2024年05月07日( 火 )

市民はブラックボランティアを容認するな

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「利権事業」と化した五輪に警鐘を鳴らす8月5日付の記事を紹介する。


2013年9月7日、アルゼンチンのブレノスアイレスで開かれたIOC総会。安倍首相は次のように述べた。
「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。」
英語での表現はこうだ。
“The situation is under control .”
質疑応答では次のように答えた。
「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の、0.3平方キロmの範囲内で完全にブロックされています。」

しかし、これは真っ赤なウソだった。
福島第一原発の貯水タンクからは毎日300tもの高濃度汚染水が漏洩していた。汚染水が地下水に到達していたことも明らかになっていた。
東電は、2011年4月4日から10日にかけて、港湾内に1万393tの放射能汚染水を意図的に放出した。そして、東電は一日で港湾内の海水の44%が港湾外の海水と交換されていることを明らかにした。
港湾と外海が完全に遮断されているのではない。港湾は外海に接し、港湾内の汚染水が一日で約半分が外海の海水と交換されているのである。
「港湾内で完全にブロックされている」というのは真っ赤なウソだった。東京五輪招致の「立候補ファイル」には東京の気候についても記述がある。
「2020年東京大会の理想的な日程」という項目に次のように記されている。
「この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である。」
東京五輪の開催日程は、開会式が7月24日、閉会式が8月9日である。この時期の気候について、本年のメディアはどう報じているか。
連日、「命に危険がおよぶ暑さ」だと警告しているのではないか。

7月23日から29日の1週間だけで救急搬送された人数は全国で1万3,721人。このうち39人が死亡したと発表されている(消防庁)。7月16~22日は搬送者数2万2,647人、死者65人となっている。死者は2週間で100名を超えている。
23~29日の週の搬送者数、死者数が少ないのは、この週に台風12号が襲来して気温が低下したためである。
この時期の五輪開催が
「アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」
と世界に発信した日本政府は、世界から「ペテン国家」と名指しされることになるだろう。
そもそも、五輪に投入する国費があるなら、その前にやるべきことがいくらでもある。
生活保護の母子加算を廃止して、国民の生存権が脅かされている。義務教育の学校給食費の無償化を実施すれば、子どもの飢餓を解消することができる。
社会保障給付を削り、五輪に血税を注ぎ、無駄の塊でしかないオスプレイやイージスアショア、辺野古米軍基地建設に血税を注ぐのは愚の骨頂である。

※続きは8月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第2104号「利権の祭典=五輪にボランティアは似合わない」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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