2024年10月06日( 日 )

福岡市屋台公募、「闇」に覆われた審査結果~ペーパーで3分の2が落選

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 福岡市が昨年秋に実施した屋台の公募に関する情報公開請求に対し、公文書一部公開決定を通知しないという条例違反を犯した経済観光文化局国際経済・コンテンツ部にぎわい振興課(詳細はコチラ)。情報公開条例の理解不足、条文を確認しようとしない不誠実・無責任な姿勢を露呈した同課が、事務局として機能したのが今回の屋台公募の選定である。

真っ黒に塗りつぶされた審査結果

観光スポットエリアの第1次審査結果

観光スポットエリアの第1次審査結果

 今回、公開された文書には、行き過ぎとも思える情報の秘匿があり、審査が限りなく黒に近いグレーであるかのような印象を与える。右は、中洲・長浜の2つのエリアを「観光スポットエリア」として区分し、行われた第一次審査の結果表。一面、真っ黒に塗りつぶされており、内容は不明。2つのエリアに分かれた選定部会委員の内訳も黒く塗りつぶされ、「誰が、どのように、審査を行ったか」については、まったくわからない。

 担当課は、塗りつぶした理由について「公募申請者及び選定委員会委員の個人情報」「屋台営業者の法人等事業情報」「審査基準や選定方法を公開すると、今後の公募事業に支障が出るため」の3点をあげている。応募者が特定できる情報はともかく、審査結果の点数までも隠す必要性はないはず。1月17日、担当課長に対し、この点を含めて公開文書に関する質問を行ったが、その場では回答せず、後日、文書で回答を行うとのこと。10日近く経過した1月27日現在、まだ回答はなされていない。ちなみに、赤い線は合格ラインである。

選定委員にも屋台の名前を秘匿

 2013年9月1日から施行された福岡市屋台基本条例に基づき、今年3月末で営業許可が取り消しとなる28の「名義貸し」の屋台。その28の枠数で今回の公募が行われた。応募者数は108。このうち現在営業中の「名義貸し」の屋台の数が25。第1次審査を合格して面接による第2次審査に進んだ数は36。応募者の3分の2が第1次審査で落選したことになる。

公開?された真っ黒な文書は他にも

公開?された真っ黒な文書は他にも

 公開された選定委員会の議事録によると、その第1次審査では、応募者の営業計画書が「個人が特定できるような部分を黒塗りして、伏せ字をしたうえで」(事務局の説明より一部抜粋)、審査部会委員に渡されたとされている。第1次審査後、一部の委員から、屋台の名前がわからず、普段の営業の様子などを実際に行って確認することができなかったことに疑問の声があがっている。つまり、第1次審査は完全なペーパーテスト。営業計画書の信ぴょう性を含めて、実際に確認することができる「名義貸し」の屋台は、「商業地域エリア」(天神地区)に応募した13軒のうち4軒が落選し、「観光スポットエリア」(中洲・長浜地区)では応募した12軒のうち8軒が落選。応募した25軒の半分がペーパーのみで落選したということになる。

 そもそも、今回の選定において、腑に落ちないことがある。この記事をご覧の読者の方にも考えていただきたい。屋台の魅力とは何だろうか。客同士が肩を並べて座る雰囲気、大将の人柄、料金など、さまざまな要素があるだろうが、決して外せない要素として、まず、“味”があるはずだ。「福岡の屋台の文化を後世につないでいきたい」(高島宗一郎福岡市長)というが、ペーパーテストだけで後世に残すべき屋台の文化が判断できるとはとても思えない。屋台に関する福岡市の考え方、不透明な選定内容など、今回行われた屋台公募は、さまざまな問題を孕んでいる。

【山下 康太】

 

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