2024年05月06日( 月 )

ビットコイン急落、今後どうなる?(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 最近知り合いの奥さんがドバイに行くという話を私は聞かされ、知り合いにどんな用事かと聞いたら、ビットコイン関係で中東に行くことになったという。本人には失礼な話かもしれないが、どう考えても、海外出張をするような方ではなかったので、私はあえて質問したわけである。その奥さんは今までの仕事をやめて、ビットコインにすべてをかけているとのこと。ビットコインをめぐって、韓国では一部ではあるが、ビットコイン投資に過熱現象が起こり、政府でも規制の導入が議論されている。

 ビットコインが最初に登場したのは2009年で、その当時はビットコインについて知っている人はあまりなく、ビットコインの価格は5セント程度であった。その後ビットコインは上昇したり、また暴落したりと、いろいろな変遷をたどってきた。しかし、今年に入ってビットコインは急に上昇し続け、12月の半ばころには相場はピークに達していた。ビットコインは17日には最高記録である1ビットコインで1万9,783ドルという値をつけた。

 その結果、ビットコインは10年も経たないうちに、価格が約4万倍に膨れ上がったことになる。しかし、その後ビットコインは下落基調が続き、たった5日間でピーク時の45%も値を下げている。ビットコイン相場はバブルの様相を呈していたので、各国政府や専門家は相場の行き過ぎに警鐘を鳴らし、最近の相場はその影響かもしれないし、利益を確定させる売りがあったかもしれない。

 ビットコインについては、実際に投資をしている人以外はまだ良く理解していないのが現状で、毎日話題になっているビットコインのニュースがピント来ないのが現実ではなかろうか。ビットコインは仮想通貨の代表的な存在で、データが価値になりうること、送金手数料が安くなること、政府の監督なしで通貨の流通ができることなど、いろいろな意義があることは確認できたので、それはそれで収穫であろう。しかし、ビットコインを運営するなかで、ビットコインの限界や問題点が露呈されたことも事実である。すでにヨーロッパの金融専門家の間では、ビットコインは通貨としては向いていないと判断しているようだ。今回は今まで強調されてきたビットコインの良い面はさておいて、ビットコインの陰の部分をもう少し紹介したい。

 ビットコインが通貨として成り立つためには、普遍性と安定性が大事だろう。ところが、ビットコインは1日に10%から15%の価格変動があり、通貨として安定性にかけているという指摘を受けている。ビットコインのように価格の変動が激しくては、通貨になりえないということだ。ビットコインの保有状況はというと、1%の人が9割のビットコインを保有しているという統計がある。

 このように一部の人にビットコインの保有が偏重していては、流動性に乏しく、通貨の機能が果たせない。それにビットコイン取引の94%は、中国の人民元で行なわれているのも問題として指摘されている。中国では自国の通貨に対する信頼が低く、当局の規制を潜り抜ける手段としてビットコインが重宝されている。しかし、中国政府がいつ、どのような規制を導入するか分からないなかで、もしビットコインに対する規制が導入されれば、相場は一気に崩れることになるだろう。そのようなことが17年に中国では実際起こっている。中国政府はビットコインの大口取引所を検査し、資産逃避やマネーロンダリングなどの違法な取引がないかを調べ、ビットコインの引き出しを凍結すると発表した途端、ビットコインの取引量は100分の1に減った。

(つづく)

 
(後)

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