躍動するキコーナとDステ、並び立つ3,000億円企業
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店舗再編で経営資源を集中
パチンコホール・キコーナの経営で知られるアンダーツリーグループ(本社:大阪市西区)は、近年店舗再編を加速させている。23~24年1月末までの間にも、キコーナ峰山店(京都)やアプリイ袋井(静岡)など8店舗を閉店した。
メダルやパチンコ玉の貸し出し枚数・玉数、遊技客の獲得枚数・玉数の管理が、電子データのやり取りで完結するスマスロ・スマパチ。今夏の発行を控える新紙幣に対応した、紙幣識別機の導入など、相応額の設備投資が避けられないホールは、限られた経営資源をどの店舗に集中すべきか、決断を迫られている。
コロナ禍以降のアンダーツリーグループの閉店ラッシュは、こうした状況下における経営判断の結果であると推察される。昨年10月には、主に関東エリアの店舗経営を担っていた(株)アンダーツリー東京を吸収合併し、経営管理の効率化を図っている。
同グループの23年9月期の売上高は3,146億円、経常利益は87億400万円で、それぞれ前期比増収増益。グループ売上高は19年9月期以来の3,000億円超えとなり、自己資本比率は14年9月期以来となる30%台に回復した。アンダーツリー(株)単体では、売上高2,577億円、営業利益73億6,400万円、経常利益66億300万円を計上している。
今年1月には(株)アバンス(大阪市北区)からホール・FREEDOM(パチンコ・スロット設置台数1,000台超)の経営に関する権利義務を承継。天神橋筋六丁目駅の近接地ということもあり、買収額は一部で80億円とも100億円とも囁かれている。かつて福岡のホール・P-ZONE10店舗以上が総額200億円超でDステーション(以下、Dステ)に買収されたことを考えると、1店舗の買収額としていかに破格なのかがうかがい知れる。
残すは佐賀と鹿児島のみ
Dステの経営で知られるNEXUSグループ(群馬県高崎市)は、九州において福岡7店舗、長崎8店舗、大分2店舗、熊本1店舗、宮崎4店舗の22店舗を展開(24年2月現在)。未出店地域は、佐賀と鹿児島を残すのみとなっている。
P-ZONE買収を皮切りに、積極的なM&Aで瞬く間に九州市場でシェアを拡大し、勢力図を塗り替えていったNEXUSグループ。中核企業であるNEXUSの23年6月期の売上高は3,072億4,600万円で、19年6月期以来の3,000億円突破となった。一方で、営業利益は11店舗におよぶ新店舗出店費用や既存店舗における設備費用の増加を受け、3億9,200万円の赤字計上となった。経常利益は営業外収益の計上により、31億4,300万円の黒字を確保した。
NEXUSは24年6月期の目標として、売上高3,800 億円、営業利益95億円を掲げている。関連企業で運送業などを行う(株)カタウンなどの売上を含めると、グループ売上高4,000億円も決して夢物語ではないだろう。
キコーナが九州に進出する気配は今のところ見受けられないが、アンダーツリーグループは将来的な目標として200店舗体制を見据えている。目標達成までの過程で、九州でキコーナとDステ、業界大手が激突する日がやって来るかもしれない。市場の寡占化が進むパチンコ業界において、勢いのある両グループの動向は、今後も注目される。
【代 源太朗】
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