ジャパネットたかた おせち料理「二重価格表示」で公取委が措置命令、同社は反論
12日、消費者庁および公正取引委員会は、(株)ジャパネットたかた(本社:長崎県佐世保市、高田旭人代表)が、おせち料理の販売にあたって不当な二重価格表示を行っていたことが景品表示法違反に当たるとして措置命令を行った。
消費者庁および公取委の見解
発表によると、ジャパネットたかたの自社通販サイトで販売する「【2025】特大和洋おせち2段重」について、2024年10月8日~11月23日の期間、「ジャパネット通常価格29,980円が」「1万円値引き(7/22~11/23)」「値引き後価格19,980円(税込)」や「~大人気おせちが今ならお得!~早期予約キャンペーン」という表示を行っていた。
「通常価格」と称する2万9,980円という価格が、キャンペーン期間後に実際に販売される将来価格であるかのように表示されており、消費者にとっては「キャンペーン期間が終われば割高になる」あるいは「値引きで買わないと損」という印象を与えるものだった。
しかし、実際にはキャンペーン終了後に当該価格(通常価格2万9,980円)で販売する計画・実態はなかった。つまり、「通常価格」が将来価格としての合理的かつ確実な根拠を備えていたとは認められなかったとして、消費者庁および公取委は、一連の表示を景表法において規制される「有利誤認表示」に当たると判断し、今回の措置となった。

ジャパネットたかたは反論
一方、ジャパネットたかたは、同日、ホームページに『消費者庁からの景品表示法に関する措置命令に対する当社の見解』を発表して、「本件表示は有利誤認には該当しない」とする見解を示している。
主な主張は以下の通り。
- 通常価格2万9,980円はキャンペーン直前まで実際に販売されていた価格であり、比較対象価格として一定の根拠があった。
- 過去の同種キャンペーン(2022年・2023年)でも、キャンペーン終了後に通常価格で販売したという実績があった。2024年も同様の販売計画を立てていたが、期間中に完売してしまった。
- 一括大量仕入れによって在庫リスクを負い、メーカーと企業努力を重ねて高品質の廉価提供を実現している。本件も本来29,980円の商品を43万個の仕入れにより19,980円での提供を実現した。
それに続けて同社は以下のように述べる。
上記の基本方針に沿った当社のビジネスモデルは、通常の店舗やECサイトと大きく異なるものであり、今回の消費者庁の指摘に関しては、本当にお客様のことを考えた判断であると到底思えません。また、おせちは時期を過ぎると廃棄につながりやすい特性があります。早期にご予約いただくことで需要を正確に予測し、売れ残りによる廃棄をなくすことは、食品ロス削減に向けた企業の社会的責任であると考えております。
(中略)
本件に関する当社の見解については、今後、法的な手続きの場で当社の正当性を主張することも含め、適切に対応していく所存です。
指摘に対して、すれ違うジャパネットたかたの反論
ジャパネットたかたの言い分を見ると、たしかに、大量仕入れや過去の販売実績を基に「通常価格」を表示し、それを基に割引を設定すること自体は、業種によっては一般的な慣行として行われている。
しかし、今回の消費者庁と公取委の指摘は、比較対象価格(通常価格)が実際の将来販売に基づいていないにもかかわらず、「割引」「早期予約キャンペーン」として宣伝することは、消費者に“焦って買わせる”圧力をかける表示手法であるとの指摘である。この手法自体は「不当な二重価格表示」の典型的なものであり、消費者庁と公取委は、改めてこのような消費者心理に圧力をかける手法に対して、断固とした姿勢を取ることを明確化したものといえる。
ジャパネットたかたの反論は、消費者庁と公取委に対してというより、同社の顧客に対するメッセージと捉えるのが妥当である。
【寺村朋輝】