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2019年08月12日 07:04

次世代の日本ラグビー界が進化、発展するために(後)

(公財)日本ラグビーフットボール協会 会長 森 重隆 氏

世界標準の強化

 ――国内リーグのプロ化と関連して、日本代表の強化についても森会長のご見解をお聞かせください。

 森会長 藤井雄一郎・強化副委員長と話していますが、藤井副委員長は「高校から20歳以下日本代表までの強化策と日本代表の目指す強化方針が一致していない」とストレートに述べております。私も以前から同じ見解でした。

 一例を挙げると、近年、高校日本代表から日本代表になった選手は1〜2名であるという現実があります。これは、育成・強化方針に一貫性がないことを証明しています。これでは日本ラグビーの進化・発展が停滞してしまいます。代表としての育成・強化については、高校から参加させて、同じベクトルで現場に落とし込んでいくような仕組みづくりに着手いたします。その仕組みづくりについては、新たな理事の中竹竜二が、以前よりユース強化のリーダー格でしたので、中竹に具体的な実務を任せていくことになります。

 ティア1の強豪国は、高校代表から平均7、8名が国家代表に選出されています。同時に、20歳過ぎての「遅咲き」で代表クラスの選手も現れます。よって代表のためのスカウティングも強化しなければなりません。

フランス代表とアイルランド代表(白のラグビーパンツ)もW杯に出場する

 ――次にスーパーラグビー参戦中のサンウルブズの今後についてはいかがでしょうか。

 森会長 ご存知の通り、サンウルブズ(※1)は、リーグを統括する『SANZAAR』(※2)から、2020年開催を最後に除外されることを通告されました。このままではサンウルブズが消滅する可能性があります。私は、2021年以降も引き続きスーパーラグビーに参戦することがベストであると確信しておりますが、予算などの懸念材料もありますので今後の動向は未知数です。当然私が『SANZAAR』と交渉することもありますし、しなければなりません。

 サンウルブズが2021年以降もスーパーラグビーに参戦するのは日本ラグビーの大事な強化策の1つである一方で、サンウルブズの観戦にお越しの方々は、これまでのラグビーファン層とは異なる属性でもあります。単刀直入に申しますと、大学ラグビーの『早慶明』(早稲田大、慶應大、明治大)を好むラグビーファン層とは一線を画すのです。つまり、ラグビー競技そのものを、純粋に楽しみたいとするファン層なのです。私は、サンウルブズを観戦していただくファンの方々を尊重し、大切にしていきたいのです。

 ――サンウルブズのスーパーラグビー参戦の継続と同時に、ティア1に入るための構想はおもちですか。

 森会長 WRが2022年開催を目指していた『ネーションズ・チャンピオンシップ』は中止となりました。JRFUは『ネーションズ・チャンピオンシップ』の参戦を想定しておりましたので、残念です。繰り返しますが、スーパーラグビー参戦のために最善を尽くしていくこと、そして私の構想ですが、6ネイションズ(※3)に参戦するようなアクションも起こしていきたいです。スーパーラグビーとスケジュールが重なるなど、いろいろクリアしなければならない課題はありますが、“7ネイションズ”が実現できたら、日本ラグビー界にとって新たな境地に進めるでしょう。

 これらが実現するのかは、今の時点では断定できません。あらゆる可能性を探りながら、挑戦していきます。こういったことを実現する礎は、次世代の選手の発掘と育成です。JRFUとして一貫した育成方針を掲げ、それに向けた強化策をきめ細かに立案し、実行することです。

 たとえば、中高校生世代の有望な人材には、ニュージーランドなど強豪国への留学を支援する。また、Jリーグクラブのアカデミーのような仕組みをつくるなど若い世代の人材育成への「投資」を実践することです。そのなかから、ラグビー界を担うスター候補が出てくることが、ラグビーを志す方々が増えると同時に、ファンの拡大とも連動します。

 ――会長の任期は2年です。各報道では「2年間を全うする」と表明されております。その先の続投はありますか。

 森会長 2年の任期を全うして、次の方に引き継ぎます。一期2年が精一杯です。2年間集中して日本ラグビー界の将来が明るくなるために、全身全霊で会長としての職責をはたしていきます。「ラグビー界は、明るく元気な集団である」と世間に認知されれば、私の仕事は達成されます。これからもご支援・ご声援をよろしくお願い申し上げます。

(了)
【河原 清明】

※1:ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・アルゼンチン・日本の5カ国、計15のプロフェッショナルクラブチームにて行われるラグビーユニオンの国際リーグ戦『スーパーラグビー』に参戦している日本のクラブ名
※2:アルゼンチンラグビー協会、オーストラリアラグビー協会、ニュージーランドラグビー協会、南アフリカラグビー協会による合弁事業の呼称
※3:イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランド・フランス・イタリアの各国代表が、総あたりする国際大会。通期2〜3月にかけて開催される

【取材後記】
森重隆会長の言葉の1つひとつから、「覚悟を決めた」とする姿勢が伝わってきた。これまでの取材と変わらぬ、明朗快活で楽しく、そして洒脱な話が満載であった。そして、より具体的な計画やアイデアをご教示いただいた。今後の日本ラグビー界をどのようにして切り拓き、そして進化・発展させていくのかが大変楽しみになってくる。計画力、実行力、そして組織マネジメント力に長け、何よりも人間味溢れる森会長の手腕が、JRFUそして日本ラグビー界の新たな歴史を刻んでいくと確信した。

<プロフィール>
森 重隆(もり・しげたか)

1951年11月6日福岡市生まれ。福岡県立福岡高等学校からラグビー選手として活躍し、2、3年時に全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場。明治大学に入学して1年次から公式戦に出場。4年時に日本代表に選出される。同学卒業後、74年に新日本製鐵(現・日本製鐵)釜石製鉄所に入社。同社ラグビー部に所属し、78年〜84年まで日本選手権7連覇したなかの1〜4連覇に主将、選手兼任監督として貢献。引退後故郷に戻り、91年(株)森硝子店の代表取締役を継ぐ(現職)。その間、母校福岡高校ラグビー部のコーチ・監督となり後進の育成に務める。2015年にJRFUの副会長に就任。19年7月にJRFU会長に就任。現役時代は日本代表として27テスト。『ヒゲ森』の愛称で親しまれる。

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