【動画】第21回縄文道塾講演『縄文時代の終焉と戦争のはじまり』講師:澤田健一氏

 去る4月22日、第21回縄文道塾が開催された。そのプログラムの1つ、縄文アイヌ研究会主宰の澤田健一氏による『縄文時代の終焉と戦争のはじまり―なぜ日本国内で戦争が始まったのか』と題した講演動画をお届けする。

 縄文時代の集落は、塀も堀もない開放的な空間として知られる。一方、弥生時代の集落には環濠や柵、物見やぐらなどが設けられ、外敵への備えが明確に現れる。澤田氏は、この大きな変化を手がかりに、日本列島で戦争が始まった背景を読み解いていく。

 講演では、縄文時代と弥生時代の違いを「民族の違い」としてではなく、水田稲作を受け入れたかどうかという生活様式の変化として捉える視点が示される。近年の古代DNA研究にも触れながら、従来の「縄文人と渡来系弥生人」という単純な二分法を見直し、日本人の成り立ちをより複層的に考える必要性を説く。

 さらに、澤田氏は『古事記』『日本書紀』に描かれたアマテラスとスサノオの対立を、水田稲作の拡大と、それにともなう森林破壊への抵抗という観点から読み解く。縄文集落の周囲にあったクリやドングリなどの食料林が切り拓かれ、水田へと変わっていく過程で、共同体内部に深刻な対立が生じたのではないかという問題提起だ。

 後半では、クロード・レヴィ=ストロースの日本文明論や、アイヌの長老の言葉を紹介しながら、縄文的な精神性が現代社会に何を問いかけているのかを考察する。自然を人間が「保護する」対象として見るのではなく、人間こそが自然に生かされている存在であり、感謝と折り合いをもって生きるべきだという思想が、戦争や環境破壊を乗り越えるヒントとして語られる。

 縄文から弥生への転換を、単なる時代区分ではなく、日本人の精神史、文明論、そして現代社会の課題へと接続する講義となっている。詳しくは動画をご覧いただきたい。

【寺村朋輝】

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