TSMC熊本第2工場が着工延期 渋滞深刻化への地域の不満を懸念

 台湾積体電路製造(TSMC)は3日、熊本県菊陽町で予定されている第2工場の着工について25年1~3月期から今年中に延期したことを明らかにした。魏哲家・董事長兼CEOが定時株主総会において、第1工場の建設により交通量が大幅に増え、地元住民からの苦情が出ているためとした。自身も渋滞を体験しており、以前は車で10~15分だった距離が、今では約1時間かかっていると述べた。

 TSMCは交通状況を改善するために日本政府と連絡を取っている。魏董事長は延期について「少し」としたものの、新しいスケジュールは示さなかった。TSMCは2024年2月、第2工場について6/7nmプロセスの製造、27年末の稼働開始を予定していると発表していたが、稼働時期にも遅れが出そうだ。

 懸念される米国の関税による影響をめぐっては、魏董事長はわずかながら価格上昇、需要減少につながる可能性があるとしつつ、AI需要は一貫して非常に強く、また顧客の行動に変化は見られないとした。

【茅野雅弘】

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