水処理で福岡の生活と発展を支える 防災、海外へと貢献の場を広げていく
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ゼオライト(株)
政令指定都市で唯一、一級河川がないなど、水資源に恵まれているとはいえない福岡市。水処理プラントなどを手がけるゼオライト(株)はその高い技術力と人財育成を核に、わたしたちの生活と安全のみならず、ホテルや病院、商業施設など水資源を大量に使用する施設の水処理を担うことで、福岡市の発展を支えてきた。
約55年継承されてきた理念「良い水創り 人財創り」
1970年8月に設立され、来年55周年を迎えるゼオライト(株)。水処理プラント事業やメンテナンス事業などを柱に、全国でサービス展開する。創業者として長年経営の舵取りをしてきた河村恭輔名誉会長が2020年、夫婦2人三脚で経営の舵取りを行ってきた妻の勝美会長が昨年この世を旅立ったが、2人の志を継いで16年に代表取締役社長に就任した嶋村謙志氏のもと、同社は夫妻の築き上げた「良い水創り人財(ひと)創り」の経営理念を共有し、会社一丸となって邁進し続けている。
事業は主に水処理などのプラント、メンテナンス、宅配であり、逆浸透(RO)膜・限外膜濾過(UF)処理を中心とした水処理プラント、水処理機器の保守管理、ROボトルドウォーターの製造および宅配などを行っている。高純度で安全な水をつくることができるRO膜を利用した専用水道事業においては、国内№1の実績を誇る。
同社の強みは高い技術力とそれに裏付けられた提案力、メンテナンス、人財育成だ。施設に最適な水処理プラントを設計するうえで最も重要な技術を提案できるのは長年の経験の賜物だろう。自社でメンテナンスの技術者を育成し、プラント運用時の諸問題を適切かつ迅速に処理してきたメンテナンスの経験とスキルも同社の大きな強みだ。社員教育や人材育成にも力を入れる同社は23年、24年と連続で健康経営優良法人にも認定されている。
日本全国のホテルや病院、商業施設などに納入実績があり、多くは井水浄水システムの納入だ。天然の地下水を有効活用することで、従来の水道料金と比較して20%~50%の大幅な水道経費削減が期待できる。こうした水を多く使用する施設にとっても、水道代のコストダウン、緊急災害時の給水確保による事業継続(BCP対策)というメリットがあり、持続可能な開発(SDGs)の観点からも見ても時代に合ったビジネスモデルを構築している。
コロナ禍が明けた23年7月期に過去最高の売上高となる38億円を達成した。着実に売上高を伸ばしている。1日の水の供給量も11万tを超えている。水処理プラントのエキスパートとして、社員1人ひとりが半世紀にわたる技術の継承に取り組み続け、今日に至っている。
さらなる地域貢献と新事業で設立60周年を迎える
嶋村社長の次以降の次代の経営を担っていくことへの期待が寄せられるのが、河村名誉会長夫妻の孫で昨年から取締役を務める河村貴博氏だ。河村取締役は現在取り組み始めていること、今度注力していくこととして、防災対策と海外事業などを挙げた。
防災では、防災井戸の活用に取り組んでいる。井戸水から不純物を取り除き、飲用水として使えるレベルにまで浄化する機器を同社が提供する。災害時の使用を想定し、井戸の設置を進める病院や商業施設などが出てきている。
また、今年発生した能登半島地震の復旧支援に携わるなか、水道管の復旧には時間を要することを改めて実感。各自治体のBCP対策として、可搬性の高い水処理機器を所有することを働きかけたいという。
海外事業に関して、すでにサイパンで事業を行っているが、アメリカ本土でも事業化の可能性の調査を行ったほか、ベトナム、カンボジアなどでも事業化調査を進めるという。23年9月には、ホーチミン市で開催された水に関する展示会「ベトウォーター」に福岡市と共同出展したほか、北九州市の海外水ビジネス推進協議会(KOWBA)にも入会しており、今年1月にはプノンペンで開催された「日本-カンボジア上下水道セミナー2024」にも出席した。またベトナム出身の勤勉なエンジニアを新たに採用している。
同社は新たな中期経営計画を策定し、これまで以上に環境への配慮を重視した事業展開を目指している。注目すべき事業の1つとして、同社が進める「再生水」を活用した分散型水循環システムを紹介する。これは地方部の水道インフラ老朽化対策として、地域ごとに独立した水供給システムを構築することで、持続可能な水供給を実現しようという試みだ。嶋村社長によると、同システムは世界中の水不足が深刻な地域でも応用可能という。
シンガポールでは、下水に高度処理を施し再利用したニューウォーター(NEWater)が開発され、飲料水として利用されている。下水処理場での通常処理後に、マイクロフィルター、RO膜、紫外線殺菌の3段階の浄化処理を施しており、日本企業の技術も多く活用されているという。
同社はこのように、今後、国内外の水問題に対する実用的なソリューションを提供し続ける方針を明確にしている。嶋村社長は社会の持続可能性に資する技術開発とその普及活動に、引き続き注力する姿勢を示す。
河村取締役は設立60周年を迎える30年ごろには、「ゼオライトにしかできない、新たな中枢となる事業」の柱を立てたいとの意気込みを語る。同社が今後も国内外の社会に貢献していくことが期待される。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:嶋村謙志
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
TEL:092-441-0793
URL:https://www.zeolite.co.jp法人名
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