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2019年03月25日 07:01

福岡を活性化させた傑物伝 アパマングループ代表大村浩次氏(20)

外国人観光客のニーズを取りこむ民泊事業

大村 浩次 氏

 賃貸不動産業は部屋を貸したい人と部屋を借りたい人をつなぐ仕事。モノを共有するシェアリングエコノミーの時代の流れは、部屋を住むためだけでなく、旅行する人に部屋を貸すことまで広がっている。APAMANグループは、出資先の(株)グランドゥースと協業し、日本を訪れる外国人観光客のインバウンドの宿泊ニーズに合う民泊事業を展開している。

 日本を訪れる外国人観光客のインバウンド市場は、政府も日本の観光立国を支援していることから、今後も増え続けると予想される。不動産を民泊として活用したいと考えているオーナーは多いが、集客のために必要な外国人観光客のマーケットの知識、ゲストが期待するサービスを提供すること、清掃などの管理の仕事、民泊に関する法律や条例をクリアすることなど、民泊を運営するためにはノウハウや手間が必要だ。そのため、グランドゥースは民泊運営を代行するサービスを行い、不動産オーナーがもつ資産を活用できるようにサポートしている。APAMANグループは、民泊の運営をサポートすることで外国人旅行者むけの宿泊施設を整備して、日本が多くの観光客が訪れる国になり、外国人訪日旅行者むけの観光産業を国の経済を支える産業の1つにしたいと考えている。

 グランドゥースは、東京都大田区、大阪府、福岡市に自社で借り上げた約400室の物件で民泊を運営しており、2020年までに1,400室に広げることを目指している。外国人観光客が増えてシェアリングエコノミーが広がるなかで、今後、民泊に参入する企業や個人が増えて、民泊の物件数は増えていくといわれている。そのなかで、旅行者に選んでもらえる民泊であり続けることが大切と考えて、ブランディング化に取りくんでいる。

 民泊は、旅行者が泊まりたい場所に部屋を借りるサービスのため、民泊の運営にあたっては立地や周辺環境の条件がとても大切だ。どのような場所にどのようなニーズがあるかを考えるときには、APAMANグループのこれまでの物件に関するノウハウや知識が生きる。さらに、宿泊するときのサービスや部屋のインテリアに工夫をかさねている。たとえば、言葉の壁を感じにくいように英語を話せるオペレーターが24時間対応するほか、日本らしさを感じたい外国人観光客のニーズをとらえた和室も展開している。またグランドゥースは、外国人観光客からのホテルにはない部屋のニーズをビジネスチャンスとらえて、部屋づくりにいかしている。たとえば外国人観光客で多い中国人旅行者は、4人以上のグループが多く、グランドゥースの最大8人で泊まれる広い部屋がコストパフォーマンスもよいことから人気が高いという。

駐車場のシェアサービス「軒先パーキング」

 人や企業がもつ、眠っている資産を生かすパーキング事業。駐車場は車を泊めるときに使うものだが、人が使っていないときには空きスペースになる。そのため、使っていないときにほかの人が駐車場を使える仕組みをつくることで、これまでより駐車場を効率よく使うことができる。

 APAMANグループは、駐車場のシェアサービス「軒先パーキング」を運営する軒先(株)と提携しており、APAMANグループの賃貸住宅管理システム「APS(アパマンショッププロパティマネジメントシステム)」を活用して、アパートやマンションなどの賃貸物件の駐車場や月極駐車場などの空きスペースをシェアすることで、住んでいる人やいつも使う人以外にも手間をかけることなく駐車場を貸し出せる仕組みをつくり出した。

 軒先パーキングが管理するシェア駐車場は、物件数で7,500台分。APAMANグループが管理受託している賃貸物件の駐車場のほか、月極駐車場、時間貸し駐車場、商業用駐車場など管理するパーキングは幅広い。スマートフォンやパソコンから使うまえに駐車場を予約することができて、利用料金をオンライン決済することが可能だ。軒先は、スポーツ観戦やレジャーなどの人が集まる場所で施設の駐車場が混んでいて車を泊められないときに、近くのアパートやマンションの駐車場や月極駐車場の空きスペースを使えるようにすることで、眠っている資産を生かすことができて、人々が困ることなく駐車場を使える社会をつくりたいと考えている。

 また、軒先パーキングは、車そのもののライドシェアにも前向きだ。ドライバーと移動したい人をマッチングさせる相乗りアプリnori-na(ノリーナ)と提携し、駐車場や電車などが混みがちなスポーツ観戦などのイベントに行くときに、ライドシェアで移動してシェア駐車場に車を泊めるという新しい外出スタイルを提案している。移動手段をモノとしてもたずに使いたいときに借りる新しいライフスタイルは、今後さらに広がっていくだろう。

(つづく)
(取材・文・構成:石井 ゆかり)

 

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