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2018年10月12日 08:30

私はコレでパチンコ屋を辞めました 元ホール経営者が語る廃業のワケ(後)

規制は気にならない

 ――業界から離れた立場だが、昨今の機種の出玉性能やイベントなどへの規制についてどう思うか。

 X 大なり小なり、昔から規制は繰り返されてきたことなので、あまり気にならないと思う。ただ、スロット4号機の撤去は大きかった。どの店も使えないから転売できないし、ほとんどが廃棄するしかない。この時は、パチンコの性能が上がり、かろうじて維持できた。今は、パチンコもスロットもダメになっていて良くなる気配も感じない。

 ルール(基準)というものは、与えられた環境であって、そのなかで面白いものは必ず出てくる。ゲーム機の性能のなかで人気ソフトが開発されるのと同じ。実は、パチンコはここ十数年ルールが変わっていないため、ゲーム性が煮詰まっている。その意味では、ルール変更は頻繁にあったほうが良いのかもしれない。

 4号機撤去の時も、「業界は終わった」「もう面白い台は出てこない」といわれていたが、結局、また撤去されるような出玉性能の高い台が出てきている。別に法の目をかいくぐってとかではなく、与えられた枠組みのなかで各メーカーが努力した結果だ。

 ――業界の再興はあり得るか。

 X それはあると思う。ただし、規制の変わり目でファンをこぼしているのは間違いない。パチンコ・パチスロは、なくなりはしないけど、確実にパイは小さくなっている。頑張って生き残り、残存するところには利益が残ると思う。ただし、昔みたいに安穏と構えてはいられない。のほほんとしていたホール業者が淘汰されている。生き残るには、既存店の売上が減り続けるなか、出店攻勢を緩めないといった覚悟も必要だ。

 ――客層の高齢化を感じていたか。

 X 若年層もいるが、やはり平日の昼間で時間に余裕がある高齢者が多い。ホールは、一番数が多い客層に楽しんでもらえることを考えるから、1円パチンコなどの低貸スタイルに力を入れる。

 ――今ではすっかり定着しているが、低貸スタイルの考え方とは。

 X シンプルにいうと、客単価は4分の1になるが、滞在時間が4倍になれば良いというもの。高齢者には、やはり勝ち負けも大事だが、長い時間楽しみたいという考えがある。短時間で年金1万円を失うのは、さすがにキツイ。全体的に売上が減るなかで、客数や機械の稼働率を維持するための手段だ。

 ――来店ポイントといったパチンコ以外でのサービスが増えている。

 X 何の商売でも同じだが、リピート率を上げるためにやっている。ライターの来店イベントも来店動機の1つ。やれることは何でもやろうという考え方だ。

パチンコは滅びない

 ――カジノの影響はあると思うか。

 X 近隣のホールは影響を受けると思う。ただし、競馬場や競輪場の近くのホールは客付が良かったりもするから、どう転ぶかはわからない。パチンコ・パチスロとカジノは娯楽としての質が違う。パチンコ・パチスロには、“時間をかけるゲーム性”があり、遊技しながら何か(あたり)を待つというのはパチンコ・パチスロぐらいだろう。ギャンブルというくくりで一緒くたにはできない。

 今後のパチンコ業界を考えた時、危惧されるのは、日本のカジノが大コケし、パチンコのせいにされて規制が強化されるということだ。カジノの競合相手は、アジアであれば、マカオやシンガポールになってくる。成功するためには、スポーツや大掛かりなショー、滞在時間を延ばすための、さまざまな町ぐるみの仕掛け、エンターテインメントが必要となる。

 そして、ランニングコストが莫大にかかる結果、カジノは客層が限定される。富裕層相手のビジネスとなり、数万円のお小遣いを握って遊びに来る客は相手にならない。少ない金額で楽しめる大衆向けの娯楽とはなり得ない。今は、ずっと拡大し続けてきたパチンコ市場が、人口減少社会にも応じて適正規模になっていくという段階だと考えているが、より多くの人が平等に楽しめる娯楽が、「浄化作戦」の名のもとで淘汰されはしないか心配だ。

(了)
【聞き手・文:山下 康太】

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