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2018年06月26日 07:02

台湾市場・消費者動向の「今」を考える!(後)

東方線上股份有限公司 執行長 蔡 鴻賢 氏

中国の「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」の影響

 ――前回「E-ICP」(Eastern Integrated Consumer Profile)の2017年の調査結果を教えていただきました。ところで、17年の結果(18年の予測)は、ここ数年に比べて大きな変化がありましたか。

 蔡 3つの変化が見られます。1つ目は台湾に影響を与える国の変化です。歴史的に見れば、台湾は製造業・百貨店などを中心に日本の影響を多く受けてきました。そして、2011年頃からは、コンピューターやハイテク産業・IT産業などのOEMで、欧米の影響を受けてきました。しかし、16年頃からは、中国のアリババの「アリペイ」やテンセントの「ウィーチャットペイ」の決済システムや物流システムの影響を大きく受けるようになっています。現実的にとても効率が良いからです。金融機関が融資する際の個人の信用度調査などでも、従来の勤務先、年収、持ち家などのデータよりも、アリペイやウィーチャットペイの信用度数のほうが判断基準として上位にランクされるようになりつつあります。

ソーシャルメディア抜きで企業活動を考えるのは難しい

東方線上股份有限公司 執行長 蔡 鴻賢 氏

 2つ目は、年を追うごとに、ソーシャルメディアが消費者に与える影響が大きくなっています。Googleの調査(2016年)によると台湾住民の96%以上が「毎日インターネットを利用」しています。アジア太平洋地域では、香港に続いて2番目に高くなっています。消費者はインターネットで商品を検索するだけでなく、商品を購入、その購入情報をインスタグラム(台湾での普及率が50%を超えた無料の写真共有アプリ)などで他人とシェアしています。自分が購入した洋服、靴などが似合っているかどうかの判断を他人に求めています。商品そのものに対する自分の満足感より他人の評価を優先しているのです。

 台湾では2011年、12年ごろにEコマースが発展、2013年、14年ごろにはフェイスブック、ラインが定着してコミュニケーションのプラットフォームができました。今日その利用度はいずれも90%をはるかに超え、まさに台湾は「Everything Social」の社会になりました。そして、今年はさらに進化して、「Everything Live」(SNSなどでLIVE動画公開)の社会に突入しました。もはやソーシャルメディア抜きで企業活動を考えるのは難しいといえます。

 また、スマホに対する依存度が高くなるなかで、ビジュアル性もビジネス成功の鍵となっています。スマホで動画を視聴する消費者の割合は2015年には58.5%でしたが、2017年には72.8%へと大きく跳ね上がりました。今、台湾人の4人に1人は毎日スマホで動画を見ているヘビーユーザーです。洋服や靴などのファッション関係、健康食品、家庭用品などの商品ジャンルを中心に、スマホ経由で消費される購入金額はEC全体の半分以上を占めます。

 日本と比較して大きく違うのは、60代、70代、80代でも、普通にデジタル社会を満喫している点です。スマホ所有の伸び率が一番高いのは60代超の世代です。近所の公園に行けば、どこでもお爺さん、お婆さんが普通にスマホでフェイスブック、ライン、ゲームを楽しんでいます。

若者がある程度豊かな“B⁺”の人生に満足してしまう?

 3つ目は台湾の「新常態」ともいうべき話です。今、台湾の若者は、国内市場が拡大していないにもかかわらず、国際的なマインドセット(海外で新市場を開拓するなど)が、大陸の若者に比べるとできていません。ある程度豊かな“B⁺”の人生に満足してしまうことを懸念しています。私はこのミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代)の若者こそ、デジタル社会に最も適合能力が高く、次世代を牽引していくことができる人たちと考えているからです。
 また、今の社会は「貧しくはないけれどお金持ちとはいえない」いわゆる中流階級の層が減少し、ワンランク下の低価格を追求する層とワンランク上のプレミアム価格を追求する層の2極化状態になりつつあります。

日本企業の第3国への進出のパートナーとして最適

 ――時間になりました。日本の企業や消費者にメッセージをいただけますか。

 蔡 台湾と日本は緊密な貿易関係のもと、多くの分野でビジネスアライアンスを進展させてきました。日本から台湾への投資は年間約300件で推移しています。
 一方で、台湾も日本も少子高齢化が進み、国内市場の拡大は見込めない状況になっており海外市場へ出ていくことを迫られています。日本企業の第3国への進出のパートナーとして台湾企業は最適です。巨大市場である大陸、これから大きな市場拡大が見込める東南アジアの中華圏諸国には絶対です。言葉の面だけでなく、台湾人の持つ海外思考や起業マインドは、とくに日本の中小企業の海外展開の足がかりになり得ると思っています。

 台湾は儒教の影響で教育熱心であり、進学率は高く、欧米、日本に留学して高等教育を受ける学生も増えました。ハイテク業種にとっては、高学歴労働者の存在は魅力です。日本語は英語に続いて学習者の多い言語(年間約20万人)になっています。また台湾人は日本のテレビ番組や流行雑誌への関心が高く、ほぼ「時差ゼロ」で最新情報を手にしていますので、意思の疎通も図りやすいのではないかと思います。

 EOL(東方線上消費者行動研究グループ)としても、日本企業の大陸や東南アジア進出の架け橋となれる様に、引き続き尽力していくつもりです。

(了)
【金木 亮憲】

 
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