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2016年04月05日 16:14

「激動するアジア情勢と中国経済の行方」~浜田和幸・参院議員が講演(前)

 参議院議員で国際政治学者の浜田和幸氏が4月4日、福岡市中央区天神のTKPガーデンシティ天神で「激動するアジア情勢と中国経済の行方」と題し講演した。(株)データ・マックス主催。会場には企業の経営者ら約100人が訪れ、失速しているといわれる中国経済の実相やアジアにおけるパワーバランスの変化など、最新情報を交えた内容に耳を傾けた。

 浜田氏は1953年鳥取県生まれ。東京外国語大卒業、米ジョージ・ワシントン大で政治学博士号を取得。
 新日本製鉄(株)、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、2010年参議院議員に当選した。総務大臣政務官、外務大臣政務官兼東日本大震災復興対策推進会議メンバー、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員などを歴任。参議院では外交防衛、経済産業、内閣の各委員に所属し、ODA特別委員会や憲法調査会でも主導的な役割を果たしている。

浜田 和幸 参院議員<

浜田 和幸 参院議員

 「アジアのことは分かっているようで実態は届いていない」と浜田氏。これまでアジアの戦略環境を考える上で、米国の存在は大きかった。しかし米経済は日本以上の赤字体質に陥っており、「世界の警察官」を担うことはできなくなっている。米大統領選でトランプ旋風が吹き荒れているが、その背景には米国内における格差の極端な広がりがあると指摘。「トランプはメディアで話題になるような話が得意」という。在日米軍の撤退、日本の核保有容認といった過激な発言は実情からかけ離れているものの、元々国際情勢に疎い米国民は容易に信じてしまう。浜田氏はトランプ候補が大統領になる可能性はあるとして、「外務省も泡沫候補として扱っていたが、ここにきてトランプ大統領に備えなければならなくなっている」と慌てふためく日本政府の内情を明かした。

 米国は今後も超大国として存続できるか。そのためにはアジアや太平洋沿岸の国々と連携を取っていく必要があると強調する。歴史的に米国は意図的に脅威を喧伝し軍事力を行使してきた。国防予算は全予算の半分以上を占め、脅威の源泉はロシア、中国、北朝鮮、イラン、ISISという順になっている。中でも北朝鮮は今年に入って「水爆実験」を成功させたと主張。米国は高高度防衛ミサイル(THHAD)システムの韓国配備を進めているが、これにロシアと中国が猛反発する事態になっている。日本にも北朝鮮の脅威論が広がっているが、浜田氏はその可能性は低いとみる。北朝鮮がアフリカで植民地だった国々の独立を支援した事実は報道されず、国交を結んでいる国も160に上り、むしろ国交のない日本は少数派だ。「バランスの取れた見方をする必要がある」と訴える。

 国連の安保理による制裁決議はかなり厳しい内容で、北朝鮮としては反発せざるを得ず、ラムゼー・クラーク元米司法長官も「国連は平和ではなく、戦争を推進する機関になった」と発言した。しかし米国やロシアはこれまで何千回も核実験を実施し、現在も小型核爆弾を開発している。安保理決議は「米国の二枚舌。だまし合いをしている」。経済制裁には効果がなく、日本としてはむしろ北朝鮮が抱える問題の解決に協力した方が国益に繋がるという。現在、北朝鮮の最大の課題は白頭山に大噴火の兆候が見られること。白頭山は何度も大噴火を起こし、現在はその周期に入っていて、実際にその兆候が観測されているという。実際に噴火すれば、その被害は甚大だ。韓国もこの対策だけは北朝鮮に協力しており、日本もそこに加われば、北朝鮮の考えを変えさせることは可能だと浜田氏は説明した。

 アジアで存在感を増しているのがインドだ。人口が増えており、まもなく中国を抜くとみられている。日本もインドと「ビジョン2025」を結び、両国は協力関係を深めようとしている。ルック・イーストからアクト・イーストに転換し、「日本のいいところを学ぼう」としているのが今のインドだ。キーとなるのが人材育成。インドから留学生を招き、日本の技術を伝える。やがて母国に戻った彼らはインドに進出しようとする日本企業との懸け橋の役割を担うだろう。また。インドの台頭は近くに新たな巨大マーケットが生まれるということであり、「新幹線だけでなく、世界的に高い技術力を誇る日本の原発輸出に対する期待はとても大きい」。

 もう一つ浜田氏が注目しているのがベトナム。1億人に近い人口と平均年齢27歳という若さ。初の女性国会議長が誕生し、国としての勢いは増している。さらに中国との南沙諸島問題を抱え、安保の面でも日本と急接近している。今年3月にベトナム海軍がカムラン湾の基地で国際港開港式典を開き、4月には外国軍艦としては初めて日本の護衛艦と潜水艦が寄港した。「ベトナムは粘り強い国民性。日本に対して強烈な期待を寄せている」という。例えば温泉。ベトナムでは温泉が大量に噴出するが、これまで活用されてこなかった。しかし日本の温泉開発技術と経営ノウハウを伝えれば、観光ビジネスに繋がる。浜田氏はベトナムを「日本と協力できる可能性が大きい国」と高く評価した。

(つづく)

 
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