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2019年03月26日 09:45

大牟田再開発 芝浦G撤退の真相(4)交付金50億円の行方

大牟田市の新栄町駅前地区市街地再開発事業において、建設代行者に選ばれていた芝浦グループが事業からの撤退を表明。期限までに同意書が提出されなかったことで、同事業準備組合が基本協定を解除した。着工目前での芝浦撤退に再開発に期待を寄せる地元は「なぜ?」の声。事業が立ち遅れるため、その責任は芝浦グループに向けられている。一部報道では、「ホテルの採算が合わない」と撤退理由を挙げているが、「それはほんの一部」と芝浦グループ関係者。この2年間事業と向き合ってきた芝浦グループが撤退せざるを得ない理由はほかにあった。

撤退理由その4「交付金の分配と不動産評価」

 「ホテルの採算が取れないことを理由に、事業から撤退した」と地元紙は報じた。確かにこれも撤退理由の1つであることは間違いない。これには国や自治体などから助成される交付金も関わっている。芝浦サイドは「開発を進めたいという関係者の当初の説明と全然違う」と言い切る。

 事業計画では、総事業費118億円に対し、交付金は約50億円で、5年間にわたり事業年度ごとに交付されることになっている。最初に建設代行者を公募した際には応募者が現れず、計画は停滞。再公募で芝浦グループが手を挙げたのだが、その際に大牟田市や事業関係者が芝浦グループに伝えたのは、「どうしても再開発を行いたい。助成が50数億円入る。これは芝浦さんが使っていい」というものだったという。それで前向きに検討し、芝浦グループは建設代行者として手を挙げた。

 その後、話は二転三転する。結局、50億円と言っていた交付金は芝浦グループには2億円しか出ないことになった。芝浦グループで所有する域内の不動産評価が2億円だからだ。

閉店したスーパー

 ホテル開発の部分をみると、権利床は1億円分しかない。この1億円という評価額も納得できない理由のひとつだ。なぜなら数年前、約1億5,000万円で購入した土地の評価が1億円にしかならなかったからだ。芝浦グループは運営を手がけるホテルの建設用地を46億円で購入しないといけなくなった。46億円のうち権利床は1億円分なので、45億円で残りの土地を購入しないといけない。一方で、西鉄駅舎やスーパー跡地は不動産価値が高いとの判断で、建築費はほとんど手出しなく、新築できることになっている。同一エリアでこれほどまでに土地や建物の評価額が異なるのはなぜかという疑問も生じる。

 ホテルのほか、駐車場の建設も行う予定だった芝浦グループは、2億円の権利に対し、先行して支払わなければならない金額は50数億円となった。当初の話では交付金が入る前提で、建設代行者として手を挙げたのだが、計画の途中で何度も見直しがなされた。結局、芝浦グループのメリットは大きく削られてしまった。

 もちろん、このような大きな計画で変更が出るのは致し方ない。これに関しては、これまで幾多の事業を手がけてきた芝浦グループも理解しているところだ。しかしながら今回、関係者の誘い文句と現実の条件面が大きくかけ離れていた。これが組合との信頼関係が崩れる要因になったに違いない。

 それでも芝浦サイドは妥協案を組合や市に提示してきた。ホテルの業態は、コンベンション機能をもつものとして計画されているが、芝浦グループが懸念したのは、人材確保について。宿泊だけのホテルなら人材確保も採算も取りやすい。しかし、オペレーションのために多くの人を確保しないといけないコンベンションは、大牟田市内では採算以上にハードルが高いと判断した。このため、市には宿泊だけのシティホテルに変更してみては?と提案したのだが、市はそれを了解しなかったという。

 

 

 再開発計画は西鉄新栄町駅の広さ約2haに、ホテル、マンション、高齢者住宅、駐車場などを建設、駅前広場の整備でにぎわいを創出する計画で、総事業費は約118億円(2015年度時点)。地権者は30数名で、芝浦グループも地権者の1人である。2016年度、事業資金の確保と保留床取得者などを確実にするため、ホテルと立体駐車場などは芝浦グループ、分譲・賃貸マンションと高齢者住宅は西鉄グループが建設代行者に決定していた。昨年9月、芝浦グループは準備組合に対し、このままでは事業計画への同意書が出せないと申し入れた。以降、事業継続に向けて協議は続けられていたが、同意に至らず。今年1月、準備組合は基本協定の解除を視野に入れた方針を決議した。1月末、芝浦グループに対し、同意書提出を求めたが、期限の2月15日までに提出されなかったため、2月16日をもって基本協定を解除。準備組合は損害賠償を求める予定がある旨を芝浦グループに通知している。

(つづく)
【東城 洋平】

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大牟田新栄町再開発 芝浦G撤退の真相

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