九州一の印刷会社、九州一楽しい会社へ(前)
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アド印刷(株)
地場大手印刷会社40周年の軌跡
今年3月3日、ホテルオークラ福岡で大々的なパーティーが開催された。福岡を代表する印刷会社、アド印刷(株)の40周年を記念したパーティーだ。集まった人々は約400名。社員や協力業者、印刷工業組合関係者だけでなく、社員の家族も招待されており、華々しくも身内を大切にする同社らしい式典であった。
同社は1978年3月1日、現代表の田平保男社長がたった1人で創業したことに始まる。当初は印刷機器すらなく、頼れるのは印刷会社の営業マンとして築き上げた人脈と、培った知識のみ。同年7月に法人設立を決意し、社員5人でアド印刷としてスタートを切った。
規模・設備ともに極小で、競合も多かった当時、田平社長は顧客に「印刷コストが適正かどうか判断する」という斬新な提案を開始。当時の印刷業界には正確な原価計算システムがなく、コンサル的要素を含んだこの提案が好評を得て、得意先が順調に増加していった。
同社の歴史には複数のターニングポイントが存在する。まず設立3期目に始まった大手紳士服チェーンとの取引。創業から間もない、信用も資金力も乏しい時期だったが、これを契機に急激に売上が伸びることとなる。設立4期目にして資本金を1,000万円増資し、製版設備一式を導入、「製版課」を立ち上げた。設立5年目には売上高8億円を突破している。
第2のターニングポイントとなるのが、95年当時手作業が中心であったプリプレス(印刷機にかける版を作成するまでの一連の工程)にDTP(Desk Top Publishing)を導入したこと。当時、世界的にインターネットが普及し、印刷業界でも「Illustrator」(アドビ社)などのアプリケーションを用いた制作環境への移行が急速に進行。福岡ではDTPへの移行に躊躇する印刷業者が多いなか、同社は一気にDTP化を進め、地場の印刷業界で最も早くDTPを定着させている。
第3のターニングポイントとなるのは、2001年のCTP(Computer to Plate:フィルムを使用せず、レイアウトデータから直接版を出力)システムの導入。これによりデジタルワークフローが完成し、より効率的な作業を可能にした。05年にはメーリング事業が立ち上がり、現在では同社オリジナル商品の1つとなっているオリジナルエコ封筒「イークル」の開発・販売が進むこととなる。
第4のターニングポイントとなる35期(12年)にはWebソリューション課(現・Web事業部)を設立。印刷会社ならではの表現力・技術力と、豊富な提案力で、顧客から大きな支持を得る。いまだ印刷物とウェブの双方を完璧に両立できる印刷会社が少ないなか、いち早くウェブ事業の確立をはたした同社は、「二刀流」の印刷会社として、顧客の幅広い要望に応えることを可能としている。
数々の試みや、時代のニーズを見据えた戦略が奏功し、今や福岡・大阪・東京・鹿児島の4都市に拠点を構え、2つの自社工場と169名の従業員を擁する規模にまで成長した。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:田平 保男
所在地:福岡市博多区榎田1-3-23
設 立:1978年7月
資本金:4,000万円
TEL:092-472-4736
URL:http://www.ad-printing.co.jp<プロフィール>
田平 保男(たびら・やすお)
1947年6月生まれ。八幡大学(現・九州国際大学)卒業後、(株)チューエツに入社、印刷会社の営業マンとして活躍する。78年3月、アド印刷(株)を開業、同年7月に法人設立。現在、福岡印刷工業(協)の理事長も兼任している。関連記事
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