2024年04月20日( 土 )

おそまつな空気清浄機レンタル事業、支払い遅延のSoft-EX(前)

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主力商品が“名無し”に

Soft-EXの空気清浄機

 レンタル用空気清浄機の購入者に対する支払い遅延などでトラブルが発生している(株)Soft-EX(ソフト・イーエックス)。同社がオーナーを募集していた空気清浄機が、商標をめぐる民事訴訟の結果、これまで使用していた商品名が使えなくなっていることがわかった。関係者によると、同社は、同じ商品名の空気清浄機を販売していた他のメーカーと商標をめぐり裁判で争っており、Soft-EX側がこの商品名の使用を差し止めることで和解したという。すでに、同社のホームページからは問題となった商品名が削除されている。

 同社は、2012年4月に設立。当初は、中古のブランド品やパソコンの買取・販売を手がけており、14年1月から電気機器の製造および販売を始めた。メーカーとしての実績は無きに等しかったが、人気芸人の新商品紹介番組や長寿トーク番組のスポンサーとしてCMを出すことで自社商品の知名度を上げ、全国各地に営業拠点を展開していった。

 同社の空気清浄機は、次亜塩素酸水を噴霧し、除菌や消臭を行うというもの。ただし、購入者は自分で使用するわけではなく、同社に業務委託する形で自分が所有している空気清浄機をレンタルする。月々のレンタル料1台約4,000円のうち、約1,000円を「協力金」として購入者に配当する仕組みになっていた。同社は「利回り約5%」などとうたい、若者を中心に1口10台以上(20万円~)で勧誘。同社によると、購入者は全国で2,500名ほど、九州では、九州支店があった福岡市を中心に150~200名が購入したという。

 しかし、今年の1月ごろから、この「協力金」の支払いがストップ。解約した購入者に対して解約金が支払われない状況が11月20日現在も続いている。同社からの支払いを待つ購入者のなかには、金融機関から高金利で数百万円の借り入れを行い、購入代金にあてた事例も少なくない。同社の支店長や社員は若者に借り入れをすすめ、その申請の手伝いも行っていた。金融機関から高金利で借金したものの、約束されていた同社からの支払いはなく、なかには月々の返済に窮して休学に追い込まれた学生もいる。

 支払い遅延について同社は、空気清浄機のレンタル事業の遅れによるキャッシュフローの悪化を理由にしていたが、商品名の使用差止は、広告宣伝効果の減衰により、大打撃となることが考えられる。しかし、この“名無しの空気清浄機”には、名前よりももっと深刻な問題があった。

(つづく)
【山下 康太】

 
(後)

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