• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年01月29日 09:19

建物の「美」と「健康」を極めることで、100年後は世界にその名を轟かせたい(後) 時代を紡ぐ企業110社 

日本ビルケア (株)

福岡県中小企業家同友会との出会い

 当時、勢いよく事業を推し進めた山田氏の心中にあったのは「こいつらを何とか食わせていければいい」。今にして思えば経営の何たるかをまったく理解していなかったと自身を振り返る。

 「つまりは社員に未来を見せてあげることができなかった。いや、その必要性にすら気づいていなかったでしょう」。一時は20名まで増えた社員が、次々と自分のもとを去っていく。

 そんな山田氏の転機となったのが、世にいう姉歯事件、そしてリーマン・ショックだった。好調だった業績が一気に減速し、苦境に立っていたさなか、福岡県中小企業家同友会と出会い、そのメンバーとなる。

 ご存知の方も多いだろうが、中小企業家同友会とはより良い会社づくりを考える経営者たちが集まる団体だ。1957年に東京で設立され、63年には福岡県中小企業家同友会が誕生。現在では全国47都道府県に約4万6,000名が加盟し、福岡県下では21支部、2,100名を超える会員が、切磋琢磨しながら、それぞれの理想を追い求めている。山田氏はここで多くの先輩諸氏と接点をもてたことで、経営の何たるかを身に染みて理解するに至ったという。

 「とくに強く意識するようになったのは、社員たちの満足をいかに創造していくかです。同友会では社員満足以上の顧客満足はないということに気づかせてもらいました。いうならば社員ファースト。社長としての基本の姿勢です」。

 これを契機にまず山田氏が変わり、やがては社内のムードも一変した。風通しの良い会社になったと胸を張る。

 「年に2度ほど社員との個別面談を続けていますが、ここで本音を聞けるようになりました。その多くは、たとえば会社や仕事に対する不満を聞く場なのですが、それまであまり口にすることはありませんでしたから、彼らにしてみれば私と話しやすくなったということだと思います。私もそこで得た情報を次の施策に生かしていけるわけですから、以前より視界が広がったことはいうまでもありません」。

 現在、山田氏の同友会での役職は福岡地区の副幹事長。次世代の経営者たちに自分が学んだことを伝えていく立場にある。

人材育成こそが企業発展の要

 日本ビルケアが仕事を引き受ける際、ある理想があるという。それは「自転車で通える現場」である。実際はもう少し広いエリアにはなるが、それでも本社から片道2時間以内で通える範囲であることが受注するかどうかの判断基準となっているそうだ。

 「これ以上離れてしまうと現場での宿泊を余儀なくされます。また、現場が拡散してしまうことになりますから、社員は必然的に1つの現場にべったりと張り付くことになります。これでは人材が育ちにくくなる。いろいろな現場を見て、体験して、豊かな経験を積んでほしいから、自転車で通える程度のエリアが理想なんです。この環境で仕事ができれば人は育ちます」。こうした考えにも山田氏が語る社員ファーストへの思いが表れる。

 福岡ヤフオク!ドーム、キャナルシティ博多、アクロス福岡といった福岡の名だたるビルの維持保全に関わる同社だが、仕事に対する顧客満足度は極めて高い。「顧客の声をよく聴いて安心の本質を創造する」という創業の精神にある言葉が、決してお題目ではなく実践されていることの証だろう。また、その背景には社員個々の能力とプロフェッショナルとしての気概がある。優秀な人材の育成こそが同社成長の主柱になっていることは明らかだ。

 近年は毎年2名のペースで新卒採用を推し進めているというが、山田氏が新しい人材にこだわるのには理由がある。「経営は本当にすばらしい役割であり仕事だと思います。そして何よりも長期間かけて人材を育てられることが一番の醍醐味です。人づくりを通して今以上に地域に貢献していきたいですね」。

 なりたくてなった社長ではない。人生の大番狂わせで社長になった山田氏だが、日本ビルケアを設立し、ある時は苦しみ、またある時は出会いを経験したことで、自分は経営者になるべくしてなったと思うまでになったという。建物の「美」と「健康」を極めることで社員とともに未来を拓き、100年後には世界に日本ビルケアの名を轟かせたい。そう語る現在の姿には、経営者としての大いなる覚悟がうかがえた。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:山田 秀樹
所在地:福岡市博多区神屋町4-5 KS神屋町ビル6F
設 立:2001年8月
資本金:2,000万円
TEL:092-263-0060
URL:http://n-builcare.jp

<プロフィール>
山田 秀樹(やまだ・ひでき)

 1958年9月16日生まれ。2001年8月に(有)日本ビルケア(現・日本ビルケア(株))を設立。トップ営業の実施や、自ら開発した工法の特許をもつなど、経営者の枠にとどまらない行動力を見せる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年07月05日 07:00

プラスチック製レジ袋の有料化 各社各様でスタートNEW!

 7月1日から全国で一律にプラスチック製レジ袋の有料化が始まった。持ち手のない袋やバイオマス素材25%以上配合の袋は対象外となる...

イージス・アショア中止は日本発の防衛システムへの転換点(4)NEW!

 そもそも7年前に導入が決まった時点では、1基の建造費は800億円と言われていた。それが、あれよあれよという間に2倍以上に膨れ上がり、2基併せて4,500億円になって...

2020年07月04日 07:00

【凡学一生の優しい法律学】関電責任取締役提訴事件(3)真実隠蔽過程の序章

 かつて「関電疑獄」として、関電収賄事件の解説記事を連載した。そのとき、不祥事を引き起こした取締役会自身の手によって、ヤメ検を中心とした真相究明を目的とする「第三者委...

2020年07月04日 07:00

IT化とデータ可視化の推進でジョブ型への対応を(後)

 「単純作業の自動化が重要だと思っています。たとえば、営業で問い合わせを受けたときに必ず行うルーティン業務があります...

イージス・アショア中止は日本発の防衛システムへの転換点(3)

 実は、EMP攻撃のリスク分析はアメリカでは20年前から行われている。というのも、国防総省そのものが、仮想敵国を標的にしたEMP兵器の開発に取り組んできたからだ...

2020年07月03日 16:57

この世界、どうなる?(8)「マイアミ・ナイス」

 私が学生のころ、日本のテレビでは「マイアミ・バイス」というアメリカ製のテレビドラマが流行っていた。ドラマ・アナリストによると、「よくできたシリーズ」だったそうだ...

2020年07月03日 16:45

加熱処理乳酸菌FK-23は抗ガンに高い効果 酵素処理乳酸菌LFKはインフルエンザ肺炎軽減やガン転移抑制

 DEVNETは、ニチニチ製薬と提携して、FK-23を免疫強化や抗ガンなどに、LFKをインフルエンザ肺炎軽減やガン転移抑制、花粉症などのアレルギー対策などに役立ててい...

2020年07月03日 16:15

6月、九州北部地方の月平均気温が過去最高の24.9℃に

 福岡管区気象台によると、6月の九州北部地方(山口県を含む)の地域平均気温平年差は、1946 年の統計開始以降最高となり、もっとも暑い6月となった...

2020年07月03日 16:02

手ぶらでBBQ!カリフォルニアバーベキュービーチでアイドルが体験レポート

 福岡のアイドルグループ、ふくおか官兵衛Girlsの白石ありさと、NEO☆学院の望月琉菜が「California B.B.Q BEACH」(福岡市西区今宿)をレポート...

筑後商事(株)(旧・(株)マミーズ)(福岡)/スーパー「マミーズ」経営

 同社は6月22日、福岡地裁柳川支部から特別清算開始決定を受けた...

pagetop