自民が辛くも議長ポストを維持したが、非自民勢力の結束を見せた福岡県議会(前)

 高額な海外視察や正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑などで揺れる福岡県議会の9月定例会が9日に開会し、蔵内勇夫前議長の議員辞職にともなう議長選が行われた。最大会派・自民党県議団の大島道人議員と、非自民会派の統一候補・公明党県議団の新開昌彦団長がいずれも39票で並び、くじ引きにより大島氏が新議長に選出された。

議会への圧力となった全国報道や県民の声

 福岡県議会の議長は長年、自民や公明・旧民主系など交渉会派(5人以上)との調整を経て一番人数の多い自民から選ばれてきた。

 しかし、福岡県議会をめぐる一連の問題が取りざたされるなか、元議長の吉松源昭県議による証言により、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑が発覚し、福岡県内のみならず全国から批判が殺到した。今回の議長選が選挙戦となったのは、「福岡県政のドン」として知られる蔵内勇夫前県議会議長の議員辞職によるものだ。

 吉松氏の証言以降、地元メディアだけでなく全国ニュースとなり、各議員が直接批判に晒されるようになった。在京・在阪メディアが福岡県議会の問題を連日大きく取り上げた。

 来年の統一地方選が近づくなか、自民党県議団をはじめとする県政与党会派の若手・中堅議員の間で動揺が起こるようになった。7月から今月にかけて蔵内氏の地元・筑後市議会で海外視察に関する意見書が全員賛成で可決されて以降、県内各地の議会で同種の意見書が可決し、1日には、大牟田市議会でも「福岡県の海外旅費等支給の全容解明と政治倫理の確立を求める意見書」が全会一致で可決している。

 議長選を従来の慣例にとらわれないかたちで行うべきとしたのは、やはり8月17日の臨時会に提案された蔵内勇夫議長に対する議長職の辞職勧告決議案の採決が動議により中止されたことが原因だろう。自民党県議団だけでなく、民主系の「民主県政クラブ県議団」からも会派会長の原中誠志県議をはじめ10人も動議に賛成し、賛成した県議の事務所などに抗議が殺到している。

 1日、旧民主・社民党系、無所属からなる第2会派の「民主県政クラブ県議団」が会派を解消し、動議に賛成した議員が多い立憲民主党系の「福岡NEXT県議団」(現・県政PLUS県議団)、会派から離脱した立憲3人と無所属5人(うち1人は社民)の計8人が「県民の声ふくおか」、国民民主党2人が「国民民主党県議団」をそれぞれ結成した。「あくまで『分流』」(原中氏)と語ったが、「県民の声ふくおか」のある県議は「情報操作で分流なんていっているが、『分裂』だ」と述べ、「動議だけでなく、データ・マックスが報じたように吉村敏男氏が落選後も何かと口出ししてきたことへの反発がある」と明かした。

当日午前中に非自民勢力が統一候補擁立へ

 こうした議会内外の動きのなかで県議のなかから「自民でいいのか」との声が挙がるようになった。それでも、福岡に限らず「議長は最大会派から」という慣例がある。

 自民(計38人)は4期生のなかで大島氏以外手を挙げる県議はいなかったが、今後の議会運営を鑑みて議長ポストを失うことへの危機感があった。

 一方、非自民系は、紆余曲折を経て議会当日の午前中、公明や旧民主会派から分かれた3会派、保守系の新政会の5会派(計36人)が公明の新開氏を統一候補とすることで合意した。公明は日本一厳しい政治倫理条例をつくることを訴えてきた。

議会後、記者団の取材に応じた公明党県議団・新開昌彦団長
議会後、記者団の取材に応じた公明党県議団・新開昌彦団長

 問題は、2人会派や1人会派の対応である。吉松氏や中村明彦県議の「自由と繁栄の会」や日本維新の会の塩生好紀県議、福岡県農政連公認の栗原悠次県議らも動議に賛成しておらず、この時点で40人となり、自民に近い戸成祥平県議が自民についた場合でも、非自民側が議長職を得るはずだった。

 非自民勢力の公明・新開氏への一本化がまとまり、その情報は各会派の県議やメディアに流れた。「非自民の議長が誕生し、歴史的転換となるのか」、非自民会派や取材にあたっていた各メディアの記者も高揚感とともに、動議のこともあり、巻き返しの可能性も想定され緊張感が漂った。

 非自民勢力がまとまった要因の1つに、自民党県議団を離脱した神崎聡県議の呼びかけもあった。当社の取材に神崎氏は「問題を起こしている自民が議長を務めるのはおかしい」と語ったが、議長となった大島氏とは同じ田川郡選挙区である。自民系内部の争いかと尋ねると「そのような小さな話ではない」と断言した。

 神崎氏や栗原氏ら自民党に近い保守系県議が公明や民主と歩調を合わせて非自民勢力でまとまることに動いたことは大きかった。

(つづく)

【近藤将勝】

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