチームへとアップデートされてきてはいますが、事業規模の拡大が急激に進んできたので、組織としてのアプロ－チが課題となっています。組織力向上を図ることにより、個人の力はより高い次元で発揮できるようになり、それによってスタッフ1人ひとりの生産性向上も目指していきたいと考えております。ここでは、AVANTIAグル－プが培ってきた企業集団としてのノウハウが活用できるでしょう。そういったシナジー効果を生みながら、拡大していければと考えています。

【杉町　彩紗】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：石川　秀一
所在地：福岡市城南区長尾4-18-9
設　立：2013年4月
資本金：1,000万円
売上高：（23/3）31億2,600万円
ＴＥＬ：092-874-5501
ＵＲＬ：https://next-life-design.com

＜プロフィール＞
石川　秀一（いしかわ・しゅういち）
1974年愛知県生まれ。（株）サンヨーハウジング名古屋（現・（株）AVANTIA）に新卒入社し、販売営業職を経験。2019年からAVANTIAグループ子会社である五朋建設（株）（静岡市）の役員となり、21年12月からの1年間は同社代表取締役を務める。23年7月から現職。