2024年03月29日( 金 )

「遺失物」となったペットの行方

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 「犬」「猫」をキーワードにネット検索をすると、たくさんの情報がヒットする。可愛い画像に動画、ほのぼのとしたエピソードなど、そのほとんどがプラスイメージの情報だ。しかし、それらの情報に交じって見つけた「殺処分」の文字。「保護された動物はすぐ殺されている」という言葉とともに添えられていたのは、1匹の子猫の画像だった。

 犬や猫を始め、私たちの身近には多くの動物がいる。ペットとして自宅に迎えいれる人、動物たちとふれあえるお店に足を運ぶ人、道端で出会う動物との一期一会を楽しむ人など、ふれあい方もさまざまだ。しかし、愛されて大切にされる動物がいる一方で、人間の愛情からはぐれてしまった動物たちがいることもまた事実である。
 季節は秋へと変わり、じきに冬が訪れる。冷たい風を切って歩く道すがら、寒さに震える一匹の動物を見つけてしまったら、あなたはどう行動するだろうか?自宅に連れて帰れない、けれど見捨ててもいけない、そうなった場合、すがる先は警察である。

 警察に届けられた動物は「遺失物」として扱われる。警察は、引き取られた動物の「所有者」を探すために、迷子動物の届けが提出されていないか、保健所に迷子の問い合わせがきていないかの確認を行う。マイクロチップでの所有者の確認については、設備が整っておらず署内では確認できないため、動物愛護センターなどの施設で行われているという。

 遺失物法では、「2週間以内に所有者が見つからない場合はこれを売却・処分することができる」と規定されているが、福岡県警に確認したところ、遺失物法に動物に対する規定はあると前置きしたうえで「2週間という期限はあるが、絶対守らなければならないという期限(規定)ではない」との回答だった。
 詳しく聞いてみると、「遺失物」として届けられる動物は、犬や猫を始め、蛇や亀などさまざまだ。しかし、警察には動物を長期間保護できる施設はなく、動物の対応ができる専門の職員もいない。そのため、長期間にわたって動物を保護し続けることが難しい事情があるという。動物愛護の観点からも、専門的知識と飼育環境の整った施設へすぐ引き渡しているというが、引き渡し時期について尋ねたところ、「翌日引き渡すこともある」とのことだった。警察での保護期間の短さに驚き、「殺処分後に飼い主が判明する動物もいるのでは?」と尋ねると「それはわからない」という回答だった。

 環境省が発表した平成28年度の統計によると、福岡県の犬・猫の引き取り数は2,476件で、そのうち飼い主が判明し、返還された数は442件、新しい飼い主への譲渡数が494件、殺処分数が1,569件となっている。442件という数字を多いと見るか、少ないと見るかの判断は難しい。

 

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