NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、12月26日付の記事を紹介する。
皆さん、クリスマスの季節ですが、美味しいケーキやチョコレートを召し上がっていますか?チョコレートの原料はカカオですが、学名はTheobroma cacaoです。「Theobroma」は「神々の飲み物」を意味します。
この名前は、もともとメキシコや中央アメリカ北西部を含む「メソアメリカ」、そしてヨーロッパの上流階級の人々が贅沢な飲み物として飲んでいた歴史に由来しています。しかし、近年の研究により、カカオは人類が知る最も強力なスーパーフードの一つであり、その健康効果は驚くほど多岐にわたることが明らかになってきました。
実は、カカオは少なくとも4000年前から人類によって栽培されてきた植物です。古代メソアメリカの人々は、苦い飲み物としてカカオを飲んでいたとのこと。この飲み物がヨーロッパにもたらされた後、甘味料を加える習慣が生まれたわけです。現代のチョコレートバーは1800年代に発明されました。
意外な事実ですが、カカオにはおよそ380種類の化学物質が含まれており、その多くは強力な抗酸化作用と抗炎症作用を持っています。ただ、加工されていないカカオ豆はポリフェノールが非常に多く、苦味が強いため、食べるのは難しいとのこと。
カカオ豆を発酵させると、その工程で大量のポリフェノールが除去されます。そのため、健康目的でカカオを摂取する場合は、できるだけ加工度の低いものを選ぶことが重要です。実際、カカオの抗酸化作用は赤ワインや緑茶よりも高いのですから。
カカオは心臓を保護する抗酸化物質が含まれていることに加え、血圧を下げ、血液凝固を予防し、血管拡張を促進し、体重と中心性肥満を減少させる効能が秘められていると考えられてきました。また、化学的に覚醒作用を高め、ストレスを軽減することで、心臓発作や脳卒中など他の危険因子を除去する作用もあるようです。更に、カカオは糖尿病にも効果があり、インスリン抵抗性を低下させ、インスリン感受性を高めると考えられています。
カカオの健康に関する研究のもう一つの主要分野は、抗がん作用です。研究によると、カカオポリフェノールはがん細胞の増殖を抑制し、がんを引き起こすDNA損傷を防ぎ、特定の発がん性化学物質を不活性化することが示唆されています。
研究者たちは、抗酸化物質を豊富に含むカカオが、脳の変性疾患を予防する能力にも関心を寄せています。チョコレートは脳への血流を増加させ、認知能力を高め、加齢に伴う認知機能の低下を抑制し、アルツハイマー病の予防に役立つことも判明しているのです。認知症や脳卒中の治療にも効果が期待されています。まさに「神々からの贈り物」と言っても過言ではありません。
しかも、カカオの健康効果はそれだけではありません。カカオとカカオポリフェノールには、自然免疫系と獲得免疫系の両方を刺激し、運動後の回復を促進します。また、慢性疲労症候群の症状を軽減し、糖尿病患者の白内障を予防し、虫歯を防ぎ、皮膚を保護し、咳を抑える効果もあるようです。驚きませんか?
カカオフラバノールは、人間の腸内でプレバイオティクスとして働き、有益な微生物の増殖を促進することが示されています。チョコレートの摂取は、妊娠中毒症(致命的な合併症となる可能性がある)のリスクを低減する可能性もあるとのこと。更に、カカオは酸化ストレスにさらされたショウジョウバエの寿命を延ばすことも分かっています。要は、延命効果もあり得るという話です。
もちろん、現在もカカオポリフェノールの驚くべき健康増進効果を最大限に引き出す方法については、専門家の間で研究が続けられています。ということは、我々にとって普段の食事にカカオパウダーや、低糖質のダークチョコレートを少し加えるだけで、健康寿命を延ばす可能性があるということでしょう。身近なカカオやチョコレートですが、是非ともこれまで以上に感謝し、じっくりと味わいたいものです。
著者:浜田和幸
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