2024年05月06日( 月 )

2010年日本政治を転落させたメディアの大罪

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、有権者がメディアの虚報に惑わされずに済むためのメディアリテラシーについて、実例を挙げて鋭く言及している。


11月20日付日本経済新聞に世論調査に関する記事が掲載されている。
米国大統領選が私たち日本の主権者に与えた最大の教訓は、「メディアの情報操作に騙されるな」ということである。メディアが流す情報のウソと本当を見分ける能力を「メディアリテラシー」と言う。

今回の米大統領選は米国人のメディアリテラシーの高さを示すものである。メディアは完全にクリントン支持だった。そして、トランプ候補に対して集中攻撃、総攻撃を展開した。これに対してトランプ氏が、メディア情報の偏向を強く訴えたことも効果的だった。

しかし、これと同じ情報操作が日本で実行されたなら、日本の有権者はメディア誘導に流されてしまう可能性が高い。7月末の東京都知事選では鳥越俊太郎氏に対してメディアが総攻撃した。メディアの情報操作で80万票が鳥越氏から小池氏に移し替えられたと推定される。これによって選挙結果が変化したと見られる。

メディアの情報操作には裏がある。理由があるのだ。ある候補を勝たせること、あるいは、ある候補を当選させないこと。この目的があり、その目的に沿って情報操作が実行される。

日本経済新聞元経済部長でテレビ東京副社長(元)の池内正人氏は、インターネット上のサイト「あらたにす」に、次のように記述した。「大新聞が得意の世論調査をやればいい」「これが国政選挙の場合だったら、この種の世論調査は不可能だ。選挙法に触れるかもしれない。しかし一政党内の選挙ならば、規制する法律はないと思う」
これは、2010.年9月14日に実施された民主党代表選に関して述べられたものだ。日本の歴史の分岐点になった選挙である。不正選挙が実施されていなければ、この代表選で小沢一郎氏が勝利している。小沢一郎政権が誕生していた。
しかし、現実には菅直人氏が選出された。2009年に誕生した鳩山由紀夫政権の意義をすべて水泡に帰したのが菅直人政権である。そして、菅直人政権が野田佳彦政権に引き継がれて政権交代の意義が完全に破壊されたのである。日本政治史の最大の分岐点になった選挙が2010年9月の民主党代表選である。

テレビメディアではNHKの大越健介氏が小沢一郎氏の当選阻止のために卑劣な情報操作を実行した。大越健介氏はワシントン勤務を経ている。米国の支配者の指令を受ける存在であると推察される。

この流れのなかで、テレビ東京副社長が上記の記述を示したのである。池内氏は記事のなかで民主党の小沢一郎氏の出馬について、次のように記述した。
「仮に小沢氏あるいは鳩山氏が立候補するとすれば、重大な問題を引き起こす可能性がある。この両氏は「政治とカネ」の問題で、民主党の代表と幹事長の職を辞したばかりだ。もし当選すれば、そのまま総理大臣に選出される。特に小沢氏の場合は、首相になってしまうと検察審査会の権限も及ばなくなるという。国民は民主党の規約に口出しはできない。その間隙を縫って、一国の最高首脳が国民の手が届かないところで誕生する形になる。

これは議会制民主主義の盲点かもしれない。
菅氏についても似たようなことが言える。国民の審判なしに、2度も総理の座に就くことになるからだ。ただ菅氏の場合は、急に引退した鳩山氏のあとを継ぐ形で副総理から昇格したという事情はある。」

悲しくなるほどに低レベルの論評である。まともな論拠も示さずに、まさにこじつけと歪んだ認識を元に、単に小沢を落とせと暴言を吐いているに過ぎない。

このような立場から、「大新聞が得意の世論調査をやればいい」と述べているのだから恐ろしい。もちろん、その「世論調査」とは「創作」する「世論調査」である。

※続きは11月20日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1596号「2010年日本政治を転落させたメディアの大罪」で。


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