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2019年01月28日 15:22

【検証・野党再編】国民民主党と自由党の統一会派・合併の行方~原発政策と橋下徹氏擁立の有無がポイント

剛腕・小沢氏のダイナミズム――どうする原発政策?

小沢氏との囲み取材に応じた小泉元首相

 国民民主党の玉木雄一郎代表と自由党の小沢一郎共同代表が22日に会談し、国会での統一会派結成や両党の合併を目指すことで一致、翌日の全国紙は「自由、国民に合流へ」(朝日新聞)などと報じた。そして3日後の25日にも両者は国民民主党のインターネット番組で対談、小沢氏は「国民のための政権をつくる。全野党の結集の第一歩となるようにしたい」と意義を訴えたうえで、「細かい政策がどうのこうの言っても仕方がない」と述べて、合併実現のための政策的妥協を示唆した。

 しかし原発政策においては、両党間にかなり大きなギャップがある。“原子力ムラ”の一員ともいえる電力総連の組織内候補を抱える国民民主党は、条件付き再稼働容認の立場で、原発ゼロ法案の共同提出(立憲民主党・社民党・共産党・自由党)にも加わらなかった。それに対して自由党は原発再稼働を一切認めない立場で、原発ゼロ法案も共同提案。原発ゼロ実現を訴えて全国講演行脚を続ける小泉純一郎元首相が昨年7月、小沢氏が代表を務める政治塾で講演をしたもこのためだ。

小泉元首相が小沢政治塾で原発ゼロ講演

 もし原発ゼロの旗を掲げてきた自由党が、条件付再稼働容認の国民民主党の原発政策を丸飲みすることになれば、少なからぬ支持者を失うと同時に、当選前から原発再稼働反対の座り込みをしてきた山本太郎参院議員(共同代表)が離れるのは確実だ。

 逆に国民民主党が自由党の原発政策を受け入れれば、今度は電力総連の支援がなくなると同時に、組織内議員が離党することになるだろう。ただし国民の大多数が望むのは原発ゼロなのだから、「国民のための政権をつくる」と小沢氏が強調するのなら、電力総連系議員を抑え込んで原発ゼロを明確に掲げないとおかしい。ここが注目点になるのだ。

困ったときの橋下頼み、の愚――小池「希望の党」の失敗を繰り返すのか

2015年の大阪都構想の住民投票でカジノ推進を
訴えたものの、反対が上回り引退した橋下徹氏

 もう1つの永田町関係者の注目点は、橋下徹・元大阪府知事を政党代表に担ぎ出すのか否かだ。1月25日のBSプライムニュースで日本維新の会の馬場伸幸幹事長は、こんな発言をしていた。

 「橋下徹さんが国民民主党と小沢一郎さんとで一緒にやる可能性は極めて低いと思う。やるとすれば、自民公明に対峙できるような数を選挙で集めることを目標にすると思うので。橋下さんが大阪府知事選に最初に出た時にも、府に納めている税金が不適当に使われているという怒りで出たので、やっぱり怒りのボルテージがかなり上がってこないと、その時は訪れないと思う」

 日本維新の会の生みの親である橋下氏の政界復帰が取り沙汰されているのは、大阪万博誘致決定を追い風に活動を本格化させているからだ。1月号の『文藝春秋』で赤坂太郎氏は、9月に『政権奪取論 強い野党の作り方』(朝日新書)を出版した橋下氏が11月17日、親しい前原誠司元民進党代表を介して小沢代表と会談したことを紹介した。

 11月24日号の週刊現代も「気になる『橋下徹氏の動向』」と銘打って、“橋下本”をバイブルとして崇めて「救世主」として期待する国民民主党内の声を紹介していた。「橋下さんが出れば、国民がワクワクする。絶対に勝てる」「立憲民主と共産党を除く野党と無所属で統一会派をつくり、事実上1つの政党にしたうえ、やがて立憲との連携につなげる。そのときのトップは橋下にするという案だ」「とにかく野党連合のアタマになってくれればよい」。

 一言でいえば、“橋下氏野党連合トップ構想”の第一歩が、今回の立憲民主党と共産党を除く統一会派結成(将来の合併)という位置づけになっていることになる。懲りない面々とはこのことではないか。2017年10月の総選挙では、人気絶頂だった小池百合子都知事を「野党連合のアタマ」にして安倍政権打倒を目指した途端、改憲と安保法制が踏み絵の排除の論理で民進党が四分五裂をした。その自民党勝利をアシストした大失敗の反省も総括もないまま、再び有名政治家にすがろうとしているのだ。しかも、そのフィクサー役をしているのが前原氏となれば、なおさらである。「何度、同じ失敗を繰り返したら気が済むのか」と言いたくなるではないか。

橋本氏と松井府知事は安倍首相と蜜月関係――維新は政権の補完勢力

橋下徹氏と(左)、松井一郎大阪府知事

 安倍政権を補完する維新の産みの親である橋下氏がなぜ、安倍政権打倒の野党連合のアタマになるのかも、まったくわからない。先の“橋下本”は「政権補完論 利益誘導型の弱いエセ野党の作り方」というタイトルがぴったりの内容で、安倍政権に助け舟を出しながら数々の利益誘導に成功したことを、次のように書き綴っているのだ。

 「大阪の政治行政は、安倍政権の協力で、これまで進めることができなかった政治課題をどんどん進めることができた。うめきた2期開発、阪神高速道路淀川左岸線の延伸、大阪万博への挑戦、カジノを含む統合型リゾート推進法(IR推進法)の制定、リニア中央新幹線の大阪開通の8年前倒し――その他、これまで法律や制度の壁にぶつかっていたことを安倍政権の協力で乗り越えたことは多数ある。ゆえに、日本維新の会が安倍政権に協力することは当然だ」(同書のP231)。

 維新代表の松井一郎府知事と橋下氏は、定期的に安倍首相と菅官房長官と会食する親密な関係だ。そして維新は、安倍政権肝入り法案(カジノ法案や特定秘密保護法など)に対してことごとく賛成、ほかの野党からは「野党か与党かわからない『ゆ党』」と揶揄されてきた。安倍首相の悲願である憲法改正論議にも協力してきたが、その見返りが維新の目玉政策の大阪万博誘致への協力やリニア開通前倒しなどのインフラ整備促進であった。ギブアンドテイクの関係になっていたのだ。

 古き自民党利益誘導政治の“代表選手”のような橋下氏が突然、安倍政権打倒を目指す野党連合のトップになるのかは理解困難だが、支持率1%前後で低迷する国民民主党が、立憲民主党への対抗心剥き出しにしながら破れかぶれの行動に出る可能性も皆無とは言い難い。
国民民主党と自由党の統一会派結成を経て両党が合併した場合、橋下氏の代表就任が実現するのか否かが注目されるのだ。

【横田 一/ジャーナリスト】

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