旭学園の財務リスクと向き合わない小松政・武雄市長の無責任~武雄アジア大学問題
現在、武雄市議会にて令和8年度6月定例会が開かれている。そのなかで6月12日、朝長勇議員が武雄アジア大学について集中的に質疑を行った。
朝長議員が質問を行った論点は複数あるが、そのなかで(学)旭学園の財務リスクをめぐるやりとりを取り上げる。ここに武雄アジア大学問題における小松政・武雄市長の基本スタンスが表れているからだ。
出所:武雄市の公式Youtubeチャンネル
まず朝長議員は冒頭で、武雄アジア大学の誘致に関する小松市長の責任認識を問うた。それに対して小松市長は、「市政の最高責任者として責任を負う」と答弁した。
しかし問題は、小松市長がその責任をはたすために具体的行動をとっているかどうかだ。
旭学園の財務リスクに関するやりとり
朝長議員は質疑のなかで、旭学園の理事長が溝上泰弘氏(ミズホールディングス会長)に交代したことに触れ、「財務状況やリスク管理という観点から、今後の展開について、小松市長と新しい溝上理事長の間で話をしたのか」と問うた。それに対する小松市長の答弁は次の通りだ。
「5月20日に旭学園の理事長が溝上氏に交代され、翌日、市役所に挨拶に来られました。その場では、目下最大の課題である学生確保について、確実な学生確保をお願いしたいと、再三強く求めました。また、溝上理事長の経営手腕を生かして、法人のさらなる発展や人材育成を進めてほしいと伝えました。溝上理事長も、その点について重く受け止めておられました。ただし、具体的なリスク管理については、その場では話していません」。
これにつづいて朝長議員は、武雄アジア大学の初年度の入学生が少なかったことで、初年度だけで資金計画よりも赤字が1億2,000万円程度増加すること、それによって資金計画全体がすでに崩れていると指摘。危機管理の観点から「事前に旭学園の財務状況を積極的に確認し、決算資料を取り寄せてチェックする必要がある」として、「民間企業が倒産するときは、悪い話が突然出てきます。従業員も知らないまま、翌日から来なくてよいといわれることもあります。だからこそ、事前に連携を取り、市が積極的にチェックする必要があります。この点について認識をうかがいます」と問うた。これに対する小松市長の答弁は次の通りだ。
「まず、37人の学生がきてくれました。先ほどの一般質問でも、さまざまな連携が生まれていることが示されました。今後も大学を生かしたまちづくりを進めていきたいと考えています。あわせて、リスク管理については、学生確保も含め、旭学園と連携しながら意見交換を行い、市としていうべきことはしっかり伝えていきたいと考えています」と述べた。
以上が財務リスクに関する朝長議員と小松市長の主なやり取りである。
財務リスクの確認に踏み込まない小松市長
小松市長の答弁は、危機意識に基づく朝長議員の質疑に対して、まるで回答になっていない。まず、小松市長は溝上新理事長との面談について「具体的なリスク管理については、その場では話していません」と答弁した。それに対して朝長議員は、小松市長の危機意識に訴えようと、初年度入学生の少なさとそれにともなう膨大な赤字の増加を指摘し、旭学園から財務資料を取り寄せて財務リスクを積極的にチェックすべきだではないかと小松市長に問うた。しかし、小松市長は「学生たちとまちづくりを進めていきたい」というまったくかみ合わない答弁をしたうえで、財務リスクの確認の必要性という朝長議員の問いに対しては、「市としていうべきことはしっかり伝えていきたい」という抽象的な答えのみで、リスク管理のための具体的な行動については何も答弁していない。
この場では旭学園の財務状況の厳しさについて直接的な指摘はされていないが、それは公開資料を見る限り、また当社もこれまで再三指摘してきた通り、周知の事実なのであって、朝長議員の質疑もそれを前提とした質疑なのである。4月の開学で武雄アジア大学の入学生が著しく低迷した結果となった今、旭学園がはたして財務的に耐えられるのかということは、学生確保と同等かもしくはそれ以上に重要な問題であり、小松市長として説明責任の対象に含まれるはずだ。いくら小松市長が「市政の最高責任者として責任を負う」と口では言っても、その責任をはたすための行動がまるでともなっていないと言わざるを得ない。
ではなぜ、小松市長は旭学園の財務状況を無視し続けるのか? ほかでもない、旭学園の財務状況はもともと悪かったのであって、その旭学園の大学誘致を進めたことは小松市長の重大な責任だからだ。よって、旭学園の財務問題などというものは存在しないかのように小松市長はふるまい続けているのである。
しかし、旭学園の財務状況が、莫大な補助金を投じた武雄アジア大学の事業継続を左右する問題として、もはやいち学校法人だけの問題でないことは明らかだ。朝長議員の質問に対する小松市長の答弁は、その責任を無視するものであり重大な責任放棄だ。
6月の下旬に、おそらく旭学園は、2025年度(26年3月期)の決算を公開するだろう。しかし、それはもう6月定例会が終わった後である。小松市長は説明責任をはたすために、6月定例会で旭学園と武雄アジア大学の事業継続性について議論ができるように、旭学園に対して財務資料の提供を強く求めるべきであった。それをなさずに、「市としていうべきことはしっかり伝えていきたい」という言葉は、まるで空疎である。
武雄アジア大学構想は、武雄市による誘致と膨大な補助金がなければ実現しなかった。武雄市は総事業費36億円のうち、19.5億円(武雄市負担13億円、佐賀県補助6.5億円)の交付を決定したメインスポンサーである。その大学の運営者として旭学園を受け入れたのは小松市長である。武雄アジア大学の事業継続性に係る旭学園の財務リスクについて、小松市長には重大な説明責任がある。
▼下記のページで、武雄市議会の議事録と、朝長議員の一般質問の動画を視ることができる
令和8年6月定例会 本会議録(速報版)
▼当社では旭学園の財務リスクについて検証を行っている
『武雄アジア大学の収支計画が明らかに(3)懸念された旭学園の財務体質と、新設大学の採算ライン』
【寺村朋輝】








