2024年05月02日( 木 )

創業の哲学を進化させる~ゼオライト(株)新社長インタビュー(後)

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ゼオライト(株) 代表取締役社長 嶋村 謙志 氏

 『良い水創り、人財創り』を経営理念に、現会長で工学博士の河村恭輔氏が1969年11月に創業以来、水づくり一筋に日々たゆまない研究開発を続けてきたゼオライト(株)。同社は、恭輔氏と現社長の河村勝美氏の夫妻が、苦難の時期を乗り越えて「お客様に良い水を届ける」の一心で発展させ、地域社会に貢献し、今日に至る。そして今年8月に、現取締役副社長の嶋村謙志氏が新社長に就任する。同社の新たな歴史の幕開けを前に、嶋村新社長にインタビューした。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

学ぶことの大切さ

 ──話は変わりますが、嶋村新社長は入社されて何年ですか。

 嶋村 1996年4月に入社しましたので、ちょうど20年になります。当時22歳でした。弊社の新卒採用第1号が私でしたので、とても光栄です。当時の社員数は15名で、事務所の扉を開けると、河村(恭輔会長・勝美社長)がいるというスペースの社屋でした。私は、機械工学を専攻しておりました。そして、河村と私の父親が懇意にさせていただいておりました。そのようなご縁もあり、入社させていただいた次第です。

 ──嶋村新社長が入社した1996年頃から、マネジメントの改革が必要と気づき、恭輔会長が着手し始めたのですね。

ゼオライト(株) 嶋村 謙志 代表取締役社長<

ゼオライト(株) 嶋村 謙志 代表取締役社長

 嶋村 そうです。以前の弊社は、ゼネコン・サブコンの下請けが事業の中心を構成しておりました。利幅も低く、手形取引主体で資金繰りが厳しい状況であったそうです。
 そこで現会長(恭輔会長)は、「これからはエンドユーザーと直接取引だ」と営業戦略を大変革するために舵を切られました。ですが、既存の社員のなかには反発する人々もおり、一時は売上高も減少の一途をたどりました。それでも、不退転の意志でエンドユーザーへの営業を継続いたしました。その大変革のおかげで、弊社は生まれ変わり、2004年8月に現社長(勝美社長)が就任し、技術的な分野は現会長、営業の分野は現社長と役割を明確にいたしました。その後、毎期増収増益の経営が実現することとなったのです。当時、営業戦略を大改革したことが、今の弊社にとって大きなターニングポイントだったのです。
 また、現社長の就任前の時期に、日本創造教育研究所主催の経営者向けセミナーを受講したことも、飛躍の大きな要因です。会長、社長とも経営が厳しいなかで、「学ばねばならない」という気持ちになられたことが、すごいと感じました。経営者としての姿勢やマネジメントの本質を学び、気づきがあったのではないでしょうか。当時35名の社員が、今は110名となっております。

崇高な志を引き継ぎ進化させる

 ──営業戦略を大変革したことで貴社の躍進が始まるのですが、その恭輔会長・勝美社長の理念に、初めから共感して人々が付いて行ったのか。それとも、その理念の大切さに気づき始めて付いて行ったのか。嶋村新社長はどう見られていますか。

 嶋村 振り返りますと、理念の大切さに気づき始めてから社員のなかでも機運が高まり、実績が上がってきたと見ております。営業戦略の大変革に反発する者、裏切る者などが出て、会長と社長は大きなショックを受け、心を傷つけられていました。それでも会社は、継続していかねばなりません。お客さまに良い水を届ける、社員を守るという一心で、前進していきました。会長・社長が一心不乱に働いていた姿を見て、社員らも懸命に仕事に打ち込みました。
 エンドユーザーへの営業に大転換したことで、売上高・利益とも上昇し、さらに現金取引が多数を占めるようになりました。そして社員1人ひとりが変わっていき、企業体質が強くなり、業績が改善されていくことで、我が社はさらに進化していきました。何よりも、社長自ら朝の5時前から社員のために朝食を準備し、提供していただける。この温かな社長の心に応えるべく仕事に打ち込むのは、自然な姿であると思います。

 ──最後に、嶋村新社長の今後の意気込みをお聞かせください。

 嶋村 入社以来、会長・社長が試行錯誤し、苦しい経営環境のなかで、良い水をお客さまに提供するというブレない姿勢と理念で、今日まで働かれてきました。その崇高な志を私が引き継いで、より発展させるために、全社一丸となって挑戦し続けていきます。常に変化することを恐れずに、お客さま、そして時流に応じた技術・サービスを開発、提供し、もっと良質の水をお届けします。それが、社員そして社員の家族の幸せにつながり、弊社の進化・発展につながるのです。会長・社長にはまだまだお力添えをいただくことで、より強固な企業体質を構築していく所存です。

 ──本日は、ありがとうございます。ご就任後のさらなるご活躍を心より祈念いたします。

(了)
【文・構成:河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:河村 勝美(会長)
    嶋村 謙志(社長)
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
URL:http://www.zeolite.co.jp/

<プロフィール>
simamura_prf嶋村 謙志(しまむら・けんし)
 1974年1月31日生まれ。福岡県宗像市出身。西日本工業大学工学部機械工学科卒業後、96年4月にゼオライト(株)入社。メンテナンス部に配属される。取締役部長、取締役常務、専務取締役を経て2014年8月取締役副社長に就任。16年8月に代表取締役社長に就任する。

 
(前)

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