2024年04月24日( 水 )

【企業経営ワンポイント】もしトップセールスマンが働けなくなったら?

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 2018年12月14日に、19年度の税制改正大綱が取りまとめられました。これを受けて、19年度改正に向けて関連法案などの作成が進められています。今回の大綱では、19年10月1日から消費税が10%に引き上げられることにともない、自動車税と住民税に対する税制化の支援策が検討されています。また法人課税では、中小企業による災害対策のための設備投資に対する償却制度の創設、中小企業投資促進税制の延長などが行われます。

 資産課税については、法人の事業承継税制に続き、個人事業主の事業承継促進のための新たな納税猶予制度が創設されるようです。保険業界においては、19年2月14日に発表があった、保険商品の販売停止により、法人・事業主の税の繰り延べの手段が選択肢として1つなくなりました。今後の方向性として、保険業界は原点回帰して死亡保険を中心とした提案になっていくと思われます。

 ここで、もう1つ大切な保障に目を向けます。「病気や怪我で入院する。就業不能状態が継続する。障害状態に該当する。要介護状態が継続する」などという生存保障についても、経営者として十分な保障対策を講じることが重要だと思います。

 企業経営のリスクは、景気の落ち込みや社内の不祥事などの予期することのできないことも含めて、さまざまあります。しかし、経営者の健康リスクは、いくら健康管理したとしても不可避なもので、中小企業にとっては最大の不安要素ともいえるでしょう。経営者が死亡せずとも第一線を退いた場合、仮に社長がトップセールスマンだとしたら、売上の減少は避けられないでしょう。立て直しを図る間にも、仕入資金や社員の給与、借入金の返済など固定費は発生し、支払いは継続します。多くの経営者は、万が一の死亡保障の重要性を理解したうえで保険に加入されていますが、働けなくなるリスク―つまり就業不能の保障については、十分にカバーできていないと感じます。

 先日、ある経営者より相談を受けましたが、まさにこの「生存保障」についてでした。その社長はまだ40代でお若く健康なのですが、「トップセールスマン=社長」のいわばワンマン会社でした。負債対策として、3億円の死亡保障は保険契約をお持ちでしたが、この成長期に業績の屋台骨を背負っていることにリスクを感じ、「働けなくなる」リスクを回避したいとのことでした。

 医療の発展によって、人の寿命は長くなっています。死亡するリスクよりも働けなくなるリスクのほうが高くなっている今、「法人向けの就業不能保障」という別の観点で、会社の将来のリスクを考えてみることも必要ではないでしょうか。

<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)

(株)アンツインシュアランス 代表取締役社長
1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2018年1月より現職。

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