2024年03月29日( 金 )

ド派手なセレブ生活も終焉か(4)~(株)ストーンマーケット

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 天然石アクセサリー販売で急成長した(株)ストーンマーケット(本社:福岡市中央区、中村泰二郎社長)だが、業績の悪化から事業の縮小を余儀なくされている。2年半ほど前に「ド派手なセレブ生活は続くのか」と題して同社の凋落を報じたが、いよいよド派手なセレブ生活も終焉が近づいているようだ。

高収益モデル崩壊の理由(1)

 近年の業績推移を見れば、同社が販売不振に陥っていることは明らかだが、なぜそこまで売れなくなったのだろうか。まずは外的要因から見てみよう。

 同社が天然石アクセサリー販売で急成長を遂げたのは、高級品でもなく、おもちゃでもないミドルクラスのアクセサリー市場を創出したことにある。高価な宝石を配したブランド品か、安価なイミテーションしかなかった市場に登場したのが、天然石を大胆にアレンジした同社のアクセサリーだった。ブランド品のアクセサリーよりも気軽に買え、日本では馴染みの薄かった天然石を使うという目新しさもあり、10代、20代の女性に支持された。さらに従来のアクセサリー購買層ではない男性にも広まったことが、同社の成長を後押しした。中村社長が積極的にメディア露出を行い、華やかな芸能人と派手な交流をするという話題作りも奏功した。人気のある芸能人は若者の購入動機に大きな影響を与えるからだ。こうして同社は業界の先駆けとなり、先行者利益を得ることに成功したのである。

 どのビジネスでもそうだが、市場の創出に成功した企業は強い。市場を独占した状態になるため利幅も大きく、これが先行した企業の最大のメリットとなる。一方で、ここから経営者は難しい経営判断を強いられる。起業家としては成功したが、維持発展する事業家になれるかどうかの分かれ目だ。高収益が見込める市場には必ずライバルが出現する。後発組が台頭してくる中で、本業に徹した戦いをするのか、それとも異業種への進出により、さらなる収益源を確保するのか。同社には(株)めのや(島根県)が展開する「アナヒータストーンズ」というライバルが登場した。ほかにも類似商品を扱う企業が増える中で、同社は飲食事業へ進出した。本業で得た利益は十分すぎるほどにあったため、飲食事業でも成功する可能性はあっただろう。だが前述した通り、飲食事業は鳴かず飛ばずのまま撤退する羽目になった。

 業界の先駆者としての地位は維持していても、市場が成熟すれば利幅が失われていくものだ。世界的に天然石アクセサリーのビジネスモデルが確立されたことで、かつては格安で手に入ると言われていた仕入用の石も、相場形成が進み値上がりしていった。同社は徐々に競合激化とコストアップの影響を受け始める。

(つづく)
【特別取材班】

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・ド派手なセレブ生活は続くのか(1)~ストーンマーケット
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