2024年04月26日( 金 )

社会とともに持続する企業の5つの要素(前)~大久保秀夫氏

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(一社)公益資本主義推進協議会 代表理事・会長 大久保 秀夫 氏

 変化する社会に適応できず、姿を消す企業も多いなか、創業100年以上の老舗が実在するのも確かである。そうした老舗企業の研究をふまえて、日本に昔からあるビジネススタイルとして『公益資本主義』を打ち出し、日本全国の企業経営者に対する教育活動を行っているのが、2014年2月に設立された(一社)公益資本主義推進協議会(略称:PICC)。同協議会の大久保秀夫会長に、『社会とともに存続する企業の在り方』について語っていただいた。

2.7万社超の老舗企業に学ぶ『在り方』

大久保 秀夫 会長<

大久保 秀夫 会長

 僕は、社会のなかで企業が続いていくための要素は5つあると思います。日本は100年続く企業の数が2万7,000社を超えていますが、ここに持続する企業の在り方が隠れています。まず1つは、企業の理念やビジョンというものが非常に深く強く浸透していることです。すなわち「自分の会社を何のために存在するのか」ということについて明文化されていて、それが社員の方々に深く浸透している会社が、僕はいろいろな時代を超えて100年以上続いていくことがわかってきました。

 また、当然ですが、どんどん変わる環境に対して適応しないといけません。そこで商品やサービスをどんどん改良・改善、いわゆるイノベーションをしなくてはならない。すなわち、1つ目の要素とは、『変えてはいけないものは理念・ビジョンであり、変えなくてはいけないものが商品・サービスの内容である』ということをしっかりと理解し、継続した企業が、結果100年以上伸びています。少なくともそういうことを最低限やらなければ企業の継続は難しい。

 次に2つ目の要素は、企業の在り方として「会社は株主のためにある」というのは法律的には正しいけど、そうではなくて、『社員や家族とか、お客様、取引先、株主や社会・地域などのすべてに対して、どれだけ仕事を通して幸せを分配できるのか、その幸せの総和が本当の企業価値』です。社員を苦しめたり、お客様を騙したり、そんなことで出した利益は会社の価値ではありませんよ。会社の価値は全体に対する幸せの総和ですよということが、2つ目に大事なポイントです。

 3つ目が、しっかり税金を払うということ。納税ですね。たとえば、今日の日本は、企業が税金をしっかり払わなければ成り立ちません。だからまず当然のように、今日の日本は税金でまかなうのだから、納税をしっかりしようということ。もう1つは雇用です。社員が安心して働いて、結婚して子どもを産みたいという教育をしなければ、将来どんどん少子化が進みます。だから企業経営者は一時的に社員を雇うのではなく、きちっと社員を雇い、安心を与えることも大事です。最小限度そういったことがなければ、企業としてダメだと思います。

(つづく)
【取材:山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
一般社団法人 公益資本主義推進協議会
代 表:大久保 秀夫
所在地:東京都渋谷区神宮前5-52-2
設 立:2014年1月27日
URL:http://picc.or.jp/

<プロフィール>
ookubo_pr大久保 秀夫 (おおくぼ ひでお)
1954年、東京都生まれ。國學院大學法学部卒業。国内、外資の2つの会社を経て、25歳で新日本工販(株)(現・(株)フォーバル/東証一部上場)を設立、代表取締役に就任。1988年、日本最短記録で店頭登録銘柄(現・JASDAQ)として株式を公開。同年、(社)ニュービジネス協議会から「第1回アントレプレナー大賞」を受賞。その後も、情報通信業界で数々の挑戦を続け、従業員数国内1,586名、海外約330名(2015年3月現在)、法人クライアント数10万社、上場会社3社を含むグループ企業29社を抱えるベンチャーグループに成長させた。2010年、社長職を退き、代表取締役会長に就任。会長職の傍ら、カンボジアにおける高度人材の育成を応援する(公財)CIESF(シーセフ)理事長、NPO法人元気な日本をつくる会 理事長、(一社)公益資本主義推進協議会代表理事、東京商工会議所特別顧問・中小企業国際展開推進委員会委員長なども務めている。

 
(後)

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