2024年04月24日( 水 )

福岡宿泊市場に提案されたコンセプト型IoTホステル

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 民泊・宿泊サービスの提供を通じて、国内外の旅行者の快適な旅を支援する(株)iVacation(本社:東京都港区、大城崇聡代表)。同社は21日(土)、福岡市中央区今泉、ビックカメラ天神1号館側にコンセプト型IoTホステル「TRIP POD FUKUOKA –snack&bed(S造陸屋根5階建て、延面積279.28m2)」をオープンした。

 TRIPは、同社が企画・開発したIoTデバイス「TRIP PHONE」を介したストレスフリーなサービス提供と、日本ならではのコンセプト――「駄菓子屋さん」の雰囲気に彩られた、ここでしか味わえないひと時を過ごせるIoTホステルだ。

スマート&スムーズにチェックイン

 利用者はまずスマートフォンで事前予約を行い、通知される予約番号をTRIP内受付カウンターのスマートチェックイン機に入力。この際、予約内容の確認と同時に、外国人観光客の場合はパスポートの読み取りも行うので、万が一の事態への対応も安心だ。支払いは事前予約の際に済ますこともできるし、チェックイン機を通した現地でのクレジットカード/現金決済も可能となっている。チェックイン機はタッチパネル式なので、誰でも簡単に操作できる。

 決済終了後、利用者には専用のQRコードキー(名刺サイズのカードキー)が発行され、チェックイン完了となる。TRIP内は、このQRコードキーをかざして移動するかたちになる。そして、ここで利用者に貸し出されるのが旅行者向けIoTデバイス「TRIP PHONE」だ。

いつでもチャットで旅の相談

同社開発のTRIP PHONE

 24時間体制でコンシェルジュがTRIP利用者の相談にチャット対応。おすすめの観光スポットやショップ、飲食店・屋台などの地元情報が気になったとき、利用者はTRIP PHONEを通じて気軽に相談することができる。
 コンシェルジュは国内・外に存在し、日・英・中・韓4カ国語に対応。手書き・音声どちらでも外国語に翻訳(世界31言語に対応)する機能があり、外国人観光客のストレスフリーな旅をサポートする。

 時間・場所を選ばないので、多言語に対応できるフロントマンを一人置くよりも費用対効果も高い。TRIP PHONEは高い評価を受けているようで、現在、旅行代理店などへのレンタルも行われているという。旅の必需品として、TRIP利用時以外にも手にする機会は増えていくかもしれない。

 次はいよいよTRIP内を紹介していく。

お菓子片手にまったり「和」を堪能

 TRIPは前述の通り“コンセプト”型IoTホステルである。コンセプトとなっているのは、ずばり“お菓子”だ。同社は外国人観光客には日本のお菓子文化を楽しんでもらい、日本人利用者には古き良き駄菓子屋さんの雰囲気を味わって欲しいとの思いから、お菓子をコンセプトに選んだ。

 TRIP内のお菓子はすべて食べ放題。将来的には、TRIPでしか手に入らない特別なお菓子を、お土産として提供していくことも視野に入れる。今回福岡での出店ということもあり、TRIP内では「にわかせんぺい」でお馴染みの東雲堂とのコラボ商品やグッズも提供されている。

 TRIPは1階と2階に分かれており、1階が男女共用で2階が女性専用となっている。総ベッド数は全60ベッド。ベッドの入り口はそれぞれ和のテイストあふれる暖簾で仕切られており、この間仕切りの仕方は外国人観光客の目にも新鮮に映るはずだ。

 また、TRIP内にはシャワールームも完備されているほか、歯ブラシなどの洗面用具の提供も行っている。お菓子を楽しみながらまったり休憩という方、ゆっくり体を休めたいという方、TRIPは双方のニーズの受け皿になる。

ついつい手が伸びる充実のラインナップ

腰掛ける際思わず『ごめ~ん』が口に出るかも?

何を求めて泊まるのか

 同社広報担当者は「泊まる理由をつくり出すことが大切です」と話す。
 「どうしてそこに泊まるのですか?」と聞かれた時に、頭に思い浮かぶのは目的の場所に近い、金額が他所と比べて安いなどといった即物的なことが多い。特別な理由があってそこに泊まるといったことは、稀有になっているように思う。
 同社が提案するお菓子をコンセプトとする「TRIP POD FUKUOKA –snack&bed」は、泊まる理由付けが明確に示されているため、福岡市内のどのホテルとも一線を画す。つまり、競合が見当たらない。IoTを活用した利便性の向上とコスト削減の両立も、結果として利用者への新しい宿泊スタイルの提案となる。
 TRIPは現在、「じゃらん」と「楽天トラベル」で予約を受け付けており、10月28日(土)、29日(日)の週末はすでに全ベッドが埋まっているという。今後は外国人観光客向けに、「Booking.com」にも掲載していく予定だ。
 予定時刻までただ時間を過ごす場所ではなく、共通の『好き』を持った人たちと楽しむ場所として――コンセプト型ホテルは、福岡に限らず、全国の宿泊市場で“台風の目“となる可能性を秘めている。

【代 源太朗】

 

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