2024年04月19日( 金 )

「土地の使用は認めない」処分場の地主が踏み切ったわけ~和幸商会

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 福岡市博多区の産廃処分場の経営権をめぐる「乗っ取り」事件が発覚。処分場運営会社では、株主や一部役員の意向を無視した法人運営が明らかになっていた。今年8月中旬から処分場を一時休業し、事業譲渡により別会社での事業再開を予定していたが、処分場土地所有者が土地の使用を認めないことから計画が進んでいないことがわかっている。(産廃処分場乗っ取り計画に黄信号 進まぬ事業譲渡~和幸商会

 データ・マックスの取材に応じた同処分場の土地所有者である(株)ニチド(大阪市、上島稔代表)は「地域の今後を考えて、身を切る決断をした」としたうえで次のように語った。

 「(今年)8月中に処分場内を視察したが本来、安定型の処分場に入れてはいけないものがたくさん目についた。行政に訴えても、指導が追いつかない。このまま違法ゴミが搬入されれば、周辺地域にガスや水質関係で迷惑をかけるおそれもある。そうなる前に、地主の責任として、食い止める必要がある。処分場が稼働しなければ、家賃収入が途絶えるのはもちろんだが、地域の皆さまに迷惑をかけられない」

 苦渋の決断をしたニチド代表者は和幸商会の事業譲渡先である(株)大和での土地使用を認めない方針。先般の大雨で処分場周辺が地崩れを起こしていることも不安材料となっている模様。過去には、福岡県筑紫野市の産廃処分場で、違法な産廃処理により硫化水素ガスが発生し、作業員3名が死亡した事例もある。

 問題の安定型産廃処分場は福岡市博多区金隈にある。2003年より同処分場を運営するのは(株)和幸商会(福岡市博多区、箭内伊和男代表)で、近年は再三にわたり、福岡市より行政指導を受けていた経緯がある。昨年7月に福岡市は安定5品目以外の産業廃棄物の処分を求めて改善命令を発令し、同11月には処分を終え、改善命令が解除。今年に入り、乗っ取り事件が発覚していた。

【東城 洋平】

関連キーワード

関連記事