文化を創造する人の力を礎に 「一風堂」のグローバル戦略|力の源ホールディングス
<COMPANY INFORMATION>
(株)力の源ホールディングス
代 表:河原成美、山根智之
所在地:福岡市中央区大名1-13-14
設 立:1986年10月
資本金:31億4,839万円
TEL:092-762-4445
URL:https://www.chikaranomoto.com
博多ラーメンを世界に発信する「一風堂(IPPUDO)」は、現地の文化や食習慣に合わせた“コピペしない現地化”を貫き、仲間とともに成長してきた。文化をつくるのは人であるとの考えのもと、人材育成と地域との共創を軸に、ラーメンを通じて世界をつなぐグローバル企業へと進化している。
【目次】
- グローバル戦略の肝は コピペではない現地化
一風堂が世界15カ国で展開し、現地文化に合わせた店舗づくりと商品開発でブランド価値を高める取り組みを描く。 - 人材力への投資と 挑戦機会の創出
グローバル社員制度や実践的研修、早期店長登用など、人材への投資と挑戦機会が社員の成長と店舗力向上を支えている。 - ラーメンを通して 地方創生への貢献
ラーメン店のノウハウを生かし、地方都市の有志と協働してご当地ブランドを立ち上げ、地域経済と雇用創出に貢献する。 - 未来への展望 社員と会社の成長
売上高500億円を見据え、人材力の強化とDXを軸に、ラーメン文化を次世代と世界の顧客へつなぐ中長期ビジョンを示す。 - 求人情報
グローバル戦略の肝は
コピペではない現地化
(株)力の源ホールディングスは、1985年に「博多一風堂」をオープンして以来、世界15の国と地域で306店舗(国内2025年6月末時点、海外25年3月末時点)を展開している。
一風堂の海外戦略の大きな特徴は、日本の事業モデルをそっくりそのままコピー&ペーストしないという点だ。ニューヨーク、パリ、オーストラリアなどの店舗は、レイアウトや商品構成がそれぞれ大きく異なっている。共通しているのは、「一風堂」というブランドのもと、現地の人たちに愛される商品、接客スタイル、レイアウトを追求している点だ。
また、商品開発においても、宗教的理由や食生活の違いから豚肉を食べられないお客さまに対応するため、かなり早い段階から豚骨以外の食材を用いたラーメンを開発してきた。
代表取締役社長兼CEOの山根智之氏は次のように語る。「新しい食文化としてラーメンを受け入れてもらうには、現地の人に仲間になってもらうことが一番大切だと考えています。進出初期は品質確立のため日本人スタッフも欠かせませんが、たとえば、台湾やインドネシアでは、すでに現地人が社長やディレクターを務めて、ラーメンを提供しています」。
こうした姿勢からうかがえるのは、同社が海外展開を単なる店舗拡大ではなく、「人」を軸とした文化創造の試みと捉えていることだ。
人材力への投資と
挑戦機会の創出
力の源ホールディングスは、文化を創造する「人」を成長戦略の根幹に位置付ける。日本での採用は海外赴任や転勤の可能性がある「グローバル社員」と「地域限定社員」の2パターンで行っている。応募はグローバル社員が多く、新卒の約半数が海外に興味を示している。
新卒社員に対しては、入社後約1週間の集合研修を実施し、同期との仲間意識の醸成を重視する。社会人としての基礎や会社の理念を学んだ後、配属店舗にてOJTを受け、東京本社1階の浅草橋本舗を新卒社員だけで運営するなど、より実践的な研修を通してマネジメント力、リーダーシップ、コミュニケーション力を育てていく。
意欲的な社員には早期に挑戦の機会が与えられ、入社後1年半から2年未満で店長に昇格するキャリアパスがある。その後も、複数店舗を統括する店長やスーパーバイザーなど、成果を出した仲間にはより多くの挑戦機会が用意されている。今年入社の新卒社員が入社5カ月目でスペイン・バルセロナの立ち上げに社長同行で参加した例もあり、実際に海外での挑戦が実現可能なことを示している。
同社は給与水準の向上に努め、過去3年間で社員のベースアップを20%以上実施し、アルバイトの給与も引き上げてきた。山根氏は、「社員やアルバイトが安心して働ける環境をつくれば、彼らが前向きな挑戦に集中できるようになります。そのことが社員と会社の成長につながると考えています」と語る。
ラーメンを通して
地方創生への貢献
力の源ホールディングスは、事業の効率化とサービス向上を目的としたDXを進めている。受発注業務をデジタル化し、サプライチェーンのやり取りをデータ上で行えるようにした。店舗では、モバイルオーダーの利用などハード面でのDX化も進んでいる。AIについては、主にバックオフィス側でシステム連携効率化に利用されており、試験的ではあるが、次のヒット商品のアイデア創出にも活用が試みられている。
さらに、同社は近年地方創生案件に注力している。これはラーメン屋が少ない地方都市(秋田県男鹿市など)の地元有志からの依頼を受け、一風堂の通常の出店基準に合わない地域であっても、コンサルティングやオペレーション指導を提供するというものだ。
このプロジェクトでは、一風堂の屋号は使わず、現地の事業者が考案した屋号のもと、地元食材の秋田鶏などを用いた地域独自のラーメンを開発し、立ち上げを支援している。一風堂のノウハウを活用しながら、地元の人たちにも潤ってもらい、ラーメンを通じて喜んでもらうことを目指す。現在14~15件のプロジェクトが進んでおり、将来的には100件、200件規模まで拡大を目指している。
未来への展望
社員と会社の成長
力の源ホールディングスは、中期的な目標として、28年3月期までに連結売上高500億円、営業利益50億円以上の達成を掲げている。目標達成には、店舗の営業力強化と新規出店の精度向上が必要だ。
山根氏は、「その基盤となるのは、社員1人ひとりのレベルアップであり、それはお客さまや仲間のことをどこまで深く考えられるかということです。それが私たちの考える人材力です」と語る。
同社は、ラーメンという日本の食文化に敬意を払いながら、それをどうやって次の世代やまだ見ぬ世界中のお客さまに伝えていくかを、とことん考え、行動に移せる強い意思を持つ人材とともに、グローバルな成長と社会貢献を目指している。山根氏は仲間たちが成長し、「もっと仕事くださいよ」と言いにきてくれる日が、最も嬉しい日になるだろうと語る。
<求人情報>
(株)力の源カンパニー
業 種 :飲食店(博多ラーメン専門店「一風堂」等)の運営事業
職 種 :店舗運営(調理・接客業務、売上金・食材管理、店舗の衛生管理、スタッフの育成など店舗運営業務)
勤務地 :全国各地の営業所(店舗)・地域限定正社員あり
採用担当:古俣洋平
TEL :080-4609-4839
採用ページ:https://www.chikaranomoto.com/recruit








