2024年04月19日( 金 )

時の移り変わりで空間を体感するアート アール・グラージュの感動の魅力

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 アール・グラージュは音楽と光の力で1枚の絵画の世界の時の移り変わりを感じ、まるでその空間のその一瞬を体験しているような感動を生む世界で初めてのアートだ。光と音と絵画の総合的な感性をもって、国内や海外問わず多くの人に感動と癒しをもたらすアール・グラージュの独自アイデアはどこから生まれたのか、その魅力を探る。

時の移り変わる空間で感動をアートとして表現する

アール・グラージュ作品「地球の夜明け」

 旅先でふとしたひと時に、広大な景色や心揺さぶる風景に心から感動したことはないだろうか。写真や動画では語りきれないその時をアートで表現することを可能にしたもの、それがアール・グラージュ(ART GRAGE)だ。美術品として絵画を楽しむことや、心に響く音楽を愛でることは、これまでもアートの世界で数多く行われてきた。しかし、物事のバーチャル化やデジタル化が進むなかで、それらと対極の感覚である「体験」の存在は日々確実なものとなり、人は生きている以上、誰しもがその「体験」から感じる感動を何よりも求めているのではないかと感じる。

 アール・グラージュは、絵画だけでも音楽だけでもなく感動を空間で感じる世界初のアートだ。1日のなかで朝の光、昼の光、夜の月の光と変化し、季節のなかで春夏秋冬が移り変わるように、アール・グラージュは光の力で時の移り変わりを感じ、まさにその時にその空間のその場所の「絵の世界」にいるように感じる。その「体験」を人の力でアートとして創造しているのだ。

 富士山に登る朝日をテーマにした「地球の夜明け」は富士山世界文化遺産登録記念として、画家の秀彩とコラボレーションを行い、(株)アール・グラージュ・インターナショナル代表取締役社長・仲埜和男氏がプロデュースした作品だ。旅行中に出会った日没の感動を芸術としてかたちにしたいと思い、空中で撮影した富士山の風景をもとに、光の移り変わりに注目して作品を制作した。日本の美学を世界に発信したいという思いで、作品をつくり上げた。

絵を見る時の空気感でその感じ方が変わる

アール・グラージュ・インターナショナル
仲埜 和男 社長

 同じ絵を見る時でも、どのような空間で見るか、どのような音楽を楽しみながら見るかで、その時に感じる空気感も変わってくることが不思議だ。瀬戸龍介氏の「はるかなる伊勢」の和の世界を感じる音楽とともに、アール・グラージュの「地球の夜明け」を体感すると、不思議と心の底からすっと透明な気持ちになり、人としての原点に帰るような癒しを感じる。また、同じ「地球の夜明け」の絵を「リベラ」という天使の歌声の合唱団の音楽とともに鑑賞すると、絵のなかの太陽の光がキラキラと輝くような空間になり、同じ絵でも、ともに鑑賞する音楽が変わると、絵が見せる表情が違ってくるという。アール・グラージュは絵を鑑賞するときの周りの環境や空気感で作品の感じ方が変わるというところに注目してかたちにした、独自のアートではないだろうか。絵画として描いたその空間の一瞬にとどまらず、時の移り変わりを光のグラデーションで映し出すことが何よりも感動を生む。購入された方には、この感動を人と共有したいと感じる方が多いという。

コレクターは国内・海外問わず数多い

 アール・グラージュは、サウジアラビア国王陛下が「地球の夜明け」を所有されているほか、エリザベス女王総裁英国王立園芸協会ロイヤルファミリーが石原和幸氏とのコラボレーション作品「里山の暮らし」を所蔵されており、マイケル・ジャクソンがゲリー・フェンスキー氏とのコラボレーション作品「ロンサム・ヴィジル」などを所有していることをはじめ、コレクターは国内や海外問わず数多い。

「癒し」効果に思わぬ反響

 また、アール・グラージュのアート技術は、日本や米国などで絵画と音楽と光による総合技術として、心の平和すなわち「癒し」効果に関する特許を取得している。そのアートがもたらす「癒し」には、思わぬ反響があった。「癒し」の効果で、心が元気になって精神的に良い影響が出るという事例が生まれている。たとえば、自然のなかで少し散歩をすると自然に癒されて元気になることや美しいものを見て感動することと同様の感覚だ。アール・グラージュを鑑賞してその「癒し」を体感した医師の言葉のなかには、「医学ではアートは昔、薬だった」というコメントもあったという。

アーティストとの出会いが作品を生み出す

 仲埜氏は1994年にアール・グラージュを構想して以来、25年以上アール・グラージュの制作に取り組んでいる。実際の制作プロジェクトでは、プロデューサーとして画家や作家や音楽家の思いを1つにして作品をつくり上げる。作品の制作の過程は、1つのドラマを生み出すようで映画制作にも似ている。画家や作家や音楽家との出会いが、多くのアール・グラージュの作品を誕生させた。これまで、ブリキのおもちゃ博物館館長・北原照久氏とのコラボレーションの「オーシャン~世界でいちばん優しい海~」、華道家の假屋崎省吾氏とのコラボレーションの「永遠の桜」、チェコ共和国のアルフォンス・ミュシャ財団とのコラボレーション「黄道十二宮/Zodiac」「椿姫」「夢想」を始めとする7作品などの数多くのアール・グラージュ作品が発表されている。今後は、画家のマーク・エステル氏とのコラボレーション作品の制作を予定している。

絵画のある空間そのものを楽しむ

 また、仲埜氏はアール・グラージュを制作するなかで、絵をそのまま展示するにとどまらず、絵を鑑賞する空間を総合的にプロデュースして提案している。絵画そのものの存在を鑑賞するだけではない。絵画をその空間とともに楽しむということ、たとえば和の文化を体感する絵は和の部屋、西洋の趣のある絵は洋風の部屋という空間で味わうということだ。その絵を鑑賞する空間のあり方次第で、鑑賞者が絵画から感じる気持ちは違ってくる。また、部屋に絵画を飾ることは、部屋の空間そのものの空気感を変える。

西洋の趣のある絵画を洋風の空間で味わう
絵画を和の文化と共に体感する

感動する時間が人としての発想を広げる

 現代は情報化社会で、生きていると日々の情報のインプットが多い。絵を非日常の空間として味わい、感動する時間をもつことで、思考を止めて心を無にする瞬間が生まれる。そして、その心を無にした時間や空間から心の平和が生まれて、人としての発想が広がり、創造をもたらす新たな感性が生まれると感じる。

【取材・文・構成:石井 ゆかり】

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