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2018年10月26日 11:43

【特別寄稿】欠陥マンション被害者を怒らせた鹿島建設・押味社長の発言

(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

木片がコンクリート内部に混入

 KYBによる免震・制震装置のデータ改ざんと豊洲市場 水産仲卸売場棟の耐震偽装について小池百合子東京都知事の発言が「二枚舌」(関連リンク参照)であると指摘したが、今度は、スーパーゼネコン鹿島建設の押味至一社長から、「二枚舌」発言が飛び出した。開いた口が塞がらない。

 NetIB-NEWSで何度も報じられているように、鹿島建設は、福岡県久留米市の分譲マンションの施工ミスで、複数の区分所有者から損害賠償請求訴訟を起こされている(現在、審理中)。この分譲マンションについて鹿島建設は、「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ不足(かぶり厚さゼロの箇所も多数)が建物全体におよんでいる(建築基準法施行令第79条に違反)」 「図面に明記された梁を全階30カ所も施工していない(建設業法違反)」「コンクリートの中性化が異常に進行している」「コンクリート内部に多くの異物が混入」「人の頭程度の大きさのコンクリート片が脱落」など、施工ミスに起因するさまざまな事象や法令・規準違反を犯している。

 しかし、裁判で鹿島建設は、これらの違法行為(不法行為)について、「図面通りに施工しなくて何が悪い。現に建物は倒れていないではないか!」という姿勢に終始しており、マンションの区分所有者の資産価値を不当に減じたことや居住者を不安に陥れたことなど微塵も省みない大企業のエゴ丸出しの態度を露呈している。

 一方で鹿島建設は、下請業者である久留米市地場の栗木工務店に対し「施工が非常に悪い」と損害賠償を請求していた。つまり、施工の瑕疵を認めているのである。マンションの区分所有者には「図面通りに施工していなくても、法令・規準に違反していても問題ない」と主張し、一方で工事を丸投げした下請業者に対しては「施工が酷い、賠償しろ」と詰め寄る、まさに「二枚舌」とも取れる対応であり、そこには一流企業としてのひとかけらの企業倫理も感じられない。

 では、KYBによるデータ改ざんに関する、鹿島建設・押味社長の「二枚舌」発言とは何か?

 一部メディアによると、KYBによるデータ改ざんが行われた可能性がある建物1,095棟のうち建物名が公表されたのが70棟にとどまっていることに不信感を募らせ、「至って遺憾である。まさに信頼して使ってきた側として残念」「住んでいる人などにとって不安な現状だ」とコメントしたという。

 この押味社長の発言を知った久留米市の欠陥マンションの原告の数名は、「どの口が言っているのか!」と怒りを顕わにする。この怒りは当然であろう。いつ倒壊するか分からないマンションに住み、欠陥マンションゆえに資産価値がゼロに等しく売却もできない状況に追い込まれている区分所有者たちの神経を逆なでする無神経な発言であるとともに、この「二枚舌」発言は、鹿島建設の本質をよく表している。

梁のコンクリートが剥落

 鹿島建設が追い求めているのはカネなのである。もちろん、営利企業である以上、利益を追求することは何ら非難を受けることではない。しかし、ユーザーの犠牲の上に成り立つ利益に何の意味があるのか。企業倫理に反しているのではないか。

 久留米市の欠陥マンションの区分所有者に購入動機を聞いたところ、ほぼ全員が「鹿島建設の施工だから安心と思って購入した」と答えた。安心だと思ったスーパーゼネコンの正体が、利益のためには手抜き工事も辞さないという倫理の欠片もない企業であると知っていたなら誰も購入しなかったであろう。

 たとえば、バンジージャンプに使用するロープのゴムが不良品であることが判明している状況を知った者がバンジージャンプを飛ぶことできるであろうか? ゴムが伸びすぎれば地面に激突するし、短ければ衝撃が強すぎて体にダメージを負う。免震・制震装置のデータ改ざんも久留米市の分譲マンションにおける鹿島建設手抜き工事も、バンジージャンプのゴムの不良品と同じような不安を与えているのである。

 鹿島建設もKYBも川金HDも、企業の倫理観を根本的に変えない限り、同じ過ちを繰り返すことになる。法令・規準遵守、ユーザーの安全第一に、誠意ある対応を願うものである。

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