小野建が中期経営計画を公表、2028年売上高3,100億円目標

 小野建(株)(東証プライム、福証、北九州市小倉北区、小野建代表)は6月12日、2026年3月期から28年3月期を対象とした第1次中期経営計画を公表した。今回の中期経営計画は、昨年11月に発表された「長期ビジョン2035」の実現に向けた第一歩として位置付けられている。

 同社の長期ビジョン2035では、「鉄と建設に情熱と誇りをもつ企業」として、「地域に根ざす100年企業」を目指しており、第1次中計はその実現に向けた基盤構築の期間となる。

 具体的な数値目標として、28年3月期には売上高3,100億円、営業利益75億円、EBITDA125億円、ROE6.0%を掲げる。さらに、35年3月期には売上高5,000億円、営業利益200億円、EBITDA240億円、ROE10%を目標としている。

 2025年3月期実績は売上高2,719億円、営業利益68億円、EBITDA105億円、ROE5.1%。

 第1次中期経営計画の基本方針は、売上・利益向上に加え、第2次中期経営計画以降の飛躍的な成長を支える財務・非財務の基盤強化だ。とくに、人的資本やIT・DXなどソフト面への投資を重視しており、従来の設備投資から戦略的に転換する。

 事業戦略としては、既存の鉄鋼事業および建設事業のシナジーを一層強化し、「小野建eプレイス構想」を推進。物流や加工能力を高め顧客利便性を追求するとともに、M&Aによる事業領域の拡大も視野に入れる。

 また、非財務面では人的資本の拡充を重視し、経営人材育成やダイバーシティ推進、グローバル人材比率の向上などを掲げた。IT・DXについてもCRMやBIツールの導入、小野建eプレイスの推進を通じ業務効率化を進め、50億円の投資を計画している。

 さらにESGの取り組みとして、環境負荷低減を目的に太陽光パネルやエコカーの導入を推進。地域貢献として奨学金財団「ONOKEN財団」を設立するなど、持続的な成長に向けた施策を充実させる。

 財務面では安定的な株主還元を実施する方針を明確にし、26年3月期は減配を行わず、5億円を上限とする自己株式取得も決議した。今後も機動的な株主還元を行い、資本効率の改善を目指す。

 同社はこの中期経営計画を通じて、事業基盤を強固にし、100年企業への歩みを加速させていく方針だ。

【緒方克美】

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