わらび座ミュージカル「ジパング青春記」特設ページ
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2016年05月24日 07:03

西村先生、カンボジアで学校を作る(後)~リタイア後の余生を孤児たちと過ごし、介護スタッフを育成へ

一から立ち上げる面白み、ボランティアに頼らず自前で形成

西村 繕久仁 氏<

西村 繕久仁 氏

 西村氏は教師になりたての頃、今では福岡県内の進学校で知られる香住ヶ丘高校で教鞭を執っていた。1984年に開校した同校の一期目の時に同校に赴任したのだが、そこで一から学校組織を作り上げることに参画した経験を持つ。あくまでも学校というシステムのなかであるが、「一から立ち上げる面白さ」を感じた西村氏はそれ以降、誰もやったことがないことに挑戦することに面白みを感じるようになったそうだ。アジアの恵まれない子供たちに教育の機会を提供し、将来、日本の役に立つ学校を作ろうと思った西村氏は当初、ベトナムを候補地として調査していた。だが、たまたま参加したカンボジアのビジネスツアーがキッカケで気持ちがカンボジアに固まった。

 カンボジアはベトナムより経済発展が遅れており国内通貨が米ドルで、為替相場でのリスクが少ない。また、西村氏自らが、ツーリングなどが趣味であることから、海が近いカンボジアでは趣味と社会貢献が同時に行える点で良いと考えた。これが決めてとなり、高校教師を辞めた。だが、“カンボジアで学校を作ろう”と決意をしたまではよかったが、事業を行ううえで、現地での安定した収入のみならず、安定した収益基盤が不可欠と考えた。ボランティア要素が強い事業とはいえ、寄付ばかりに頼っていては継続性に乏しいと判断したためだ。そこで教師を辞職後、不動産投資の世界に入り、今では福岡県内に複数のビルを保有するオーナーとなり、東南アジアで寄付に頼らない孤児院を作るための準備に入った。これには祖父や父親の影響を大きく受けた。元々、西村家は粕屋町で農業を営んでいたが、西村氏の父が40代後半から50代になるにかけて、自身が手掛ける農業の先行きに限界を感じ、倉庫業に転業したことがある。西村氏はこれにヒントを得て、不動産を有効活用することにより、安定した運転資金を得るスキームを作った。そして、現地のリゾートで滞在される方々の滞在費も加えることで、これにより“寄付に頼らない独立採算型の孤児院”の運営を目標としている。

リタイア組が活躍できる場、“引きこもり”の更生にも

 急成長を遂げる新興国カンボジアにおいて、シングルマザーと孤児の増加は社会問題となっている。そのようななか、西村氏が立ち上げる施設では整体師を育成しつつ、ツアー客らのゲストハウスとしても活用しようというものだ。ゲストがマッサージの施術を受けられることもでき、単なる孤児院ではなく、施設自体で収益を採れることも視野に入れている。それが、今年に入り2店舗立ち上げた「SAKURA Hearing Hands Massage」だ。

 また、孤児たちを育てる環境は、日本で定年退職をした老夫婦が第二の人生でカンボジアの地に移住し、リゾートを楽しみながら子供たちの世話をするというものを計画している。来年、カンボジアのケップ州にオープン予定の「Cambodia Volunteer Resort」には既に一期目の募集において、西村氏の同僚だった教師をはじめ、様々な職種の方々が参加を予定している。「そこで子供たちは、日本語は当然のことながら、英語や数学を学ぶ。寺子屋生活ですが、子どもにとっても移住者にとっても共にメリットのあるものだと思っています」と西村氏は語る。

 また、このリゾートとは別に、首都・プノンペンにて、日本で引き籠る子供やニートのために、現地の方々の協力を得てリハビリツアーもスタートした。彼らにも孤児院で子供たちと触れ合いながら、社会に出るための免疫を付けてもらうことが狙いだ。これには西村氏の元教師の血が騒ぐ。福岡市東区の「旅の漫遊」(代表:西山貴嗣氏)がこのツアーを取り扱っている。

 「教育が好き」と自ら公言するように、西村氏の活動の背景には自身が長年従事してきた教育がある。そのなかで西村氏が第二の人生で選んだ仕事も教育だった。西村氏はこれからの人生で25年計画を立てた。これは孤児が西村氏の施設で学び、日本の介護施設で働くまでの年月に相当する。「カンボジアで、孤児を日本語環境で育成する施設を作り、日本とアジアの架け橋になる人材を育成する」のが当面の目標だ。この目標を達成する頃には自身は80歳を超す。日本の高齢化社会に明るい光をもたらすることを期待したい。

(了)

<プロフィール>
nisimura_pr西村 繕久仁(にしむら よしくに)
 1957年 糟屋郡粕屋町生まれ。西南学院中学、福岡高校、九州大学理学部を卒業後、福岡県の高等学校の生物教諭となる。香住丘高校、修猷館高校、筑紫丘高校などで25年教育に携わった。高校在職中に教員の国内留学制度を活用し、長崎大学大学院環境科学研究科にて2年間学ぶ。50歳で退職後、東南アジアで寄付に頼らない孤児院を作るための準備に入り、現在に至る。

 
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