2024年06月26日( 水 )

【屋台問題】福岡市職員がネット監視、批判的な呟きを「誤認」と断定(4)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 「市の信頼を失墜させた」などとして、福岡市の屋台を題材にした民放のドキュメンタリー番組について抗議を行った福岡市。信頼失墜の証拠としたのは、インターネットの書き込み計108件。それら市井の声をかき集めたのは市職員である。ネット上の発言をチェックし、問題性があると判断すれば、何らかの措置をとる。中国共産党政府が行っているようなネット監視が、日本の地方自治体でも行われていた。自分にとって不都合な報道には、なりふり構わず、対抗措置に打って出る高島市政ならではの行いである。

フジテレビ系の地方局に圧力?

 上記した数々の理不尽は、「エリナの夜明け」でも紹介され、視聴者の多くは女将に同情するとともに、高島市政に激しい怒りを感じたようだ。その怒りの声を福岡市が列記した「誤認」の呟きのなかからいくつか紹介する。


 〇「エリナの夜明け」いい番組だった。てか、本当 行政の人たち許せない…あの人たちだけじゃないし、頑張ってる人もいるんだろうけど、誠意がなさすぎる!!あそこまでお客さん集めるのにみんなどれだけ苦労してるか知らなさすぎなんだよ。

 〇福岡市の課長、税金で飯食ってる公の立場の人間が自分達のせいで職を奪われる危機にあって、それは生命の危機かも知れない人間に、「説明の必要がない」とか外道非道。まさに悪。

 〇お役所仕事の福岡市役所!課長の屋台を考えていない態度がゆるせない!〇〇(黒塗り)は屋台のことを真剣に考えているのに役所は福岡の害悪でしかない!

 〇なんというか、福岡の行政は屋台文化へのリスペクトや感謝がないのか?これ、マジか?どうした、福岡市役所。謝罪すらできないのか。

 〇エリナの夜明け こんな公募 茶番だな 福岡市役所が福岡市をダメにする 今回のザ・ノンフィクションは凄くよかった 役所の悪い所 抉り出したね。

 〇録画していたザノンフィクション「エリナの夜明け」を観て、怒りで頭蓋が破裂する。福岡の行政が最悪すぎて怒声を上げてしまう。頑張って生きている人、汗水たらして働いている人を足蹴にし、街の文化を蔑ろにして恬然としている鉄面皮に臓腑…。

 〇いやだ、いやだ、役所の対応って誠意が感じられない。人の立場になって考えられないのかな。手をあげられて被害届けって、、。言葉の暴力はいいの?

 〇エリナの夜明けを観たら、福岡市役所の役人たちの不誠実さと無能さにイライラした。

 〇ザノンフィクション エリナの夜明けにて、福岡市役所 課長がクズ過ぎることが公に。問題を穏便に解決できないばかりか、胸ぐらを掴まれせるまでに 彼女を追い込んだこの課長は、役職があるにもかかわらず無能であり、それ以前に人として、男としてクズだわ。

(以上、原文ママ)


 BPOへの申立てを担当したのは屋台担当のにぎわい振興課ではなく、市長室広報戦略室報道課。広報戦略室は、高島宗一郎氏が福岡市長就任後に創設。市のPRに政治生命をかける高島市長の直属部隊だ。公開された文書によると、申立てのGOサイン(決済)は広報戦略室長。起案した報道課長によると、「”ある職員”がネットで同番組の存在を知り、問題があると指摘。ネット上の反応を確認した」という。ちなみに、当初、この起案・決裁の文書が公開されておらず、記者の不備の指摘に応じて追加で公開した事実も付記しておく。

福岡市が「誤認」とするつぶやきの一部
※クリックで拡大

 さて、関東地区で放送された番組をいち早くキャッチした「ある職員」とは誰か。以下、あくまで想像に過ぎないが、「エリナの夜明け」は、地元・福岡の人気お笑い芸人がナレーションを担当。番組を視聴した某大物芸能人は、女将の店を訪ねて、高島市政への怒りをぶちまけていた。芸能界での人脈づくりに熱心な高島市長に番組の内容に関する電話やメールがあったとしてもおかしくはない。高島市長は、特別職だが市職員の1人である。

 元民放アナウンサーという出自からは意外とも思えるが、高島市長は、都合の悪い報道をチェックするなど組織内部での情報統制を進めてきた。庁舎内で職員が使用するパソコンの閲覧制限を強化し、報道機関の取材を受けた場合は、広報戦略室へ報告書を提出しなければならない。高島市長自身も、データ・マックス記者をSNS上で閲覧ブロックするなど、徹底している。こうした情報統制の一環か、BPOへの申立てについては、フジテレビ系の地方局にも伝えたという。「問題点があるとして抗議している」といわれれば放送に関し、二の足を踏まざるを得ない。放送しないよう“圧力”をかけたと言っても過言ではないのではないか。現時点で「エリナの夜明け」は、物語の舞台である福岡市はおろか九州でも放送されていない。

 BPOは、個別の案件についての問い合わせには応じないが、審議・審理入りした場合は、ホームページ上に必ず公表するという。フジテレビの広報もまた、「BPOが答えないものについて、答えることはできない」とコメント。福岡市の申立ての結果は不明だが、BPOのホームページには、申立てから2カ月が過ぎた11月1日現在も本件に関する内容は一切公表されていない。

(了)
【山下 康太】

(3)

関連記事