2024年04月20日( 土 )

九州地銀の2019年3月期(第1四半期)決算を検証する(2)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2018年6月期の預金残高順位表である。

<この表から見えるもの>
◆九州地銀(18行)の18年6月期の総預金は46兆7,213億円で、前年比+1兆1,974億円(2.6%増)となっている。日銀のマイナス金利政策の影響を受けて、銀行は収益が上がらない状況となっており、金利の高い譲渡性預金は前年比▲1,724億円と大きく減らしているのがわかる。

◆総預金の第1位は福岡銀行で10兆6,400億円。一般預金は前期比+5,042億円だったが、譲渡性預金の取り入れを減らし前期比▲983億円としたため、総預金は前期比+4,059億円(4.0%増)で、そのシェアは22.8%となっている。

◆第2位は西日本シティ銀行の8兆2,836億円で、前年比+2,959億円(3.7%増)。一般預金は前年比+2,894億円。譲渡性預金は前年比+65億円の4,618億円となっており、福岡銀行より213億円多くなっている。総預金のシェアは17.7%となっている。

◆総預金の第3位、4位は九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行。肥後銀行は4兆7,412億円。前年比+644億円(1.4%増)と低い伸び率となっている。その原因は、譲渡性預金を前期比▲444億円の1,977億円にとどめたことによる。一般預金は前年比+1,088億円(2.5%)となっている。

・一方鹿児島銀行の総預金は昨年7月の豪雨災害の復興資金流入などもあり、前年比+1,384億円(3.5%増)の4兆398億円となり、初の4兆円台に乗った。

◆総預金残高の順位変動はなく、第11位の北九州銀行までが1兆円以上となっている。

◆総預金が前年比マイナスの銀行は親和銀行、熊本銀行、長崎銀行の3行。このうちとくに目につくのは長崎銀行で、前年比▲133億円(▲5.3%)の2,387億円となっている。2020年4月1日に、同じ長崎県内を地盤とする十八銀行と親和銀行が合併することが決まったが、その受け皿銀行および対抗銀行としては、力不足の感は否めないというのが現状ではないだろうか。

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~十八銀行とふくおかFGの経営統合の影響について~
 【表2】、【表3】を見ていただきたい。九州地銀FG・FHの預金残高順位表である。

<この表から見えるもの>
◆【表2】はFG・FHの現状の計数である。第1位のふくおかFGの18年6月期の総預金残高は前年比+3,941億円の14兆4,840億円で、そのシェアは31.0%である。
・一方第2位の九州FGは前年比+2,028億円の8兆7,810億円で、そのシェアは18.8%である。第3位の西日本FHは前年比+2,826億円の8兆5,233億円で、そのシェアは18.2%となっている。この3つの金融グループのシェアは68.0%となっている。

◆しかし十八銀行がふくおかFGと経営統合すると、【表3】から見えるようにふくおかFGの総預金は17兆1,746億円となり、そのシェアは36.8%となる。1強2弱が加速することになる。はたして九州FGと西日本FHは今後どのような動きを見せるのだろうか。

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(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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