2024年04月29日( 月 )

スルガ銀行の不正な消費者ローンを検証する(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 スルガ銀行は企業向けの融資からいち早く撤退し、住宅ローンやアパートローンなど個人向けローンに特化。好業績を維持していたが、最近シェアハウス向けの不正融資問題が浮上して厳しい経営状況となっている。なぜ不正な消費者ローンに取り組んだのか。その要因を探るため、静岡県内で競合する他行の計数とともに検証していくことにしたい。

1.静岡県地銀(4行)の計数について

(1)コア業務純益順位表  【表1】を見ていただきたい

この表から見えるもの

◆コア業務純益は銀行の本来業務(貸出金利息-預金利息)の収益計数である。2018年3月期の静岡県内地銀4行のトップはスルガ銀行で681億円。2位は静岡銀行で492億円。

◆3位は清水銀行で24億円。4位は静岡中央銀行で15億円となっている。日銀のマイナス金利政策の影響が重くのしかかっているのが読み取れる。

※クリックで拡大

(2)経常収益および利益状況  【表2】を見ていただきたい。

この表から見えるもの

◆一般企業の売上高にあたる経常収益の順位表である。1位は静岡銀行で2,240億円。2位はスルガ銀行で1,457億円と善戦しているのがわかる。
・清水銀行や静岡中央銀行はそれぞれ276億円、136億円となっており、上位2行との差は大きく、オーバーバンクの静岡県において生き残るには経営統合以外にはないようだ。

◆当期純利益については静岡銀行がトップで501億円。来期は520億円で増益予想となっている。2位はスルガ銀行で426億円。来期も430億円とわずかではあるが増益予想となっているが、シェアハウスを巡り裁判となっており、予断を許さない状況となっている。

※クリックで拡大

(3)純資産残高順位表  【表3】を見ていただきたい。

この表から見えるもの

◆純資産残高トップは静岡銀行で9,928億円で、2位はスルガ銀行で3,403億円となっている。
スマートデイズのほかにスルガ銀行と組んでサブリースしている不動産業者もいるといわれ、その経営状況次第では純資産はさらに大きく毀損することが予想される。

※クリックで拡大

(4) 静岡地銀の消費者ローンについて  【表4】を見ていただきたい。

この表から見えるもの

◆スルガ銀行の2018年3月期の消費者ローン残高は前期比+186億円で2兆9,259億円(0.6%増)と伸び率は4行中最低となっている。それに対して静岡銀行は前期比+2,084億円の3兆1,157億円と大きく増加させているのがわかる。

◆静岡銀行・清水銀行・静岡中央銀行の3行は消費者ローンと記載。それに対してスルガ銀行は個人ローンと記載している。一般法人への融資が多い3行は消費者ローンと記載しても抵抗はないが、スルガ銀行が消費者ローンと記載すれば、スルガ銀行自体が消費者金融会社と思われることを嫌ってのことと思われる。

※クリックで拡大

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
(後)

関連記事