2024年05月08日( 水 )

社会とともに持続する企業の5つの要素(後)~大久保秀夫氏

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(一社)公益資本主義推進協議会 代表理事・会長 大久保 秀夫 氏

5つの要素を実践する公益資本主義

九州の経営者への期待を語る大久保会長<

九州の経営者への期待を語る大久保会長

 4つ目に大事なことは、社員に払う給料は「分配」であるということです。普通、給料はコストと呼ばれます。稲盛和夫氏の経営哲学にも「経費は最少に、利益・売上は最大に」とありますが、「社員の給料は決してコストじゃない、これは分配だ」とされています。株主へ配当するのと同じように、社員の給料も実は分配だと。

 分配はたくさん分けるということ。経営者はそういう気持ちを持って経営することが大事であり、「たくさん分配してもらうために頑張って働こうね」ということなので、給料を少なくするのではなく、分配を多くしたいという前提に立たなければいけません。もう1つは教育。自分の子どもに教育するように、社員に対して教育をするのは“投資”です。経費ではありません。そういったことをちゃんとやる会社は伸びていくのではないかと思います。

 最後に5つ目は、持続するには、やはり内部留保をしておかなければいけません。ちゃんと利益を内部留保すること。以上の5つです。

 1つ目は、理念・ビジョン、これらを深く浸透させ変えない。一方、事業と商品、サービスはどんどん変えなくちゃいけない。イノベーションする。

 2つ目は、会社は株主のものじゃない。社員、顧客、株主、家族、地域社会全体に対する幸せの総和が会社の価値ということ。

 3つ目は、企業の在り方として、きちっと納税し、雇用する。今日も明日も日本を支えるという意識を持つこと。

 そして4つ目が、社員がいて会社が成り立つのだから、給料は経費でなくて分配であり、教育は経費じゃなくて投資だということをしっかり理解するということ。

 そして、5つ目が内部留保。以上の5つをしっかりするのが『社会とともに持続する企業の在り方』だと思いますし、これを進めようとしているのが公益資本主義そのものなのです。

地の利と心意気で変革は九州から

 福岡・九州について言えば、明治時代から変革は九州で起きています。サムライが集まって勉強して、九州から「経営の本当の在り方はこうだよね」ということを勉強して広めてもらうことが僕の期待です。

 本当に九州はすごいですね。いろんな意味で武士がいると思います。とくにアジアの玄関であることを考えてみると、日本は今からどんどん少子化で人口が減りますから、いずれアジアへ出なくてはいけなくなります。日本の将来はアジアとの連携なくしてはできない。そう考えると、アジアの玄関は九州ですから、そういう面でも九州の地の利が大事だと思います。そして、精神的には薩摩・長州じゃないけれど、いわゆる明治維新を起こした時のように、現代で大きな変革が起きるのも九州からだと思います。

 地の利としての九州、心意気としての九州という部分で、企業が持続するための5つの要素をちゃんと実行できるのは、九州の若い経営者の方じゃないかと思っています。九州の経営者の方々には、そういう気持ちを持って動いてもらいたいと思います。

(了)
【取材:山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
一般社団法人 公益資本主義推進協議会
代 表:大久保 秀夫
所在地:東京都渋谷区神宮前5-52-2
設 立:2014年1月27日
URL:http://picc.or.jp/

<プロフィール>
ookubo_pr大久保 秀夫 (おおくぼ ひでお)
1954年、東京都生まれ。國學院大學法学部卒業。国内、外資の2つの会社を経て、25歳で新日本工販(株)(現・(株)フォーバル/東証一部上場)を設立、代表取締役に就任。1988年、日本最短記録で店頭登録銘柄(現・JASDAQ)として株式を公開。同年、(社)ニュービジネス協議会から「第1回アントレプレナー大賞」を受賞。その後も、情報通信業界で数々の挑戦を続け、従業員数国内1,586名、海外約330名(2015年3月現在)、法人クライアント数10万社、上場会社3社を含むグループ企業29社を抱えるベンチャーグループに成長させた。2010年、社長職を退き、代表取締役会長に就任。会長職の傍ら、カンボジアにおける高度人材の育成を応援する(公財)CIESF(シーセフ)理事長、NPO法人元気な日本をつくる会 理事長、(一社)公益資本主義推進協議会代表理事、東京商工会議所特別顧問・中小企業国際展開推進委員会委員長なども務めている。

 
(前)

関連記事