• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年04月11日 07:01

LIXILの瀬戸前CEOが、潮田現CEOの退陣を要求~MBOによるシンガポールへの本社移転を許さない!(後)

MBOによるシンガポール移転をめぐり対立

 瀬戸氏は2016年、藤森義明氏(元日本GE会長)の後任として、創業家出身の潮田洋一郎氏に招かれた。潮田氏は2代続いて「プロ経営者」を経営トップに起用した。2人は、どんな経営方針をめぐって対立したのか。

 LIXILグループの首脳人事が不透明だと投資家が疑問視している問題で、第三者委員会が調査報告書をまとめた。簡略版を自社ホームページで公表したが、全文公開はしなかった。全文を入手した朝日新聞(4月6日付朝刊)は、対立のきっかけをこう報じた。

〈(瀬戸氏の)退任に至る潮田氏との直接の対立のきっかけは同(引用者注・昨年10月)19日の会食の席。本社を東京からシンガポールに移し、経営陣による自社株式の買い取り(MBO)を計画する潮田氏に、瀬戸氏が「やめた方が良い」反論。瀬戸氏は「潮田氏がCEOに復帰するなら辞めます」とも述べていた。〉

 今年1月、経済誌が「LIXILがMBOを検討、日本脱出も」と報じた。潮田氏が、MBO(経営陣が参加する買収)で、日本の株式市場から退出し、シンガポールに本社を移し、シンガポール取引所へ新規上場を計画しているという仰天するような内容だ。

 日本脱出計画で潮田氏は、社内、グループ企業、取引先の信用を失った。INAXの創業家出身の伊奈啓一郎氏が、瀬戸氏のCEO復帰を求め、トステムの創業家出身の潮田氏の解任に立ち上がったのは、社内外の「潮田ノー」の声に後押しされたからだ。

 瀬戸氏は5日の会見で、MBOやシンガポールへの本社移転計画には、「日本の事業が多いので移転はしない。MBOはあまり意味がない」とバッサリ切り捨てた。

 シンガポールに滞在し、月に1度程度しか帰国しない潮田氏の経営姿勢を問われると、「LIXILは日本のビジネスが7割。ちょっとありえない経営だという気がする」と痛烈に批判した。

これまでのLIXIL関連ニュース

潮田氏が本社のシンガポール移転にこだわるワケ

 潮田氏はなぜ、日本脱出を計画したのか。税金問題が引き金になったという点で、関係者の見方は一致する。

 14年12月、トステム(現・LIXIL)創業家の脱税問題がメディアを賑わしたことがある。 トステムの創業者、潮田健次郎氏の長女・敦子氏が、父から相続した遺産をめぐり、国税局から申告漏れを指摘された。その額はなんと220億円。

 健次郎氏は、保有していた住生活グループ(当時)を売却して得た220億円を、潮田家の資産管理会社に移した。11年4月に健次郎氏が亡くなり、この資産管理会社の株式を長女が相続。長女は相続財産を資産管理会社の評価額にあたる85億円だと申告した。

  国税は、資産会社の価値を実際より低く申告したとみなした。国税局は、過少申告加算税を含めて60億円の追徴課税を命じる「更正処分」を下した。長女は、保有していた財産から60億円をキュッシュで支払ったという。

 芸術家のパトロンとして知られる敦子氏は文化事業に資金を投じるために、こうしたやりくりをしたのだが、国税は脱税と見なした。自らも粋人である洋一郎氏は、文化事業に理解がない日本政府に腹を立てた。「日本では納税をしないぞ」としてシンガポールへの本社移転を計画したのだという。こよなく風流を愛でる御曹司のご乱心というほかはない。

 日本脱出計画が、潮田洋一郎氏の命取りになりそうだ。約4割の持ち株比率の外国人株主の動向が帰趨を決める。

(了)
【森村 和男】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年06月02日 14:25

(一財)神奈川県経営者福祉振興財団(神奈川)/共済保険事業NEW!

 同社は6月1日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日、同地裁から監督命令を受けた...

2020年06月02日 13:03

四国新幹線「ないのがおかしい」(前)NEW!

 基本計画路線がある地域では、程度の差こそあれ、地元自治体、経済界などが中心となり、それぞれの地域ごとに国への要望活動などを行っている。そのなかの1つに、四国新幹線が...

2020年06月02日 13:00

AIやビッグデータで激変するまちづくり~内閣府スーパーシティ構想の行方(前)NEW!

 AI(人工知能)やビッグデータの活用で、まちが大きく変わるといわれている、内閣府の「スーパーシティ構想」を始め、自動運転や省エネ、スマートホームなどの「スマートシテ...

2020年06月02日 11:55

名古屋市営住宅の解体工事で図面に明記された杭の未施工が発覚!NEW!

 NetIBNewsでは福岡東区の分譲マンションにおいて杭が支持地盤に到達していないことや、構造スリットが施工されていないことなどをお伝えしてきた。そして、今度は愛知...

2020年06月02日 10:44

パチンコ店代表らを書類送検、特殊景品の「自家買い」容疑NEW!

 福岡県警察は、6月1日、風営法違反の疑いで、パチンコホール「ドラゴンズ」の運営を手がける、(有)ドラゴンズの代表ら7名を、八女区検察庁に書類送検した...

2020年06月02日 09:55

「スーパーシティ」構想で再注目 九大・箱崎キャンパス跡地のポテンシャル(前)NEW!

 内閣府の「スーパーシティ」構想が実現に向けて歩を進めるなか、福岡市内における適地と目されているのが、東区の九州大学・箱崎キャンパス跡地だ。ここで改めて、同地の概要や...

2020年06月02日 07:00

新型コロナウイルスで工事現場は変わるのか(後)

 コロナ対策で懸念されるのが、工期へのしわ寄せだ。これに関しては、「発注者との相談になる」場合がほとんどであり、発注者、元請、下請、さらには孫請けまで、多くの企業が関...

2020年06月02日 07:00

新型コロナウイルスの患者が首都圏で急増(後)

 実際の実物経済については、貿易量が減少するのみならず、サプライチェーンの調整が進むことも予想されている。さらに、コロナ禍の影響で、デジタル経済、遠隔医療、ロボットな...

2020年06月01日 17:48

福岡で人気のお弁当をドライブスルーで提供~医療施設への寄付も

 福岡の外食、食品販売企業の有志で構成する「ドライブスルーふくおか実行委員会」が、5月30~31日、お弁当の提供サービス「ドライブスルーふくおか in PayPayド...

2020年06月01日 17:32

新型コロナウイルスの患者が首都圏で急増(前)

 前回の記事で、梨泰院(イテンウォン)のナイトクラブ発の新型コロナウイルスの感染拡大で、韓国政府が神経を尖らせていることにはすでに触れた。 5月28日、新型コロナウイ...

pagetop